花組ヌーベル 第3回公演『ハイ・ライフ』
平成22年5月30日(日)竜組14:00~、虎組19:00~、ザ・スズナリにて。

作/リー・マクドゥーガル
訳/吉原豊司
構成・演出/加納幸和

出演/
バグ:水下きよし(竜組)、原川浩明(虎組)
ディック:桂憲一(竜組)、小林大介(虎組)
ドニー:堀越涼(竜組)、谷山知宏(虎組)
ビリー:美斉津恵友(竜組)、大井靖彦(虎組)


どういうご縁か、昨年の秋にもこの芝居の2つのバージョンを観た。今回もダブルキャストということで、都合4種類の『ハイ・ライフ』を観たことになる。同じ戯曲でも、ずいぶん違う印象を受けるものだ。

昨年の秋に観たときは、それぞれ演出も、それどころか脚本のシチュエーションも変えて、一方はカナダ、もう一方は日本を舞台に置き換えて上演していた。

汗びっしょりになって、さほど広くない舞台をはみ出すような勢いで動き回り、猥雑さや滑稽さがこの戯曲によく似合っていたアナザーバージョン。スマートな印象なのに、なおさら死のイメージが印象に残ったオリジナルバージョン。どちらも、ドラックによるトリップも生々しく、そして暴力と死の匂いがした。

いやいや、今回の花組芝居の話に戻ろう。

衣装は白一色。荘厳な音楽が降り注ぐ中、ろくでなしの男たちの物語が、どこか普遍的な寓話のように見えて。

しかし一方、どうしてかと思うくらい色っぽかった。こいつら、絶対できてる、とか、こいつ、本気で口説いてるんじゃないの、とか、男同士の友情や関係が妙に艶かしいものに見えた。

ダブルキャストだけれど、演出はほぼ同じ。とはいえ、やはりずいぶん雰囲気が違うものだ。

特に印象的だったのは、ディックだ。竜組の桂さんのディックを観たときには、まさにイメージどおりだなぁ、と思ったのに、虎組の小林ディックの胡散臭さ(笑)に、ああ、これがディックなのかも、と思ったり。

そして、狂気を秘めた目に鋭さの感じられる水下バグと暴力的ながら、独特の歩き方にさえ愛嬌のある原川バグと。

甘えを含んだ声も愛らしい堀越ドニーと独特のテンションがなんともハマる谷山ドニーと。

イヤミなほど二枚目な美斉津ビリーと確かにその笑顔に騙されそうな大井ビリーと。

全体に、スマートかつダークな雰囲気の漂う竜組に対して、やや笑いの色が濃く破天荒な勢いのある虎組と、雰囲気の違いを堪能できた。

しかし、それぞれの組の違いを超えて感じられる美意識が、この劇団らしさ……いや、加納座長らしさなのだろうと感じられた。

4人が並ぶオープニングや音楽・照明などの使い方も印象的で、この暴力的で退廃的な物語が、ある種普遍的な寓話となって、さまざまなセリフが観終わった後も繰り返し脳裏に蘇り続けている。
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by kiki_002 | 2010-06-05 08:17 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
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