調布市せんがわ劇場アンサンブル第8回公演「新羅生門」
平成22年3月13日(土)19:00~、調布市せんがわ劇場にて。

作・演出/横内 謙介

出演/
山路勝昭(フリーター):橋本昭博
岡元信也(フリーター):鈴木太一

ゴロウ(鬼):野口裕樹

渡辺綱:渡邉晋
桃太郎:大窪人衛
犬:木谷圭嗣
猿:吉田 萃
雉:植草美帆
姫:工藤あさぎ
一寸法師:滝下毅
金太郎:柴田千絵里
浦島太郎・リュウ:古田龍
   ※
洗濯女:伴美奈子
   ※
飯島サエ(鬼の母親):新井 純


-あらすじ-
鬼VSおとぎ話のヒーローたち。
   彼らは滅びたのではなかったのか?
      熱いバトルが今よみがえる!

東京のど真ん中,取り壊されるのをひっそり待っている一軒の古い家。
ある夜,ここに二人の若者が老婆と共にやってきた。
一晩床下の穴掘りを手伝うだけで大金が!?
もうけ話に目がくらんだ二人は,怪しみながらもシャベルを手にする。
そんな彼らの目の前に,なんと本物の「鬼」と,「鬼たいじをするおとぎ話のヒーローたち」が現れた!
驚く間もなく,宿命の闘いに巻き込まれていく二人。

現実か,幻か。
そして,角もつ鬼は悪なのか。正義の味方は善なのか。

公募で集まったキャストと市民が結集、横内謙介氏を始めとするプロとのコラボレーションで創り上げます。
せんがわ劇場アンサンブルがお贈りする、本年度最後の公演。
(劇場HPより)


仙川と聞いて、地理オンチの自分はどの辺りなのかもピンと来なかったけれど、新宿から京王線で20分くらいだろうか、先週行った笹塚の少し先という感じ。

仙川駅に降りてみると、大都市というよりややこじんまりした街並み。しかし駅前は明るく、待ち合わせなどでたたずむ人も多くて、活気のある印象。

駅から4分と聞いた劇場へ向かって歩き出す。角をひとつ曲がると、意外にすぐ劇場が見えてきた。安藤忠雄氏の建築だそうで、なるほど、言われてみればコンクリー打ちっぱなしの外観が特徴的だった。

会場に入ってみると、舞台を挟んで前後に客席を配置してある。最前列かぶりつき希望のカブラー(笑)としてはやや不本意ながら、席は後ろから2列目。といっても6列目(!)なので、とても観やすい。客席は100くらいあっただろうか。

さて、あらすじにもあったとおり、2人のフリーターがある夜出会った不思議な出来事。

取り壊し直前の古い家で、床下を掘る男。その手伝いのために2人を雇った老婆。彼らの掘り出したモノ。そして現れたのは……。

う~~ん、まだ初日を迎えたばかりで公演は22日までだし、そりゃあ再演を重ねた名作だから内容をご存知の方も多いかもしれないけど、昨夜は自分自身ワクワクしながら舞台を観つめていたので、今日はできるだけネタバレは避けるようにしたいと思う。

荒唐無稽な展開と突拍子もない登場人物たち。そこにいまどきの青年2人が加わることで、観客に感情移入させながら、話は進んでいく。

誰が敵で誰が味方か。何が正義で、何が悪か。

シチュエーションの面白さプラス言葉遊びや時事ネタも含めて笑わせながら、2人の若者が目の前の出来事に心を動かされたり、感動したり、あるいは自分で考えようとしたりしていく様子に共鳴する。

二転三転する状況に、いや状況は変わらないのだが、それを観ている2人の思いや方向性が万華鏡を動かすように変わって行くにつれて、少しずつさまざまなことを思わせられたり。

無条件で「悪」とされた鬼の哀れさと、鬼を産んだ母の悲劇と、鬼退治を存在意義とするお伽噺のヒーローたちと。

ツノがあるというだけで、悪だとは言えない。しかし、そのツノが鬼を暴力へ導くこともあり。

理屈を離れてダンスと歌で盛り上げる場面もあり、そういえば、とても歌の上手いキャストがいて、聴いていて気持ちよかった。

新井純さん演じる鬼の母の圧倒的な悲劇性と、庶民代表のしたたかな洗濯女を余裕タップリに演じた伴さんの存在感。

2人のフリーター、ちょっとガキ大将風の岡元と繊細さと調子のよさを併せ持つ山路のコンビは、全編を通して観客と共にこの奇妙な物語を体験していく。

ちっとも強そうじゃないのに、威張った感じが可愛らしい桃太郎。その家来は、英語と歌の達者な犬とヨイショ上手な猿とセクシーな雉。

しとやかな所作に加えてアクションもある一寸法師の姫君と、登場場面はわずかながら雅な雰囲気でインパクトのあった長身の(笑)一寸法師。

天真爛漫で、どこか人懐こい子どもらしさを感じさせた金太郎。

鬼を知らない無垢な浦島太郎の爽やかな笑顔。

当日パンフのプロフィールで学生さんだと知って驚いた、貫禄十分の渡辺綱。

そして、飄々とした中にも異形の悲哀を感じさせる鬼のゴロウ。

横内氏の脚本らしく、笑いや涙やさまざまなメッセージを含みつつ、力が入りすぎないよう絶妙にハズす感じがいい。

初日とあって、その横内氏を始め扉座の方々を何人かお見かけした。そういえば、扉座で上演した際はどなたがどの役をやっていたのだろう…と気になってしまった。

それとも、たとえば今後扉座で上演するとしたら、どんな風になるだろう?そんなことを思いながら、帰路に着いた。
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by kiki_002 | 2010-03-14 12:49 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
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