忘れられないこと
たぶん、3年か4年前。

友人に誘われて、近くの公共ホールで行われた「演劇ワークショップ」というヤツに参加した。演劇の経験も全然なく、お芝居はときおり観るものの、自分で舞台に立とうという野望なんてコレッぽっちもなかったのに、いったい何の気まぐれだったのか。

そのワークショップ、講師には、私などでも名前を聞いたことのあるやや大きめの劇団の演出家の方がいらっしゃって、週1回で何週か連続の講座が開かれたように記憶している。

最初の1回は、いわゆるワークショップ形式で、輪になって身体を意識して動くことや、イメージトレーニングのようなことをしていたような気がする。資料等を探さずに書いているので、違っているところもあるかもしれない。

2回目からは、それぞれ役割を決めて短い脚本を実際に演じる稽古をし、最終回ではその公共ホールの小さい方の舞台(っていったって、客席には5~600人くらい入れる大きさ)で上演することになっていた。

あくまで研修というかワークショップなので、上演の際も観客を入れないで、関係者だけが見守る中、やっと覚えたいくつかのセリフを必死で言っていたことと、簡単なマイムでクリームソーダを作ったことを鮮明に覚えている。

そうやって、最後に舞台に立ったことは印象的だったけれど、実はもっと強いインパクトを受けたことがある。

東京から招かれた講師のほかに、地元の劇団の方たちがサブの講師としてついていてくださったのだけれど、あるとき、欠席した受講者の役を、その劇団の役者さんのひとりが代わりに演じたことがあった。

代役に立った瞬間、その役者さんの歩き方も雰囲気も変わった。観ていて思わず声をあげそうになるくらいに。歩いてくるその人は、いつのまにか年老いたロバを曳いた老人に変わっていた。突然の代役なので台本を手にしているのに、セリフがまるで自分の言葉のように自然に聴こえてくる。

ワークショップには、私のようなド素人ばかりではなく、多少なりとも演劇の経験のある方も多かった。また、地元の劇団からも、その人だけでなく何人かお見えになっていた。

でも。そのとき老人を演じた役者さんは、あきらかに飛び抜けて上手かった。ああ、芝居ってこういうことなんだなぁ、とただ訳もなく感動した。

その人の出る芝居をいつか観に行こう。そう思ったまま、まだ果たせていない。

学校での上演がメインの劇団なので、なかなか機会がないことも理由のひとつだけれど、その人以外にも、いろいろなところに、スゴイと思う役者さんがいらっしゃることがわかってきたからかもしれない。

それでも、何気なく歩いて自分の立ち位置についた時の、その方の様子はいまも忘れられない。
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by kiki_002 | 2009-10-15 23:57 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
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