グイン・サーガ第127巻「遠いうねり」
著者:栗本薫
出版社: 早川書房(ハヤカワ文庫)
発売日: 2009/6/10

彼女は亡くなったけれど、彼女の書き残したものは、こうして本となって私の手元にある。それがなんだか不思議な気がするのに、読み始めればいつもと同様、すぐに向こうの世界に引き込まれる。

ああ、イシュトがなんだか大人びて、王らしいことを言ってるじゃないの。そのくせ、やっぱり変わらずにチャーミングだし。

苦労性のヴァレリウスも相変わらず忙しそうにいろいろと駆け回ってるし。

そして遠いケイロニアでは、もうずっと前に語られていたあの厄災に、グインがとうとうたち向かっていくことになったようだし。

ヨナとスカールが入り込んだヤガの町は、ずいぶんと怪しげな風情だし。

こんなにもよく馴染んだこの世界、この中を歩くことができるのも、もうあと少し。彼女が残してくれたあと少しのグイン・サーガを読み進むのが怖いような気さえする。

あとがきを読むと、なんだか涙が出そうになる。何か予感めいたものがあったのだろうか。あるいは……。

すでにこの世の人ではなくなってしまったその人の言葉を、味わうようにゆっくりと読み進んだ。

物語の中では、何か大きな動きが近づいてくるような気配が感じられる。ややいつもと雰囲気の違うタイトル「遠いうねり」。それは何かの予感のような、あるいは地響きのような、そういう遠い気配。
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by kiki_002 | 2009-06-11 23:56 | | Trackback | Comments(0)
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