グイン・サーガ第130巻「見知らぬ明日」
著者:栗本薫
出版社: 早川書房(ハヤカワ文庫)
発売日: 2009/12/10

発売日。書店で平積みになっているのを手に取った瞬間、『あっ!』と声をあげそうになった。薄い、そして軽い。いつも同じ長さ、同じ4章にまとめられたこのシリーズなのだけれど、しかしこの一冊は2章が完成する前で途切れている。

わかっていたはずなのに、改めて栗本さんが亡くなったのだということが、切実に感じられた。

読み始めれば、長い間親しんだあの世界。多くの登場人物たちが、いつものように言葉を交わし、それぞれの思いを抱えて動き続けている。

相変わらず貧乏くじを引いてしまうヴァレリウス。いや、彼はいつも、なぜか損な役割が回って来てしまう、と言うけれど、そうではないのだ、と今回はよくわかった。彼自身が、いろいろなことに気づいてしまい、そしてそれを見過ごせない、捨てて置けない性分なのだ。まあ、その性格そのものが貧乏くじだという考え方もあるけれど。

そして、イシュトはいったい、何をしようとしているのか。マルガへ詣でた後、パロを発ったはずなのに。新たな争乱の火種を生み出そうとしているのだろうか。

パロの行く末を案じながら、祈ることしかできない、というリンダに、それも大切な役目だ、というヴァレリウス。この何気ないやり取りが、なぜか胸に響いた。

絶体絶命の危機にあったはずのフロリーが、目覚める場面の途中で、物語は途切れている。

巻末には、今岡清氏の解説が付されている。公私にわたって栗本さんを支え続けてきたこの方の、グイン・サーガへの思いが綴られているこの解説を読むと、また改めてこの物語のことを考えてしまう。

多くの人に愛され、読まれ続けてきたこの長い長い物語に、心からの愛と感謝を。
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by kiki_002 | 2009-12-22 23:56 | | Trackback | Comments(0)
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