Arts Fusion in KANAGAWA『ドリル魂-YOKOHAMAガチンコ編』
え~~っと(汗)。またこの話題?と言わないように。だって、まとまった感想はまだ書いてないし。

……えっ、じゃあ今まで書き散らしてたのは何だったの?と訊かれれば、告知……のつもり(爆)。いや、空回りしてて申し訳ない。

というわけで、改めてあらすじを含めた感想を。……これがまた馬鹿馬鹿しく長いンですが、ご容赦ください。

平成22年2月26日(金)~28日(日)、神奈川県青少年センターにて。

作・演出/横内謙介
音楽監督/長谷川雅大
振り付け/ラッキィ池田・彩木映利
エアリアル振付/若井田久美子

出演/
竹松:累央
ガン平:岩本達郎
エリ:小牧祥子
オヤジ・トシ・遠藤貞雄(建築家):鈴木利典
節子:鈴木里沙
ケンタ:上原健太
小梅:桧山宏子
トモ・男:高木トモユキ
ユウカ:川西佑佳
ユウジ・安全太郎:安達雄二
ペス:上土井敦
ニーヤン:新原武
ガストン:江原由夏
ナミ:栗原奈美
ゴリ:藤本貴行
クシ:串間保彦
タカノ:鈴木崇乃
イヌさん:犬飼淳治
柏田:中原三千代
シゲ爺:杉山良一

御手洗工事:森田成一
島崎:瀧田和彦
 
ハルカ:仲川遥香
ナツミ:平嶋夏海
アヤ:菊地あやか
ミサキ:岩佐美咲<AKB48>

轟組補助作業員:江花実里、吉田有希、藤田勇人、松原海児、松本亮(扉座サテライト)


客席とのやり取りも楽しい遊び心あふれる前説が終わると、サイレンとともにゲートが開いてノリのいい曲が始まる。つるはしを持ち、ニッカポッカで踊る、ドリル魂の象徴のようなこの曲は「HARD WORK」。

舞台上に組まれたイントレ。作業服姿の男女が所狭しと踊る。会場からは手拍子。一体感のノリはややライブ風。あっ、と思ったのは、DVDやCDで聴いたときより歌声に厚みがあったこと。最初の曲から轟組の進化が感じられて期待が高まる。

そして、物語が始まる。

ある街のコミュニティセンターを建設する工事現場。世界的に有名な建築家の設計によるこの現場で起こるさまざまな出来事やトラブル。

まず最初の事件は、深夜の工事現場で起きた4人組の女子高生によるオヤジ狩り。少女たちが壊した安全太郎の人形についてもめ、弁償すればいいんだろ、と毒づく少女たちに棟梁の竹松が言う。じゅあ、身体で払ってもらおう、明日からここで働くんだ、と。

そこへやってきた警官から『仲間だ』と言って少女たちをかばう轟組の面々。心を動かされ、そこで働く決心をす少女たちは、最初にかばってくれたイヌさんに、つらくても決して逃げ出さないと誓うのだった。

翌朝。元請のキムラ建設の担当 御手洗と竹松が言い争っている。度重なる設計変更に業を煮やした竹松が、あんただって困るだろう、と責める。しかし、その著名な建築家の作品を手がけることが夢だったのだと、気弱そうな御手洗が言うと、それを聞いた竹松が折れる。しかたない、今回だけだぞ、と。

そこへやってくる竹松の妹 小梅。鳶の仕事がしたいという彼女を竹松が、おとなしく伝票整理でもしていろ、と怒鳴りつける。けれど彼女の熱意に負け、彼女の願いを聞き入れる竹松なのだった。

こうしてみると竹松って、強面で怒鳴ってばかりいるけど、どう考えても人がいいよね。

そうこうしているうちにお昼時。「ランチタイム」は手作りのお弁当を食べる2人のデュエット。高いイントレの上で、睦ましげにタコさんウインナーやさつま揚げを食べる様子を歌う、可愛らしく面白い歌。表情豊かな節子とケンタのやりとりが見ていて微笑ましい。

イヌさんが弁当片手にやってくる。ご当地ネタでシュウマイ弁当について日替わりで話しつつ、前2列のメット席に向けて、メットやマスクの着用を何気なく(?)説明。

そして、昼休みだと言うのに、ドリルのレッスンを始めるのは、ドリルの達人ガン平とプロになりたいというエリだ。

そんな中、建築家の事務所から、抜き打ちで検査にやってきた島崎という男が彼らの仕事にクレームをつけていく。

繊細さが足りない、もっとプライドを持って仕事しろという言葉に、竹松が殴りかかる。それを止めようとする轟組の面々と乱闘になるが、誰も竹松を止められない。とうとうガン平と棟梁の1対1の戦いになるが、なぜかそこに飛び込んだのが御手洗だった。

大人しく気弱そうな態度だった御手洗が、思わず竹松を殴り、一瞬しまったという顔をしながら、結局は竹松やガン平を叩きのめすくらい強いことがわかる。しまいには鉄の棒を持って竹松と立ち回ることになるが、周囲が2人を押さえている間に寄ってたかって鉄の棒を溶接してしまったりと、ドタバタしながらも騒ぎが治まり、御手洗の熱意と腕っ節にみんなが一目置くようになる。

騒ぎの後、竹松とがん平が歌う「生傷アミーゴ」は、やや懐かしいアイドル風の曲調で、振付も楽しい。

ドリルを教えているエリへの思いを語るガン平と彼女の過去、そして、エリへの告白。しかし、彼女はガン平の思いに応えられない。そこに現れる男。借金があることや自分の愚かしい過去を語るエリ。そこで彼女の借金の保証人になるガン平に、エリは心を動かされるのだった。

場面が変わり、ゲート前で数人が話をしている。少女たちが芸能事務所からスカウトされたのだが、つらくても逃げないというイヌさんとの約束を思い、現場を立ち去りかねているのだ。しかし、それぞれ自分の現場で戦えばいい、つらくても自分の夢を追ってがんばればいいんだというイヌさんの言葉に、挑戦を決意する少女たち。

ここで、彼女たちの歌とバックで踊る轟組。間奏でフラッグを使った演技が行われるが、そのときセンターに立つのはガストン。このときの彼女の動きはとてもカッコよく印象的だった。

しかし、この現場にまた騒ぎが起こる。ここまで手直しを進めていた現場に、突然また大きな設計変更の可能性が出てきたというのだ。

工期の延長も人員の増員も経費の上乗せもなく、ほとんどの工事をやり直すことになるという。その理不尽さを指摘しながら、竹松は撤収命令を出す。無理をして事故が起これば死ぬのは俺たち現場の人間だ。こんなことで仲間殺せるか、と。

現場の気持ちがわかってない、と竹松らに責められる御手洗。しかし、彼の死んだ母親は、日雇い労働者として工事現場で働いていたのだった……。

御手洗を演じる森田さんが歌う「ヨイトマケの唄」とそれに続くイヌさんの歌う「ヨイトマケ音頭」の力強い響き。そして、母への思いを表すエアリアルの美しさ。

そんな中、ずっと姿を現さなかった建築家が現場へやってくる。癌におかされ、絶対安静と医者に言われたいたらしい彼は、車椅子の上で充分身動きもままならないまま、しっかりわかる口調で言う。もう一度挑戦したい、と。

修業が足りないので現場の作業員諸君に迷惑をかける。いまから設計変更して、工事は間に合うのか、と問う建築家に、御手洗が答える。大丈夫です、なんとかします、と。

御手洗が熱い思いを語り、轟組の面々を説得しようとする。やり遂げたい、この現場を完成させたい、その思いが若い彼らを突き動かす。

印象的だった場面はたくさんあるけれど、今回のバージョンに限って言うなら、ここで下手から出てきた竹松が、御手洗を囲む轟組のメンバーの様子を見ている姿がとてもせつなかった。

病身を押して現場に来た建築家と、その熱意に応えようとする御手洗の思いに打たれた轟組の仲間たちが、熱い思いを歌い、踊っている。本当ならそういうとき、真ん中にいるのは竹松のはず。……なのに、彼はその様子を少し離れたところからジッとたたずんで見つめている。

彼は簡単には決断できない。自分の情熱や思いだけで、困難な仕事に向かっていくことができない。それは彼がトップだから。

元請であるキムラ建設の御手洗に「こんなことで仲間殺せるか」と言った言葉。

彼が「やる」と言えば、轟組は困難な仕事に責任を持たなくてはならない。常識で言えば、とても無理だと思える仕事。会社としてみたら、無茶で馬鹿馬鹿しいとしか言えない、そういう仕事。

熱い思いを語る仲間たちに加わらず、ただそれを見つめている竹松の逡巡に胸が痛む。

そんな竹松を一発殴り怒鳴りつけるシゲ爺のことば。男なら途中で投げ出すな、オヤジはまだここにいるぞ。現場に命をかけて、現場で死んだお前の父親は。

もうここからは何のセリフもなく説明もなく、ただ歌とダンスだけで進んでいく。

竹松のソロ「今日生まれたと思え」。死んだオヤジの言葉。負けのない人生はない。身体ひとつで自分の名前さえ知らなかった生まれたときの自分の戻ればいい、今日生まれたと思え、と。

そうして、彼の周りに集まり始める仲間たち。無言で手渡されるヘルメットとツルハシ。

繰り返し振り下ろされるツルハシ。息を切らし、汗をかきながら。「ドカタケルト」と呼ばれるこの曲では、民俗音楽風のリズムに合わせ、歌もなくただ黙々と動き続ける。ダンス、という言葉から普通連想されるよりもずっと泥臭く力強いその動きに圧倒される。

特に、センターで延々とツルハシを振り上げ振り下ろし、足を振り上げ振り下ろし、その単純な動きを続ける竹松の必死の表情が印象的だ。

もちろん、その周囲で脚立やバケツを使い、つるはしを使い、激しい動きを続ける轟組の面々も皆すべて汗びっしょりとなっている。

そして……。音楽が変わり、次の曲が始まる。「ドリル魂のテーマ」。激しい動きで呼吸を荒くしたまま歌うこの曲の美しい響き。『ありふれた言葉はやめて、この胸の思いを語り合おう……』

「ドカタケルト」から「ドリル魂のテーマ」へと変わるこの瞬間は、何度観ても感動して胸が熱くなる。

轟組のメンバーの大半が、 本名やふだん呼ばれているあだ名を役名としてること、実際にこれまでさまざまなトラブルに見舞われながら、それに負けず公演を続けてきたこと、それらがあいまって、劇中の轟組と現実に舞台の上で汗を流す彼らとが重なり、なおさら愛しく感じられる。

光が差し、音楽が流れ、彼らが前に進もうとする思いが客席に届くとき、私たちはこの舞台から何か大切なものを受け取ったことに気づくのだ。

すでに再演を重ねてきたこの舞台。また形を変え、進化しつつ、きっとまた戻ってきてくれる。その日を信じて待っていたいと思う。
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by kiki_002 | 2010-03-08 00:52 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
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