コロブチカ旗揚げ公演「proof」
平成20年12月27日14:00~、王子小劇場にて。

柿喰う客のイケメン女優、コロさんが立ち上げた新しいユニット「コロブチカ」。その旗揚げ公演を観るために王子小劇場へ出かけた。

脚本/デイビッド・オーバーン

翻訳/谷 賢一 (DULL-COLORED POP)

演出/黒澤 世莉 (時間堂)

出演/キャサリン:コロ (柿喰う客)、ハロルド:小谷 真一
クレア:こいけ けいこ (リュカ.)、ロバート:鈴木 浩司

【作品あらすじ】
シカゴのとある寒い冬、天才数学者・ロバートは、彼にとって二度目の世紀の大発見である偉大な「証明」をノートに書き続けていた。それほどの「証明」を、彼は誰にも見せようとしなかったし、誰もそれを見ようともしなかった。なぜなら彼は、気が狂っていたから。
たった一人で彼の身の回りの世話をしていたロバートの次女・キャサリンは、遺稿の整理に訪れた若い数学者・ハルと、ノートの持ち出しを巡って激しく争う。父の書斎をそのままにしておきたいキャサリンと、埋もれているかもしれない新たな業績を発掘したいハル。
やがてキャサリンは、彼女にとって最も重要な一冊のノートを父の書斎から持ち出し、ハルに託す。なぜなら彼女は、……。(「コロブチカ」ブログより)

           ※    ※    ※

「休憩です」と言われて、驚いた。まだ開演からさほど時間が経ったように感じなかったのに、時計を見るとすでに1時間以上経過していたから。

舞台はある家のテラス。テーブルと椅子が2つ置いてある。テラスの外側にはブランコ。家とテラスを繋ぐドアと窓。そこで物語は始まる。ある数学の証明を巡る物語。同時に、人と人とのつながりや信頼を巡る物語。

天才数学者だった父。精神を病み、次女のキャサリンがずっと面倒を見ていたのだが、その父が死んだ。

父の才能を受け継ぐと同時に、精神的な不安定さまでも受け継いでしまったかもしれないキャサリン。繊細過ぎて人間関係を築くのが下手なキャサリンを演じるコロさんが素晴らしかった。あて書きかと思うほど(もちろん、そんなはずはないのだが)、キャサリンの不安も自負も、そして強さをもしっくりと表現していた。

父ロバートの残した膨大なノートの中に新しい数学の発見はあるのか。それを探すロバートの元教え子ハロルド。陽気で有能で魅力的なハロルド、しかし自分の才能に対する自負と焦りを抱える彼の様子や、キャサリンとの気持ちのやり取りを小谷さんが明快に演じていた。

ニューヨークで暮らすキャサリンの姉クレア。長身で美しいこいけさんが、この芝居の登場人物の中でもっとも現実的な女性を演じて説得力があった。ある意味、キャサリンにとって現実の世界の象徴ともいえるクレア。その強引さも理解の足りなさも、決してクレアのせいではない。彼女は彼女なりに父と、そして妹を愛しているのだから。

そして、ロバートを演じる鈴木さん。愛娘キャサリンへの愛情。ストーリーの要となる、冬の夜の回想シーン。天才の発露なのか、狂気の再発なのか、そのせめぎあいを緊張感を持って演じていた。

人が人を信じることの難しさ。人恋しい気持ち。家族への思い。そして恋。それぞれの登場人物の表情が表す心の動きに、観ていると自然に共鳴してしまう。

キャサリンはただ信じて欲しかっただけ。それでも、ハロルドの謝罪に心を開こうとする彼女の強さ。この恋人たちが幸せになりますように、と祈らずにはいられない。

観終わった後に、少しだけやさしくなれそうな気がする、そんな芝居だった。
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by kiki_002 | 2008-12-28 22:18 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
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