劇団め組 『岡田以蔵』
平成21年11月7日13:00~、下北沢「劇」小劇場にて。

作/合馬百香
演出/與儀英一

出演/新宮乙矢、藤原習作
渡辺城太郎、酒井尊之、野村貴浩
土山壮也、菅原貴志、丹原新浩、三村正志
高橋佐織、松本具子


時は幕末。尊皇攘夷の嵐が吹き荒れる京都では、武市半平太率いる土佐勤皇党が、幕府に対し、流血による粛正を挑んでいた。
そのテロリズムの先頭となったのが、足軽出身の岡田以蔵である。
武市がその剣の天賦の才を見出し、育てた岡田であったが、岡田の暗殺剣はやがて武市の目的を超え、暗い暴走を始める。
武市と岡田の間の溝は次第に深まって行く。
武市は土佐勤皇党を守るために、岡田の粛正を決意する。
一方、武市を慕い続ける岡田は、武市の決意を知り、絶望の果て、
ついに武市の罪状を告発するが・・・。(劇団公式HPより)


『人斬り以蔵』と呼ばれるこの岡田以蔵という人物も、いろいろな形いろいろなメディアで演じられてきたと思う。それだけに、難しい面もあるだろうけれど、少なくともこの新宮乙矢さんの個性を得て、魅力的であると共に、説得力のある以蔵の姿が描かれていたのではないだろうか。

史実は史実として、大きく独創に走ることはなく、しかし、さまざまなことが終わろうとしている場面から、ずっと時をさかのぼって見せる構成は、以蔵と武市の関係のせつなさを際立たせたように感じられた。

武市を始めとする勤皇の志士たちの個性、その志や真剣さ、あるいは豪快さを、好感を持って丁重に描く一方、主義主張や大義名分よりもただ自分の大切な人のためだけに人を斬り続ける以蔵の側の思いも確かなものとして描き、結局はすれ違ってしまう必然性と、それまでの間のささやかな交流をいっそう切なく見せていたように思う。

「劇」小劇場という汗も涙もくまなく見せるこじんまりした空間で、細かい表情も、殺陣の美しさも、しっかりと堪能させていただいた。

過剰ともいえる以蔵の思いを中心に描きながら、どこかバランスのとれた端正な物語に感じられるのは、この劇団の特徴なのだろうか?以前観た2つの作品も、今回同様なんとなく整った印象が残ったように思う。

雨の降る音と、桜の花の舞い散るイメージが、劇場を立ち去った後も残って、人の思いの儚さを思わせるようだった。

なんとなく抽象的な感想になってしまったけれど、人が人を慕う思いを切なく描いたこの『岡田以蔵』、11月15日までの上演なので、ぜひ実際にご覧になっていただければ、と思う。
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by kiki_002 | 2009-11-09 00:57 | 舞台 | Trackback | Comments(2)
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Commented by モトリークルー at 2009-11-09 22:02 x
君が為 尽くす心は 水の泡消えにし後ぞ澄渡るべき
って辞世の句を読まれたお方ですよね?あれ?…(汗)違うかも? 観劇は 道楽では ござらんよ(笑) 人間学 社会学の セミナーでござる!!素晴らしい事で ありんす。
Commented by kiki_002 at 2009-11-10 00:10
そうそう、その人です。モトリークルーさん、お詳しいですね。
人間学、社会学ですか♪そう言われると、なんとなくうれくて、
ついついまた観に行っちゃいそうです(汗)
だって、好きなんだもん!
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