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ドキドキさせてよ

だって、好きなんだもん!


by kiki

NHK芸術劇場 舞台中継「国盗人」

昨夜、NHK教育テレビで放送された「国盗人」。録画しておいたものを観た。

まだ劇場での記憶も新しい舞台をこうしてテレビで観るのは、ちょっと不思議な気がする。
世田谷だけでなく兵庫まで行ったことを思うと、なおさらだ。

劇場で観るときともっとも違うのは、場面によって視点が変わることだ。

客席後方から舞台全体が見えるように固定して映したのでは、
舞台の内容のよしあしとは別にひどく単調に見えてしまうのだけれど、
一方、場面によって視点を変え、アップを多用して映すと、
アップを映している時の舞台全体の動きが気になったりして歯がゆい思いをしたりもする。
やはり当たり前のことだけれど、舞台は劇場で見るようにできているのだ。

それから、画面が暗く、やや見づらい。
劇場ではもう少しよく見えたように思うのだが。

休憩を含め2時間50分ほどだった舞台を、2時間弱にカットしての放送。

ストーリーを重視して、物語に影響の少ない部分をカットしたのだとは思う。
が、遊びの部分が減って、初めて観る方には地味に感じられるかな、などと思ったりする。

そうはいっても、観始めるとはやり引き込まれる。

映像になってアップがあると、役者の表情が印象に残る。
特に、萬斎さんの狂言のときとは違う目の動き、いかにも悪党めいた鼻の辺りにしわを寄せる表情など、どうにも魅力的だ。(この芝居では醜いという設定なのだけれど)

後半になり、母と悪三郎のやりとりあたりから、全体が見えなくて歯がゆい、などと言ってるヒマもなく、ただただ悪三郎の表情に満足してしまう。

今回印象に残ったのは、「笑い」だった。

喜びの絶頂でも、絶望したときにも、悪三郎は笑う。
特に、「母にも見捨てられた」と言うときの笑いの壮絶なことといったら。
どんなに悪党であっても、この主人公を哀れに思わずにいられない。

そんなわけで、なんだかんだ言いながら、昨夜からすでに3回再生している。
by kiki_002 | 2007-08-11 19:31 | 映像