栃木県立美術館『ズィビレ・ベルゲマン』展
2011年 02月 12日
昨日は雪の中、栃木県立美術館の企画展を観に行った。
現在開催中の企画展は、ズィビレ・ベルゲマンというドイツの女性写真家の作品展。
公式HPを見ると、こんな感じ。
ズィビレ・ベルゲマンは第二次世界大戦さなかの1941年、やがて戦火の迫るドイツの首都ベルリンに生まれた女性写真家です。
大戦後は旧東ドイツで写真家として研鑽を積み、1989年にベルリンの壁が崩壊した後は世界的にもっとも注目される写真家のひとりとして活躍しています。
国家の分裂という過去を踏まえながら、先端のファッションに身を包んだ女性たち、たくましく生きるアフリカの女性たち、そして愛らしい子供たちなどを先鋭都市ベルリンでとらえた写真は現代に生きる人間の孤独とたくましさを鮮やかに写しだすものです。
パリからニューヨークへという前世紀までの潮流から旧東欧や第三世界へと美術の動向も激変する21世紀の世界を鋭敏な女性写真家の目を通した125点の写真作品によってみつめる展覧会。(公式HPより)
会場に入ると、まずはモノトーンの写真が並ぶ。都市の風景や人々の営み、異国の街のひとコマ。それらを観ていくうちに、特に目を引かれたのは「ファッション」と題されたコーナーであった。スタジオではなく、街中やテントの前などで撮影されたそれらの写真の中に観る先端のファッションに身を包む女性たちの眼差しの強さ。自信を感じさせるその表情が印象に残った。
また、ピエロのいでたちをした少女やパリで1人グラスを前に座る老女の写真など、さまざまな年齢や状況の中の女性たちの写真が観る者の視線を受け止めていく。
「アフリカ・アジア」と題された一連の写真は、異国情緒ではなくそこで生きる人々のしなやかなと強さを感じさせて美しい。ふと気がつくと、いつのまにかモノトーンではなく、鮮やかな色彩の踊る作品が並んでいた。
そして、たくさんのポラロイド写真の中の人々の表情を追ううちに、思いがけず時間が経っていることに気づいたりもした。
そういえば、この企画展では図録は販売されていない。受付に置いてあった20数ページほどの冊子を手に取ると、そこに今回展示されている作品やそれに対する解説が掲載されていて、図録の代わりとなっていた。展示の雰囲気によく似合うスッキリと洒落たデザインで、しかもこれは無料での配布だった。こういうことがなんとなくとうれしい。
企画展の詳細はこちら→http://www.art.pref.tochigi.lg.jp/jp/exhibition/t110122/index.html
また、収蔵品によるいわゆる常設展(ここではコレクション展と呼ばれている)では、今回は県内作家による工芸品が多く展示されていた。
担当学芸員が選ぶミュージアムズ・チョイス「この1点」は、漆細工の《薬草図日光堆朱硯筥》。植物の美しいラインを描く繊細な彫りと漆の美しい色彩表現が印象に残る。同じ作家の他の作品や作品の基となった植物のスケッチなども併せて展示されているのが興味深い。
また、翁や小面、猩々などさまざまな種類の能面を小さなサイズで形作ったものが8点ほど展示されていて、面白く拝見した。これも県内作家のもののようだ。
最後に館内のカフェでまったり。限られたスペースながら、落ち着きとこだわりの感じられる店内。市内の老舗喫茶店によるカフェなので美味しいコーヒーがいただける。手作りのデザートやお食事も用意されているようだ。
濃紺のカップは益子で誂えたものを使っているそうで、ソーサーはとちの葉をイメージしたものだとのこと。外は雪。こうして1人座っていると、なんとなく日常から遠く離れたところへ来たような気がした。
栃木県立美術館
「哀愁のベルリン―分断されたドイツを生きた女性写真家の軌跡 ズィビレ・ベルゲマン展」
2011年1月22日(土)~2011年3月21日(月・祝)
現在開催中の企画展は、ズィビレ・ベルゲマンというドイツの女性写真家の作品展。
公式HPを見ると、こんな感じ。
ズィビレ・ベルゲマンは第二次世界大戦さなかの1941年、やがて戦火の迫るドイツの首都ベルリンに生まれた女性写真家です。
大戦後は旧東ドイツで写真家として研鑽を積み、1989年にベルリンの壁が崩壊した後は世界的にもっとも注目される写真家のひとりとして活躍しています。
国家の分裂という過去を踏まえながら、先端のファッションに身を包んだ女性たち、たくましく生きるアフリカの女性たち、そして愛らしい子供たちなどを先鋭都市ベルリンでとらえた写真は現代に生きる人間の孤独とたくましさを鮮やかに写しだすものです。
パリからニューヨークへという前世紀までの潮流から旧東欧や第三世界へと美術の動向も激変する21世紀の世界を鋭敏な女性写真家の目を通した125点の写真作品によってみつめる展覧会。(公式HPより)
会場に入ると、まずはモノトーンの写真が並ぶ。都市の風景や人々の営み、異国の街のひとコマ。それらを観ていくうちに、特に目を引かれたのは「ファッション」と題されたコーナーであった。スタジオではなく、街中やテントの前などで撮影されたそれらの写真の中に観る先端のファッションに身を包む女性たちの眼差しの強さ。自信を感じさせるその表情が印象に残った。
また、ピエロのいでたちをした少女やパリで1人グラスを前に座る老女の写真など、さまざまな年齢や状況の中の女性たちの写真が観る者の視線を受け止めていく。
「アフリカ・アジア」と題された一連の写真は、異国情緒ではなくそこで生きる人々のしなやかなと強さを感じさせて美しい。ふと気がつくと、いつのまにかモノトーンではなく、鮮やかな色彩の踊る作品が並んでいた。
そして、たくさんのポラロイド写真の中の人々の表情を追ううちに、思いがけず時間が経っていることに気づいたりもした。
そういえば、この企画展では図録は販売されていない。受付に置いてあった20数ページほどの冊子を手に取ると、そこに今回展示されている作品やそれに対する解説が掲載されていて、図録の代わりとなっていた。展示の雰囲気によく似合うスッキリと洒落たデザインで、しかもこれは無料での配布だった。こういうことがなんとなくとうれしい。
企画展の詳細はこちら→http://www.art.pref.tochigi.lg.jp/jp/exhibition/t110122/index.html
また、収蔵品によるいわゆる常設展(ここではコレクション展と呼ばれている)では、今回は県内作家による工芸品が多く展示されていた。
担当学芸員が選ぶミュージアムズ・チョイス「この1点」は、漆細工の《薬草図日光堆朱硯筥》。植物の美しいラインを描く繊細な彫りと漆の美しい色彩表現が印象に残る。同じ作家の他の作品や作品の基となった植物のスケッチなども併せて展示されているのが興味深い。
また、翁や小面、猩々などさまざまな種類の能面を小さなサイズで形作ったものが8点ほど展示されていて、面白く拝見した。これも県内作家のもののようだ。
最後に館内のカフェでまったり。限られたスペースながら、落ち着きとこだわりの感じられる店内。市内の老舗喫茶店によるカフェなので美味しいコーヒーがいただける。手作りのデザートやお食事も用意されているようだ。
濃紺のカップは益子で誂えたものを使っているそうで、ソーサーはとちの葉をイメージしたものだとのこと。外は雪。こうして1人座っていると、なんとなく日常から遠く離れたところへ来たような気がした。
栃木県立美術館
「哀愁のベルリン―分断されたドイツを生きた女性写真家の軌跡 ズィビレ・ベルゲマン展」
2011年1月22日(土)~2011年3月21日(月・祝)
by kiki_002
| 2011-02-12 10:19
| 美術