和風は河谷いっぱいに吹く
出張で、少し遠くへ車で出かけた。

その途中で久しぶりに田んぼを見かけた。
気がつくと、稲がだいぶ倒れてしまっている。もうすぐ稲刈りの季節だというのに。
一週間前の台風の影響だろう。

ああして倒れた稲は、起き上がるのだろうか……。
そんなことを思っていたら、昔読んだ宮沢賢治の詩の一節が頭に浮かんだ。

宮沢賢治については、たぶん「銀河鉄道の夜」や「風の又三郎」、「注文の多い料理店」などの童話のほうが有名だろう。だが、個人的には詩のほうを熱心に読んだ覚えがある。

思い出したのは、「和風は河谷いっぱいに吹く」という詩。

農学校の教師をやめ農業の指導をしていた賢治。彼が指導していた田の稲が、長雨に弱り強い雨に打たれ倒れてしまう。しかし翌朝それらの稲が、わずかな苗の育て方の違いや肥料のやり方の効果で、たくましく起き上がるのを眼にする。

『あゝわれわれはこどものやうに
踊っても踊っても尚足りない』

賢治の高らかな喜びの声に、心を揺さぶられる。
同じ時期、多くの批判や挫折を経た賢治の詩は胸の痛むような悲痛なものも多い。だからなおさら、この詩の明るい力強さが印象的だったのだろう。

今日見てきた多くの稲も、この詩のようにしっかりと立ち上がりますように。
賢治とは違って、私にはそんなふうに祈ることしかできないけれど……。
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by kiki_002 | 2007-09-14 23:25 | | Trackback | Comments(2)
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Commented by 向日葵 at 2007-09-15 02:07 x
宮沢賢治、雨ニモマケズのような根性論のイメージがありましたが、なるほど伸びやかでいいですね!
Commented by kiki_002 at 2007-09-16 20:39
宮沢賢治は、とても好きです。「雨ニモマケズ」はあまりにも有名ですが、あれが彼の詩の典型というわけではないので、機会があったらぜひ他の詩も読んでみてください。
だって、好きなんだもん!
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