「俺たちは天使だ!」についての追記
明日は、観世能楽堂で閑能会別会を、それも11時から16時45分までという長丁場で観る予定。いや絶対寝ちゃうね、これ。せめて先生に恥をかかせるようなひどい寝方をしないよう気をつけます。←駄目じゃん(汗)

その後、柿喰う客の「悪趣味」を再び。いやこれは、ホント面白い。日曜までシアタートラムでやってるから観に行って。……もっとも、すでに前売りはすべて売り止め。当日券は出るそうなので、それでぜひ。

日曜日は仕舞のお稽古のあと、野外で狂言を観る予定。

そんな伝統芸能三昧(柿を除いてね)な週末を前に、この前観た芝居についてもう一度軽くまとめておきたくて。

「俺たちは天使だ!NO ANGEL NO LUCK~地球滅亡30分前!」

けっして、芸術的な舞台と言うわけではないし、斬新だとか新しいとか、そういうたぐいのものでもなくて。まあいわば、シンプルなエンターテイメント。それも、ワザを見せるっていうタイプでもなく、メインとなるキャストも、どちらかというとあまり舞台慣れしているとはいえな(以下自粛)。

でも、どうしてだろう?観終わった後で思い返すと、なんだかまた観に行きたくなるような舞台だった。

8月の末に始まった舞台。始まって最初の週末となる土曜日の夜、観に行った。開演間際、ふと振り向いて、えッ?と思った。1階座席が半分も埋まってないようだったから。確かに、あまりチケットが売れてなさそうなことは、直前になって次々と告知されるイベントや特典からも想像がついていたのだけれど。

正確に数えたわけじゃないし、2階にも多少は人が入っていた可能性もあるけれど(チケットの値段が違うからね)800人ほどのキャパに対して、半分も入っていないように見えた。

そりゃ、その人数が多いか少ないか、っていうのはいろいろ考え方があるだろう。でも、45人定員だろうが80人定員だろうが、狭い空間に膝を突き合わせるようにして期待して待つ観客で埋まった劇場と比べて、正直、淋しい雰囲気は拭えない。

で。埋まってない客席。ゆるいテレビシリーズ。公演期間間際に慌しく打ち出されるプロモーション。大丈夫なの、この舞台?そんなふうに、やや不安を持って開演を迎えたわけなのだけれど。

始まってすぐに、そんな感情は消えた。舞台上のキャストにも後方に広がる空席が見えてはいるだろうけれど、そんなことには関係なく、気持ちのいい熱演と馬鹿馬鹿しギャグの応酬でしっかり楽しませてくれた。

なにしろ、2クールのドラマを放送している真っ最中だ。稽古期間も短かったことだろう。そのくせ日替わりのアドリブもふんだんに入れて、リピーターに対応したりもしている。

なんていえばいいか、例えばちょうどいまシアタートラムで絶賛(!)上演中の劇団、柿喰う客の主要メンバーとこの舞台のメインキャストって、まあだいたい同世代なんだろうと思う。けれど、柿を観て感じる役者のしたたかさとか達者な感じや芝居に対する自負と比べ、初々しいというか、はっきり言えばなんとなく不慣れな雰囲気が漂っていたりして。でもまあ、だからこそ舞台上の彼らの必死な感じがなんとなく伝わって、ついつい応援したくなったりも……。

こじんまりと前方にまとまった観客の親しげな拍手や笑いで、会場の雰囲気はとてもいい。リピーターが多いのだろう、笑うところは笑おうと待ち構えており、いまどき、劇中で口ずさんだ歌にちゃんと拍手をするほど熱心な観客がどこにいるんだろう……って、ここにいるんだなぁ、なるほど。

そういう会場の雰囲気と、テレビ版のキャラを活かしたキャストの関係性と、メインキャストを支える舞台版出演陣と、なにより舞台上にいる全員が元気で楽しそうに演じている感じと、そしてきっと脚本と演出がたくみに彼らの魅力を引き出しているのだろう、それぞれのキャラクターがキッチリと伝わって、気持ちよくハマれる舞台になっていると思えた。

キャップを演じる渋江譲二さん。長身の二枚目なのだけれど、飄々としたつかみどころのない役柄がテレビより際立って、どこかぎこちない動きにさえ味がある。

ダーツ役の鎌苅健太さん。器用そうな軽い感じの演技。キャップからふられるアドリブに答える場面が、日替わりネタの中で最大のみどころだったかも。

ナビ役の藤田玲さん。千秋楽に21歳のバースデイを迎えたらしい。若いね~。やや不器用そうな男の子っぽい雰囲気が魅力的。方向音痴キャラに笑った。

ジュン役の山本匠馬さん。整った美少年系の顔立ちで、徹底してやられ役。弱いキャラとして殴られる役も運動神経が良くないとできないよね、きっと。

coco役の秋山奈々さんは、なんといっても脚がキレイ。おっとりしたお嬢さんらしい雰囲気が可愛らしい。

今後テレビ版に登場することになる加賀美役の載寧龍二さん。登場場面は多くないものの、美味しいところをさらっていく感じ。カッコいいのに、なぜ「オレのこめかみ」?

刑事に憧れるお巡りさん役の林修司さん。徹底してコミカルな役を熱演、走って車とバイクに追いついてしまうようなマンガっぽいキャラでしっかりと笑いをさらっていた。

気のいいオバちゃん御手洗さんを演じる山下裕子さんは、最初のキャップとのやりとりの場面から目をひく。観ていると、とにかくよく動くのだ。アクションとかそういう動きではなく、ただ世間話をしているだけの場面でも、あっ!と思うほど、活き活きとよく動いて面白い。

同じく山下さんのミジャルタの女王の場面では、毎回アドリブによるミジャルタ語に会場中が大爆笑だった。

謎の男トウドウ役の累央さん。滑稽な状況を抑え目な演技とトボけたアドリブでこなして、クールな雰囲気とセリフや状況のギャップで笑わせていた。

コミカルなカーチェイスの場面も大受けだったのだけれど、ご自身のブログで、というかそのブログのコメントへのレスで「バイクの場面は最初は恥ずかしかった」とおっしゃっていたり、今回は役作りについてもいろいろ悩んだと書かれていたりもしていた。けれどいざ幕が上がってみれば、しっかりと魅力的な敵役を作り上げ、楽しんで演じてらっしゃったように感じられた。

映像のみのご出演、小野寺昭さんは、なんといってもカップラーメン好きなキャラがおかしい。……っていうか、世代的には「あ、殿下!」って思っちゃうんだよね。

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さて、物語として考えるなら……いや、もうこの辺りは単なる趣味なので、軽くスルーしてくれていいんですが。

探偵サイドから見れば、猫が発端だった。しかし、ミジャルタ王国としてはどうだったのか。

高級リゾート地として各国首脳も訪れるミジャルタ王国の、大きな資金源は武器の輸出。女王の愛猫に印された記号が、ミジャルタ王国がこれまでに各国に輸出した反陽子爆弾の起爆システムを動かすキーとなっていた。

軍部に不穏な動き、なんていうフレーズもでてきたし、女王の殺害という言葉もチラッと出て。『クーデター』という言葉は、舞台では出てこなかったのだけれど、でもまあそういうことなんだろう。

女王を殺害し、そのネコを奪って、反陽子爆弾をネタにサミットのため集まった各国首脳に対して、なんらかの働きかけを行おうとするはずだったのだろう。しかし、麻生探偵事務所の活躍で、反陽子爆弾の起動はストップし、サミットも無事に終わった。

当然、トウドウが首謀者ではあるまい。せいぜい今回の実行部隊のリーダーというところだ。となれば、彼が捕まっただけで、ミジャルタ王国のトラブルが本当に終わったとは思えない訳ですよ。反陽子爆弾はいまも各国にあるわけだし。

ネコは御手洗さんが連れて行った。だからね、たぶん御手洗さんちのネコをまたミジャルタのクーデター軍が狙ってくるはず。日本の警察からミジャルタに引き渡されたトウドウが、自らのミスを償うために極秘のうちにまた日本に戻ってきて、麻生探偵事務所の面々と争うことになるっての、どう?テレビシリーズの最後の2話くらいで。

あ~、どうやら趣味に走り過ぎてしまったようです。

で、結局何が言いたいかって、この芝居が意外と面白かったってこと……なんだけどね。こういうB級かつチャーミングな作品、ってのは、けっこうハマるなぁ、なんて思ったりして。

少し本音を言えば、テレビと舞台の連携という試みが悪いとは言わないけれど、舞台というものに対するプロデュースサイドの読みの甘さを、現場の作り手とファンが必死でカバーして成立した舞台だったような気がする。まあ、だからこそ観客側が思い入れる余地が出来たのかもしれないけどね。
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by kiki_002 | 2009-09-11 23:57 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
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