BQMAP「出雲贋桜伝」
平成21年3月21日14:30~、シアターサンモールにて。

作・演出/奥村直義

出演/
スサノオ:前田剛、
ツクヨミ:臼井琢也、
アマテラス:丘崎杏、
タケミカヅチ:立花拓也、
オモイカネ:町田晶子、
サルタヒコ:山本伸一、

チルヨ:竹内順子、
メブキ:高瀬郁子、
サクヤ:知桐京子、
クシナダ(ウズメ):本多可奈、
ホヒノ:明神杏奈、
タケミナカタ:矢部亮、
オオヤマツミ:小笹将継、
ナムチ:栂村年宣、
ウサギ:土屋真由美

     ※     ※     ※

その愛はすべてを焼き尽くす。



国譲り神話の舞台として
日本書紀などに登場する出雲の国。
これは神と、
ヒトと、
神でもヒトでもないモノたちの、
愛の物語です
(公式HPより)

     ※     ※     ※

先月、別な芝居を観にシアターサンモールへ行った際、この芝居のタイトルを見かけた。それがなんとなく気になって、結局観に行くことになった。他にもこの週末、気になる芝居がいくつかあったのに、ついついこれを選んだのは、以前観たBQMAPの「Re-」という芝居が割と好きだったこと、そして劇団のHPなどで紹介されている神話時代の愛の物語というイメージに惹かれたこと、などからだろうか。

開演するとまず、スサノオがヤマタノオロチを退治する様子がシルエットで描かれる。ここでは、オロチは神話のとおり、八つの頭を持つ巨大な蛇だ。しかし続く物語の中では、オロチとはある巨大な力のことだ。その力は、国津神の3人の娘の中に眠っているという……。

そして始まるのは、天津神と国津神の因縁の戦い。

ヒトと共に平和に暮らす国津神から、その地を奪い、地上の高天原を造ろうとするアマテラス。色仕掛けで国津神の娘の心を動かし、オロチの力を得て姉を超えようとするツクヨミ。

そして、スサノオ。神話とは違い、スサノオはアマテラスの弟ではなく、神でもヒトでもないモノとされている。彼はただ、自らの内にある衝動に突き動かされて、オロチを探し、退治するために生きている。

国津神の3人の娘。神とはいえ、ヒトと変わらず、恋に憧れ胸をときめかす年頃の娘たち。しかし、彼女たちの誰かの中で、巨大な力を秘めたオロチが眠っているのだという……。

それぞれの思い。それぞれの希望。そして、それぞれの愛。

スサノオと国津神の三姉妹の長女チルヨの因縁。生まれ変わり、時代や場所が変わっても、彼女の中の巨大な力が目覚めるとき、彼は愛する女を討たなければならないのだ。

主人公スサノオの訳ありな感じのワイルドさ、オオヤマツミの穏やかな大きさ、アマテラスの優美で妖しい仕草、クシナダの葛藤、タケミカヅチやサルタヒコ、タケミナカタの戦いぶり、ナムチの誠実さ、メブキの恋心のせつなさ、サクヤの純真、そしてラストのチルヨの悲しい美しさ。

神話を題材にしたスケール感や登場人物の個性が際立って、物語に引き込まれる。

三姉妹の悲しみが、まだ早春のその地に桜を芽吹かせ、咲かせ、そして散らせていく。ラストで、スサノオとチルヨが向き合うとき、遠い過去の記憶がよみがえり、それと共に桜が、満開の桜が散っていく。風を白く染めて。

オロチとはなんだったのか、スサノオは何者なのか、スサノオとチルヨの深い縁はなぜ始まったのか、わからないことはわからないまま、物語の勢いに飲まれてラストに導かれていった。それはそれでいいのかもしれない。

神々もヒトも、そして神でもヒトでもないモノも、精一杯生きて、誰かを愛そうとしていた。そういう愛の物語。
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by kiki_002 | 2009-03-22 19:39 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
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