「清水邦夫全仕事 1958~1980」
著者:清水邦夫
出版社:河出書房新社
発売日:1992年6月

全集によくあるように、細かい活字でびっしりと2段組になっている。間違いなく、普通のハードカバーの何冊分かの内容ではあるはずだ。で、それが上・下の2冊セット。すでに書店で取り寄せることもできないので、図書館で探してきた。

で、目当てはもちろん(?)、現在シアターコクーンで上演中の『わが魂は輝く水なり』。観てきたばかりのこの話を、戯曲で読んでみたかったのだ。で、まずは上下巻のうち、『わが魂…』の入っている下巻を読み始めた。

その最初の数編を読んで思った。いやあ、イメージしていたよりアングラだわ。1969年から1974年あたり、蜷川さんと一緒にやっていたころの作品は特に。その時期について、「蜷川演出と組んで反体制的な若者を描いた作品で人気を集める」とWikipediaにあった。

これはどんなふうに舞台にするんだろう?と思う作品や場面がいくつもある。なんていうか、視覚的というより観念的というか文学的なト書き、だったり。

そして、その時代の直後に書かれた『幻に心もそぞろ狂わしのわれら将門』が個人的には面白かった。

読んでみると、まず『わが魂は輝く水なり』とよく似ている。ストーリーや登場人物は違うが、70年代の政治闘争末期をモデルにしている点やカリスマ的な指導者が正気を失うことで集団が迷走して行く様子、その集団を支えようとする意思的な女性の存在、など、明らかな共通点がいくつもある。台詞の中にも、相似を感じさせる部分がいくつもあった。ただし、ラストの印象は『わが魂…』よりだいぶ凄惨だったけれど。

1976年の初演はもちろん、2005年に蜷川さん演出で上演されたときも観られなかったのだが、DVDでもいいから観てみようか、と思ったりもする。

で、肝心の『わが魂…』。舞台のイメージが頭に残っているせいか、読んでいると、萬斎さんの声や菊之助さんの声で台詞が聴こえる気がする。たいへん贅沢なことだ。

ただ、予想されたことではあるけれど、笑いのおこる場面は文字で読むより舞台の方がずっと面白い。それがどこまで戯曲の時点で計算されたものか、私にはわからないのだが。

一箇所だけ、ト書きにない演出があった。いや、他にもあるかもしれないが、気がついたのはそこだけだったのだ。兼光が浜辺で念仏を唱える場面。シーンの最後に、石仏たちが人の顔を持つ印象的な演出、これは脚本にはなかった。そういえば、なんとなく蜷川さんらしい、という気もする。

メインのお2人が華があるためか、全体に、本で読むよりも舞台の方が美しい印象だ。まあ、基本的には戯曲は読むよりも舞台にかかったのを観る方がいいんだろうなぁ。

次の日曜にまたこの舞台を観に行く。その前にもう少し、戯曲を読み返してみようと思う。
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by kiki_002 | 2008-05-20 23:56 | | Trackback | Comments(0)
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