シアタークリエ「異人たちとの夏」
平成21年7月24日14:00~、日比谷シアタークリエにて。

原作/山田太一(「異人たちとの夏」新潮文庫刊)
脚本・演出/鈴木勝秀

出演/
原田英雄(離婚したばかりのテレビドラマの脚本家):椎名桔平
藤野桂=ケイ(ある夜、原田の前に現れた不思議な女):内田有紀
父(30年前に死んだ原田の父にそっくりな男):甲本雅裕
母(原田の母にそっくりな女):池脇千鶴
間宮(原田と仕事仲間のTVプロデューサー):羽場裕一

       ※       ※       ※

鈴木勝秀さんの演出で椎名桔平さんの主演といえば、思い出すのが「レインマン」。これはもう、ホントにとってもステキな舞台だったんだよぉ~~。初演・再演と観て、そのたびに泣いたんだよねぇ。

で、当然こんどの舞台も観たいと思っていた。なのに、もたもたしているうちに公演期間が始まり、あわててチケットを手配。そんな具合に間際に取った席だったのだけれど、劇場に行ってみたら思ったよりずいぶんいい席だった。

前から3列目通路側♪

……しかも始まって2分くらいで、桔平さんが舞台から降りて通路を歩いてくるじゃないの!あ~、ビックリした。近くを通ったとき、なんかいい匂いがしたよ。終盤に再び近くの通路を通ったときも同じ香りがした。何の香水をつけているんだろう?

いやいや、ミーハーな話から始まって申し訳ないけれど、山田太一さん原作のこの物語、映画でご覧になった方も多いのではないだろうか?

名作映画の舞台化……というと、これも「レインマン」と同様。まあ、この「異人たちとの夏」は小説の原作もあるのだけれどね。そういえば「レインマン」では桔平さんと橋爪功さんがサッカーをしていたり、こんどは桔平さんと甲本さんがキャッチボールをしてたりしたっけ。

すでに公演期間が終了しているので、以下がっちりネタバレ。

離婚して、1人暮らしに戻ったばかりのシナリオライター原田。ある日、久しぶりに訪れた浅草で、亡き両親そっくりな夫婦と出会う。

それと平行して、ある夜突然部屋にやってきた不思議な女ケイとしだいに親しくなり。

亡くなったはずの両親の元を、繰り返し訪れる原田。その不思議に居心地のいい空間。朴訥な父と優しい母と。すでに父や母の年齢を通り過ぎ、大人になっているはずなのに、親と子としての会話が照れくさいような幸せなような、奇妙な時間。

その間、ケイとの関係も親しさを増し、互いを必要な人と感じ始めるのだけれど。

亡き人との交流により、しだいに原田はやつれ衰えていく。両親と会わないように原田を説得しようとするケイ。

両親との別れ。池脇さんの演じる母の懐かしいような素朴な優しさ。「お前を大事に思っているよ」別れ際の言葉に、思わず目が潤む。

しかし……実はケイもすでにこの世の人ではなかった。

両親もケイも消えた後、間宮と共に浅草を歩く原田。すべてを失って、それでも安らかな表情の彼は、何か大切なものを思い出したのかもしれない。

あわただしい現代の社会を生きていく1人の男が、ある事件を通して家族の情愛と人を愛する気持ちを思い出す……という枠組は「レインマン」のときと似ている。

また桔平さんがこういうの似合うんだよね。最初のちょっと荒れたいらだたしい感じから、人恋しい表情に変わっていく感じがさまになる。

両親との別れの場面では、ずいぶんたくさんの方がすすり泣く声が聞こえた。そういう、じんわり泣けるいい舞台、優しい気持ちになれる舞台だった。……とはいえ、これを観た次の日、用もないのに実家に両親の顔を見に行った私は、単純な人間なのだろうと自分でも思う。
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by kiki_002 | 2009-07-27 22:49 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
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