NAKANO-ZERO NOH ろうそく能『安達原』
平成20年3月16日(日)14:30~17:40、なかのZERO大ホールにて。

みどころ解説:小島英明

仕舞
『葵上』 観世喜正
『山姥』 遠藤六郎
地謡:中森貫太、奥川恒治、古川充、桑田貴志

狂言『磁石』
シテ(すっぱ):野村萬斎、アド(田舎者):高野和憲、小アド(茶屋):月崎晴夫
後見:時田光洋

<休憩15分>

<火入れ式>
四拍子の調べ

蝋燭能『安達原』  
前シテ・里女、後シテ・鬼女:小島英明
ワキ・山伏祐慶:森 常好、ワキツレ・供山伏:舘田善博
アイ・祐慶ノ能力:野村萬斎

笛:松田弘之、小鼓:鵜澤洋太郎、大鼓:原岡一之、太鼓:桜井 均

後見:遠藤六郎、長沼範夫、奥川恒治
地謡:観世喜正、中森貫太、中所宜夫、遠藤和久、
遠藤喜久、鈴木啓吾、佐久間二郎、坂真太郎

このNAKANO-ZERO NOHは今回で4回目となったらしい。そして、今日はチケット完売で当日券も出ないという。これまでの積み重ねと皆様のご理解によって、この会が定着してきたのであろう、と最初の解説で感謝の言葉が述べられていた。

なるほど、と思いながらも、萬斎さんのドラマご出演の影響もあるだろうなぁ……、と考えてしまうのはちょっと意地が悪いだろうか?

まあ、それはさておき、まずは仕舞2番。ちょうど今日は、仕舞の稽古からまっすぐこちらへ来たので、仕舞を観る目に気合が入る(ような気がする)。

いつも思うことだが、自分達が教わった形をギクシャクとやっているのに比べて、舞台で拝見する動きのなんと美しいこと。同じ動きのはずなのに、まるでまったく別のもののように見える。稽古を重ねていけば少しはあんなふうに動ける日が来るのだろうか?

『山姥』を舞われた遠藤六郎氏は、プログラムによれば1927年のお生まれだという。1月にはごく若いシテとツレの演じる『舎利』を拝見したが、若い方は若い方の、そしてベテランにはベテランの味わいや趣があって、それぞれ見応えがある。能というのは面白いものだと改めて思った。

続く狂言は『磁石』。能の演目が、見てはいけないものを見てしまう話なので、それにちなんで、あることを知ってしまうことから起こる話として選んだ演目だそうだ。

さてこの話、街へ出てきた田舎者をスッパ(騙り者)が人買いへ売り渡そうとしたところ、その相談を盗み聞きした田舎者が逃げ出し、刀を持って追ってきたスッパに、自分は磁石の精だと言ってその刀を……。

人を売り飛ばそうとするスッパが、その割りに騙されやすかったり、田舎者とあなどられた男がうまく立ち回ったりと、なかなか一筋縄では行かないところが面白かった。

演じたのが萬斎さんだったこともあって、なんとなく品のいい可愛げのあるスッパだった。

そして休憩の後、火入れ式が行われ、ろうそく能が始まる。

昨年、能楽堂で蝋燭能を観たときには、場内がとても暗くて、観ているうちに目が疲れるほどだった。今回は公共ホールを使用しているので、照明も使うのだろう、と会場に向かいながら連れと話をしていた。

予想通りに照明も使われていたのだが、単にそれだけではなかった。最初の解説で説明があったのだが、ホール公演であることを活かして、いくつかの演出がなされていた。

たとえば、能につきものの鏡板がなく、ホリゾントにススキや夕焼けが映し出されて日暮れ間近の荒れ野を表現していた。しかも、話の内容に合わせてしだいに日が落ち、月が出たりもする。

また、女の家に招き入れられると、荒野の背景が消えて室内に入ったことが示されたりもした。

荒野に住む1人の女に、一夜の宿を頼む山伏一行。どうやらこの女、訳ありらしく、こんな所に住んでいるのに、都で流行った歌をうたって泣くのだった。

女が山伏達のために薪を取りに行った後、見るなと言われた寝室をのぞいてしまうと、そこには死体が山のように積み上げられていて、後半は、正体を知られた鬼女と山伏の戦いになる。

この場合、はっきり言って見てしまった方が悪いよねぇ。まあ、間狂言は面白かったけれど。そもそも女に、山伏達を害するつもりがあったのかどうかもわからないし。

今日の会のテーマは「何故、女は鬼になったのか。」だそうだ。仕舞も能もそのお題に合った演目となっているようだ。安達原に住む鬼女に、都で何があったのか。そして、なぜ多くの人を殺めてきたのか。能の中では語られないことを想像してみるのも一興だろう。
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by kiki_002 | 2008-03-16 23:17 | 舞台 | Trackback | Comments(2)
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Commented by kiko at 2008-03-17 22:46 x
きれい~!一瞬、ブログを間違えた・・と思いました。季節感あっていいですねー!桜をバックに観劇や仕舞のお話読ませて頂き一層感動します(余談ですが、孫娘の名前は、ハーフですが日本の誇りを願って「桜」です) それにしてもkikiさんはよい舞台をいろいろ観ていらっしゃいますね。そして感想を上手に書かれているので、こちらも観た気になれ、シビアに現実的な事を言われる時は(つっこみ?)笑ってしまいます!チケット完売の件や「見たほうが悪い・・」もっともです(笑)「葵上」「安達原」・・どちらも女の怨念、復讐はいつの世でも恐いのかもしれませんね。でも女性から見るとその裏に鬼にならざろうえない悲しさ、せつなさ・・をいつも感じます。人生いろいろあっても「人間合格」でいきたいものですね。
Commented by kiki_002 at 2008-03-17 23:37
おお!お孫さんはハーフですか!…ということは、お嬢様は国際結婚なのでしょうか。そして、お名前が桜ちゃん♪素敵ですね。
いまのところ舞台を観るのがなによりの道楽なので、自己満足な感想ですが、読んでいただけてうれしいです。
つっこみといいますか、まあ言いたいこと言ってるかもしれませんね(笑)すみません。
鬼になるほど誰かに、あるいは何かに執着してしまう女心……せつないですね。
太宰の人生もせつなく見えますが、先日の舞台を観終わった後は、温かい気持ちになりました。
だって、好きなんだもん!
by kiki
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