「悪趣味」は傑作だと思うよ、たぶんね。
平成21年9月12日(土)19:00~、シアタートラムにて二度目の観劇。

初めて柿喰う客の芝居を観たのは、確か「性癖優秀」だった。さほど広いとは言えない舞台の上で、叫び、走り、歌う30人近い役者を、あっけに取られて観ていた覚えがある。

確かに面白い。でも本当に好きか、と言われれば正直微妙、そう思っていたのに……。その後、観続けていくうちに、しだいに独特のテンションに引きずり込まれてしまった気がする。

今回観た「悪趣味」、柿らしいと言えばこの上なく柿らしい。冒頭から繰り出される早口でハイテンションのセリフの応酬、次々と登場する怪しげな人物たち、「エロ・グロ・ナンセンス」という言葉どおりの馬鹿馬鹿しい挿話、役者の身体能力を試すような傾斜のある舞台、勢いのある音楽とカッコいい照明の中でバッチリポーズを決める登場シーン、ゆる~く挟み込まれるアドリブめいた小ネタの数々。

そして、異化装置としての玉置玲央、底知れない笑顔を見せる七味まゆ味、愛してるよと叫ぶ深谷由梨香、面白すぎる村上誠基、カッコよすぎるコロ、思わせぶりな本郷剛史、独特の存在感の高木エルム、そして、あいかわらずな感じの中屋敷法仁。(ゴメンなさい、テンション上がってきちゃったので、敬称略で)

そうやって、これまで観てきた柿のイメージをそっくり継承しながら。

しかし、この作品がいままで以上に観ているものを惹きつけるのはいったいどうしてだろう。最初に観に行ったときは、まだいくらか空席があった。しかし、観たとたんに「また来よう」と決めた自分のように、多くの観客がリピートせずにいられなかったのだろう。公演期間終盤には前売り券がなくなり、立ち見でも観ようとして当日並ぶ人々の姿があった。

客入れのおどろおどろしい効果音や、場内アナウンスでのお遊び、つくりこまれた印象的な美術、その他さまざまな細部を積み上げて、芝居の隅々にまで行き届いた世界観の確かさ。

おふざけもアドリブも、バラバラに見えるものや脱線のようなものすらすべて、 ひとつの芝居を成立させる装置として機能している。その完成度にゾクゾクする。

そして何より、劇団員・客演を問わずすべてのキャストが、この芝居の中でしっかりと組み合わされて、緊張感のある場面をつくりだしている。

あ~あ、もうねぇ。何言ってるのか自分でもよくわからなくなってるけど。

なにより個人的には、物語がそれ自体の持つ勢いを殺がれずに、とうとう決着を見ることができたのが、一番のポイントだった。

たとえば「俺を縛れ!」(これもホントに好きな芝居なんだけど)では、物語の流れをご破算にして、違う形で芝居を収束させていった。

しかし今度は。物語を一旦止めるように見せて、しかしそこからいっそう盛り上げていき、とうとうすべての決着を物語の中でつけてくれるのを観ることができた。しかも、そこに過去の場面を挟んで、本当に見せたかったものを、誰にでも伝わるように示してみせたりして。

そして、ホントにカッコいいラスト。もう何も言うことはありません。

これは確かにあるひとつの到達点となったのだろう。次の公演ではまったく違うタイプの芝居を、と言っていた中屋敷氏の言葉が印象に残る。

これからこの劇団がどう進んで行くのか、いろいろな意味で期待してみていきたいと思う。
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by kiki_002 | 2009-09-14 23:53 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
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