グイン・サーガ第120巻「旅立つマリニア」
著者:栗本薫
出版社: 早川書房(ハヤカワ文庫)
発売日: 2008/04/10

グイン・サーガの登場人物にはマリニアという名の幼子もいるのだけれど、この巻のタイトルになっているのは、可憐な花マリニアを思わせるフロリーのこと。ちょっとまぎらわしい。

でもまあ、前巻までの流れからすれば、違和感のない展開かもしれない。

タイトルどおり、内容の大半はフロリーとその息子スーティがパロを立つまでの様子。グイン・サーガでは珍しいくらい大人しいこの女性が旅立つということに、これほどいろいろな人の思いが絡んでくるとは少々意外だった。

あいかわらずのマリウスに、誰かに心を許したいリンダ。正直、リンダとのやり取りにはちょっとホロッとした。さすがにお気楽なマリウスでさえ、それを聞いて心を入れ替えたくらいだ。もっとも、それもいつまで続くかわからないが。

グインはといえば、古代機械に記憶を修正され、ここしばらくの旅などについてはまったく覚えていないというのに、スーティに会うと特別な感情を覚えるようだ。この子はやはり中原の歴史に名を残す人物になって行くのだろう。

そして、グインはいつか中原の国々から遠く離れて、自分の記憶を修正し、操ろうとする巨大な何者かに、立ち向かっていかなくてはならないのだろうか。前巻とこの巻で、ヨナが予想したとおりに。

ヨナがその予想を語るところで、ずっと昔読んだ本を思い出した。

それは、新井素子さんの「いつか猫になる日まで」。猫になって一日中昼寝したいと願うようなのんびりした女の子が、宇宙人同士の戦争に関わることになった上、ラストではとてつもなく巨大な敵、『神』に向かって戦いを挑む決意をするという物語。

なにかとても巨大なものと戦わなければならない、そして無駄に絶望することもなく、ただ戦おうとするその潔さ。それはきっと、グインによく似合うだろう。

ケイロニアに戻るグインに、これからどんな運命が待っているのか。また、ヴァレリウスが注目し始めたミロク教は、これからこの物語の行く末にどう関わって行くのだろう。

それらの大きな歴史の流れの中で、物静かなヨナのほのかな恋がいつか実りますように。
[PR]
by kiki_002 | 2008-04-12 22:11 | | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://kiki002.exblog.jp/tb/7837285
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
だって、好きなんだもん!
by kiki
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30
ブログパーツ
検索
画像一覧