扉座第46回公演『新浄瑠璃 朝右衛門』
平成22年11月28日(日)14:00~、厚木市文化会館 小ホールにて。

原作/小池一夫
作画/小島剛夕
作・演出/横内謙介
浄瑠璃作曲/竹本葵太夫

岡森諦、中原三千代、有馬自由、犬飼淳治 
高橋麻理、鈴木利典、岩本達郎、上原健太 
鈴木里沙、高木トモユキ、川西佑佳、安達雄二 
江原由夏、上土井敦、新原武、串間保彦 
栗原奈美、藤本貴行、鈴木崇乃、江花実里、吉田有希

扉座研究所研修生
オーディションで選ばれた市民(厚木公演のみ)

-あらすじ-

「アレも人生、コレも人生」

貧乏職人でつまらぬ一生を送るより、盗み殺しでもやらかして、面白おかしく生きようと決心した、若い奉公人が雨の夜、荒寺で雨宿りするひとりの老婆を刀で強請った。

だが老婆は怖がりもせず言う。

「土壇場に座る覚悟は出来てるのかい?」

そして罪人が、首斬り役人・朝右衛門の手でいかに斬首されるか、こと細かに話して聞かせるのだった。

さすがに不気味になった、奉公人は怯んで喚いた。

「テメエ、見たのかよ!」

「何度も見たよ……アタシは、そこで落とされた罪人の首を洗っていたのさ……」

老婆は、朝右衛門の物語を語り始める。
(劇団公式HPより)

いやあ~~、とにかく圧倒されました。

この劇団のポテンシャルに、いまさらながら感動させられた。ベテラン・中堅・若手から研究生、特別参加の市民の皆さんまで一体になったあの迫力。

物語はもちろんよかった。なにしろ、横内さんの作品だもの。ひとつひとつのエピソードを有機的に組み合わせて、大きな流れに収束していくその巧さ。キャラクターの描き方や言葉の選び方。観ていて引き込また。

でも、舞台の醍醐味は、なんて言っても生身の人間がそこにいること。この舞台では、何よりそれを充分に堪能することができた気がする。

死と向き合う場所で描かれる、様々な人間の生。泣き叫び、笑い、語り、それぞれの人生が鮮やかに浮かび上がる。

セットや小道具、衣装・メイク、音楽、照明、それぞれに見応えがあった。商業演劇の豪華さとも違う、手作り感満載ながら、よく考えられ、工夫されて、芝居を引き立てていた。

そして、竹本葵太夫さんの浄瑠璃が、物語をひとつ別の次元へと引き上げていた。古典芸能とも違う、けれど、ストレートプレイともどこか違う、不思議に普遍的な物語となっていた。

人の命。人と人のつながり。そういうことについてしみじみ考えたくなるような舞台だった。

印象に残った場面もセリフも、挙げていけばキリがないけれど、ひとつだけ挙げれば。この2時間5分の舞台の最初に朝右衛門に手にかけられる罪人が、死後に巡り会うために、最後に誰かの顔を思い浮かべようとするエピソード。

人との縁が薄く、不幸な人生を送ってきた男が、最後にすがる人のぬくもり。上土井さん演じる死刑囚の朴訥な雰囲気がとても沁みた。

タイトルロールを演じた岡森さんの静謐な佇まいや、有馬さんの演じる役人の律儀で誠実な様子、牢屋の下働きの犬飼さん・岩本さん・鈴木さんのトリオの安定感などと共に、若手の皆さんの迫力ある演技に、劇団の層の厚さを感じた。

おのぶの現在と過去の姿を2人で演じた中原さんと高橋さんは、もう言うまでもないインパクトで、この物語を動かしていった。

こういうものを苦労して創り上げて、ほんの数日で消えてしまう。舞台というのは本当に儚いものだ。でも、だからこそ愛しいのかもしれない。
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by kiki_002 | 2010-11-28 23:28 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
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