「死ねばいいのに」
著者:京極夏彦
出版社: 講談社
発売日: 2010/5/15

……なんていう酷いタイトルだろう。

黒いハードカバーの表紙に金の文字ででかでかと書いてある文字を見て、ついついそんな風に思ってしまう。誰かに向かって実際に口にすることなど、決してできないような、ひどい言葉。そのくせ、心の中ではひそかに呟いたり投げつけたりした覚えのあるかもしれない、そういう言葉。

物語は、ある1人の男が、死んだ女性について尋ねて歩く、その繰り返し。尋ねる相手ごとにひとつの短編になっていて、その相手の視点から物語が語られていく。

死んだ女性の恋人でも同僚でも家族でもなく、ただ『知り合い』だったというその男ケンヤと出会うのは、彼女の上司や隣人、恋人、母親、そして、彼女の死を捜査する刑事。

ケンヤと出会ったそれぞれの登場人物たちが話せば話すほど、見えてくるのはその語り手自身。ふだんは隠されている不満や自負、嫉みや恨み。みんなこんなに生きていくのがツライのかな、と思うほどだ。

そうして、死んだ女の輪郭は、なかなか見えてこない。

どいつもこいつもろくでもないのに、なんとなく身につまされつつ、そして読み終わってみれば、こんな枠組みの話なのに、なぜか後味も悪くなくて。

ミステリーとするなら、早い段階でわかってしまう答えもあるのだけれど、それよりもっと不思議なのは、きっと人の心。そんな風に思いながら、最後まで引き込まれるように読んでしまう、そういう物語。
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by kiki_002 | 2010-06-10 23:54 | | Trackback | Comments(2)
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Commented by 揚毬 at 2010-06-11 20:52 x
こっちにも揚毬です。
ブランチで紹介してるのを見て興味もちまくりなのに、近所の本屋に置いてないんですよ!
読後感はいかがなものでしょうか?
気になるところです。
Commented by kiki_002 at 2010-06-11 22:50
あ、揚毬さん、こちらにもコメントありがとうございます♪
この本、ブランチで紹介してたんですね?

読んだ感想を簡単に言えば、とりあえず面白かったです。
大傑作!!とまでは言いませんが、読んでよかったと思います^^。

……う~ん、全然内容が伝わらない、ひどい感想ですね(汗)
だって、好きなんだもん!
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