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ドキドキさせてよ

だって、好きなんだもん!


by kiki

劇団め組「新撰組」

平成21年3月28日17:00~、SPACE107にて。

作/合馬百香
演出/与儀英一

出演/
沖田総司:入木純一、土方歳三:井上真一、近藤勇:秋本一樹、山南敬助:菅原貴志

菊川浩二、石原幸弘、中島圭一、竹下圭一郎、丹原新浩
三村正志、岡本純治、馬場真彦、又吉健介

高橋佐織、武田久美子、松本具子、宮尾育美、清水祐美子
八島未来、横山千春、稲垣由美、木下好栄、稲垣納里子

河本博志、玉城誠、吉葉結花、山本綾乃

清川八郎・中岡慎太郎・高田又四郎:野村貴浩
新見錦・伊東甲子太郎:土山壮也
平山五郎・岡田以蔵・佐々木只三郎:新宮乙矢
芹沢鴨・坂本龍馬:藤原習作


よくコメントをくださるMegさんのブログでタイトルを見かけて、それ以来気になっていたこの舞台。なんとか都合がついたので、観に行ってきた。

幕末という時代が気になる。いや歴史は詳しくないけど、さまざまな小説や映画やマンガ、舞台などの題材にもなったそのドラマティックさに惹かれるのだろう。特に、ずっと前に読んだ「あさぎ色の伝説」や「天まであがれ!」などのマンガのイメージがあるためか、新撰組にはちょっと思い入れがある。

初めて観る劇団なので、最初は人の見分けがなかなかつかない。しかし最初の場面、芹沢鴨一派への対応で、近藤・土方・沖田の主役3人それぞれの個性を把握させる展開に、まずはホッとひと安心。

浪士隊が京都についたのは、桜の花が咲き誇る春の1日。荒々しい江戸の男たちと強くしなやかな京の女たちの出会い。女たちの衣装を観るだけでも華やで楽しい場面。

近藤たち主役グループもよかったが、近藤たちと対立する芹沢一派がなんとも印象的。しかも、芹沢鴨を演じた役者さんが坂本龍馬を演じたりするのがまた楽しい。芹沢のイカレた感じと、坂本のスケールの大きさのギャップがよかった。

その芹沢一派の平山五郎を演じた方は、岡田以蔵・佐々木只三郎と3役。いやこうして並べた役名を見るだけでも、殺陣の上手な方なのだろうということがわかる気がする。ワイルドな雰囲気と声の良さが印象的で、特に以蔵の登場シーンにしびれた。

全体には、予想よりスタンダードな内容で新撰組を描いていたように思えた。主役の3人は、一般的なイメージを崩さないような近藤・土方・沖田をきちんと演じていて、好感を持った。特に病に倒れた後の沖田総司の「いまなら山南さんの言ったことがわかる気がします。でも、自分で選んだ道ですから……」というセリフに、既成の総司像を象徴する透明感が感じられた。

迫力のある殺陣もたっぷりあって、それだけでも見応えがあった。そして、新撰組を巡る女たちの哀切な思い。

沖田の発病・山南の切腹など、物語が進むにしたがって、新撰組のメンバーを覆うような閉塞感が感じられてくる。彼らの選んだ道に、先が見えないからだろうか。その息苦しい雰囲気がうまく表現されていて、それでもそのまま進み続けた彼らの生き方の哀れさが切実に感じられた。

ラストに総司の死の場面を選んだのはややありがちかとも思うが、これまでの登場人物が行き交う回想シーンの美しさがせつなさを増して、胸に迫るエンディングとなった。

終演後、会場を出ようとしたら、劇場から出口へと向かう階段に、衣装をまとったままの役者さんが出ていらして、観客を見送ってくれていた。やや緊張しつつ、『お疲れさまでした』と声をかけながら、劇場を後にした。

桜舞うこの季節にふさわしいこの舞台。「燃えよ剣」でも読み返してみようか、なんていう気分になった。
by kiki_002 | 2009-03-28 23:58 | 舞台