再びDULL-COLORED POP#7.7『SHORT7』を観る
平成21年5月5日13:00~(Bプログラム)、16:00~(Aプログラム)、19:00~(Bプログラム)、Pit北/区域にて。

作・演出/谷賢一(DULL-COLORED POP)

出演/
清水那保、堀奈津美(以上DULL-COLORED POP)、
岡田あがさ、桑島亜希、小林タクシー(ZOKKY)、
境宏子(リュカ.)、佐々木なふみ(東京ネジ)、佐野功、
千葉淳(東京タンバリン)、田中のり子(reset-N)、
ハマカワフミエ(国道五十八号戦線)、堀川炎(世田谷シルク)、
堀越涼(花組芝居)、和知龍範

作曲・演奏・音楽監修(「エリクシールの味わい」)/伊藤靖浩


先日に続いて、また王子で『ショート7』を観てきた。しかも今度は、ガッツリ3公演。

Bプログラムの最初の演目は「息をひそめて」。冒頭の佐野功さんの独白ももちろんだけど、女同士の会話がいかにも自然で好き。ラストでは、この後どうなるのか、ついつい考えてしまう。個人的には、きっといろいろなものを抱えながら、一緒にやっていくんじゃないかという気はするんだけど……。「分かち合うばかりが愛じゃない」というフレーズが心に残る。

「エリクシールの味わい」は、やはりある意味傑作といえるだろう。人によって好き嫌いがあるかとも思ったけれど、意外とそうでもないのかも。岡田あがささんの無垢な美しさは得難いものだけれど、対する小林タクシーさんの印象が実はそれ以上に大きいように思えた。コミカルな中に真摯さを感じさせて、荒唐無稽な設定にも説得力を感じさせる。この役を別な方が演じたら、作品のイメージはまったく違ったものになってしまうかもしれない。

音楽を担当された伊藤靖浩さん。演奏も歌もよかったし、ときどき芝居にも加わるときの雰囲気も味があってよかった。オリジナルの曲がまたよく出来ていて、思わず口ずさみそうになるのだけれど、あの歌詞を人前で歌わないよう、気をつけないと。

「藪の中」については、まず前回書いた文章で訂正しなくてはならないことがある。観た後に原作を読み返してみたら、ずいぶんこの芝居とは違っていることに気がついた。

たとえば、前半の4人の証言者の部分。原作では淡々と進められていたけれど、芝居ではそれぞれの人物や状況がより具体的になり、そのために証言の中に嘘や主観が含まれているのが観客にも感じられる。「人間でございますから……」という旅の僧の言葉に思わずうなずいてしまう。

あるいは、たとえば、芝居を観たときの、あるいは耳で聴いたときのわかりやすさを重視していること。そのために、語彙や言い回しから時代ものの雰囲気が薄れてしまうきらいはあるが、作り手の優先順位からすれば、仕方ないことなのだろう。

海千山千の盗賊が証言した後、若い女性の証言に変わった瞬間、その声と所作の変化に思わず感動した。堀越涼さん以外に、誰がこんなふうに演じることができるだろう?

Aプログラムの「ソヴァージュばあさん」。3人の若者の個性の描き分け。言葉が通じない同士の交流。暖かな雰囲気から一転して起こる悲劇。いや最初から、悲劇の雰囲気は重低音のようにずっとこの芝居を震わせていただろうか。独白と会話で構成されたこの芝居を観て、映像での表現を想像してみたり。

「Bloody Sauce Sandwitch」。屈折した少女のシュールな現実。日常に紛れ込む悪夢。悪夢となった日常が繰り返されていく……。絵的なインパクトは確かにあったけれど、出血の扱いはやや不自然に思えてしまった。ああいうとき、下着や服が汚れるのが気にならないはずはないと思うんだけど。

ヒロインを演じるハマカワフミエさんの少女らしい雰囲気とやや肉感的な脚線美が、エキセントリックな物語をどこか甘美なものに感じさせている気がした。

「15分しかないの」のヒロイン、堀奈津美さん。意志的で潔い雰囲気の美貌。この作品でも「息をひそめて」でも、恋や仕事に悩む等身大の女性を描いて、同じ女性の目から見ても好感が持てた。

「アムカと長い鳥」では、鳥や赤ん坊の泣き声を機械的な音で表す演出が、主人公の不安定さとよく呼応して秀逸。赤ん坊についてのちょっとした疑問。学生時代に出来ちゃった結婚した主人公が、いま24歳。そうすると、子どもが2歳や3歳にはなってるんじゃ……?その年齢なら、もう赤ん坊というより幼児という感じで、充分会話が成立すると思うんだけど。あるいはすでに彼女の手元に子どもはいないのか?などといろいろ考えてしまった。

どの作品も、やや饒舌過ぎるほどの言葉の奔流を、熱意と力のある役者がしっかりと支えている。エンターテイメントとしても表現としても、いろいろなチャレンジが感じられて、ずっしりとした満足感が得られる内容だった。

あ、そうそう、「キャバクラードポップ」と題されたアフタートークもなかなか楽しかった。谷賢一さんとゲストのreset-Nの夏井孝裕さんのトークは、芝居を書く上での方法論といった内容。キャバクラという設定の芝居仕立てなので、そこに女優ちゃんたちがなんとなく絡んできたり。夏井氏がフランスで過ごした際の話なども印象的だった。ただしこの日の公演についてはまったく語らず。いや、それはそれでアリだと思うけどね。キャバクラ仕立てにしたことで、微妙なまったり感が出て、芸術論的な話題が気楽に聴けたし。
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by kiki_002 | 2009-05-06 14:33 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
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