「萬斎でござる」(文庫版)
文庫版の発行は2001年だが、単行本は1999年2月の発行になっており、
読んでみると1997年後半か1998年くらいに書かれたもののようだ。

まだ自伝というにはお若いが、
これまでの半生や幼いときからどんなふうに稽古してきたか、
どうして狂言師になることを決めたのか、狂言以外の表現についてどう考えているか、など
野村萬斎氏の生い立ちや考えてきたことなどが、わかりやすい言葉で書かれている。

この方の言葉は、依って立つべき軸足が定まっているためか、ぶれない印象がある。
無意味な反発や迷いのない、まっすぐに前を向いた言葉が続くのは、
自信を支えるだけの訓練をしてきたという自負があるためだろう。

最初に「国盗人」を観たとき、『演じ手の高い身体性が豊かな表現を可能にしている』という感想を書いたが、この本を読むとやはり彼の表現には、動きであれ声であれ身体性への意識が欠かせないのだと思った。

また、ご自分の演じてきたものやつくってきたものについて書いている内容は、自覚的でかつ分析的でもある。

徹底して基礎が身について、それを高める努力をしていて、しかも分析する視点がある。
だからこそ、質の高いものを生み出すことができるのだろう。

この本を読んで、萬斎氏の踏む「三番叟」を、たまらなく観たくなった。
そして、いつか彼の演出する「ハムレット」も。

また、狂言の歴史や見方の紹介、簡単なあらすじを付したおすすめ狂言選などもあって、少しだけ狂言について知ることができたような気がする。
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by kiki_002 | 2007-07-17 00:16 | | Trackback | Comments(0)
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