柿喰う客 JAPAN TOUR「恋人としては無理」
平成21年3月7日(土)14:00~、STスポットにて。

■恋人としては無理
柿喰う客のオリジナル作品。2008年、フランスにて初演。
民衆から救世主と呼ばれている浮浪者と、彼に従い旅を続けるバックパッカーたちの物語。
「記号」に裏付けされた独特の演技法と、スピーディかつスタイリッシュな空間演出で、人間存在の不確かさを鮮やかに風刺する。
2008年3月、ブザンソン(フランス)で行われた『フランシュ=コンテ国際学生演劇祭』で初演。4月に東京で凱旋公演を行い「CoRich舞台芸術まつり!2008春」最終審査に残る。
(公式HPより)
 
作・演出/中屋敷法仁

出演/
七味まゆ味
コロ
高木エルム
中屋敷法仁
佐賀モトキ(客演)
堀越涼(花組芝居)
ご当地スペシャルゲスト:中野成樹(中野成樹+フランケンズ)

その独特の手法については、事前に聞いていた。役者と役が固定されずに、登場人物を表す小物を持つとき、その役者がその人物を演じるのだという。

黒一色のスウェット姿で登場した6人の役者と、イエス・その12人の弟子・ピラトという14人の登場人物。当然、人数は合わない。しかも、6人のうち男優が3人、女優が3人。12使徒も半数は女性という設定になっている。男女関係なく、入れ替わり立ち代り何人もの役者に演じられていく登場人物。面白いかもしれないけれど、きっと感情移入はしにくいだろうと予想していたが。

しかし、それは見事に裏切られた。

冒頭は、よく柿らしいと言われるハイテンションで早口で、小ネタ満載のセリフの連射。やや聞き取りにくい部分もあるが、この辺りはたぶんひとつひとつのセリフの内容に依存せず、ただその世界に巻き込まれていけばいいのだろう。

しだいに見えてくるのは、ひとつの不在だ。イエスがいない。皆が彼について語り、彼のことを思っているのに。その不在が、かえってその人への気持ちを高めていく。そして語られる弟子たちの過去。彼らが何故、イエスについてここまできたのか、ということ。

とうとう一瞬だけ、イエスが現れるのは……、ユダが彼を裏切ったその瞬間。ひと言のセリフもないまま、ユダを絶望させるイエス。このとき、ユダを演じていた堀越さんの表情がとても印象的だった。

イエスの死後、散り散りになった弟子たち。この辺りのセリフは、けっして早口でもなければ聞き取りにくくもない。しかも、あいかわらず役者が入れ替わりながら演じているのに、登場人物の思いがしっかりと浮かび上がりつつある。

イエスを愛するペトロ。そのペトロへの幼なじみヤコブの愛情。そしてヤコブの妹 ヨハネの無垢。それを演じるコロさんの美しさに目を見張った。

復活したイエスが、弟子たちの前に現れ始め、一度は逃げたはずの弟子たちの多くが殉教者となっていく。彼らの語る言葉から見えてくるイエスの姿。彼らは、不確かなものを信じたのか。あるいは、人として人を愛していたのか。

こういう芝居だとは思わなかった。これを観るともう、勢いとかテンションとか、そういうことを語る必要はない。手法の斬新さに目をくらませられるけれど、もしかするとこれは、純愛の物語なのかもしれない。
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by kiki_002 | 2009-03-07 23:21 | 舞台 | Trackback | Comments(2)
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Commented by Meg at 2009-03-08 21:57 x
横浜まで、いらっしゃったんですねー
今回はもろもろの理由でパスしてしまったんですが、行けばよかったかなとちょっと後悔
こういうストーリーと演劇手法でしたか・・・
Commented by kiki_002 at 2009-03-09 00:59
はい、横浜まで観に行ってきました♪

好き嫌いはあると思いますが、個人的にはとてもよかったです。
柿では珍しく、観終わった後に切ない印象が残りました。
だって、好きなんだもん!
by kiki
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