「チョコレートコスモス」
著者:恩田陸
出版社: 毎日新聞社
発売日: 2006/3/20

あ~、久しぶりにハードカバーの本買っちゃったよ。たいていは文庫になるのを待つんだけど、読みたかったんだよね、これ。まあ恩田陸さんだし、いいかなって。

どなたかがこの本について、恩田陸版「ガラスの仮面」とお書きになっていたけれど、まさしくそのとおりだなぁ、と読み終わってまず思った。

まだ素人同然ながら恐ろしいほどの才能を見せる不思議な少女と、芸術一家に育った美しく才能ある若い女優と。この対比は、まさしくマヤと亜弓だよね、なんて。

駅前で、見知らぬ人の表情や動きをそっくりに真似ていた奇妙な少女は、今年大学に入ったばかりの佐々木飛鳥。彼女が、ある学生演劇の劇団に加わるところから彼女の演劇人生が始まって。

一方、芸能一家に生まれ、恵まれた容姿と幼い頃からの輝かしい芸歴を持つ東響子は、芝居に向き合う自分自身のあり方に疑問を感じていた。そんな中、一人の伝説的なプロデューサーが芝居をつくろうとしているという噂を聞く。響子は不意にその舞台に出たい、それに出ることで自分の殻を破りたいと思うのだった……。

その伝説的なプロデューサー 芹澤がつくろうとする舞台のキャストを選ぶオーディションがストーリーのメインになっている。

それぞれ魅力的な女優たちと、舞台上で対決する飛鳥。そこにやや違う角度で参加することになる響子。

「ガラスの仮面」でも、本筋のストーリーだけでなく物語の中で上演されていくさまざまな劇中劇がとても面白かったのだけれど、この小説でもオーディションの素材となる芝居をヒロインやその他の女優がどう演じるのか、その辺りの描写に圧倒的な力強さがあり、グイグイと読ませられてしまった。

芹澤のつくろうとする舞台がいったいどんなふうに形になっていくのか、この物語ではそこまで語られていないが、これから脚本が出来上がり、他のキャストが選ばれ、そうしてひとつの舞台が生まれていく様子をずっと読み続けたいと、そんなふうに思ってしまった。

小説としてはここで終わる意味もあるだろうとは思うけれど、いまひとつ共感を持ちにくかった飛鳥がこれからどう変わるのか、そして実質的なヒロインだった響子はどんなふうにこの芝居に向かっていくのか、できたら続編を読みたいと思うのは、私ばかりではないだろう。

……なんていう、そんな贅沢を言いたくなるような、勢いのある物語だったのだと思う。読み始めるとついつい先が気になって、読み終えるまでやめられない、そういう物語だった。
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by kiki_002 | 2010-04-10 23:56 | | Trackback | Comments(0)
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