柿喰う客 第13回公演『俺を縛れ!』
平成20年6月21日(土)14:00~、王子小劇場にて。

作・演出・出演/中屋敷法仁

出演/高木エルム、七味まゆ味、コロ、玉置玲央、本郷剛史
(以上、柿喰う客)
村上誠基、石橋宙男、浅見臣樹、梨澤慧以子、佐野 功、
花戸祐介、森 桃子、川畑舞香
佐藤みゆき(こゆび侍)、こいけけいこ(リュカ.)
堀越 涼(花組芝居)、丸川敬之(花組芝居)

ブログを読み返してみたら、けっこう「柿喰う客」について書いた記事があったので、タグにまとめてみた。初めてこの劇団の公演を観たのは昨年の9月、第10回公演「性癖優秀」だった。11月には第11回公演『傷は浅いぞ』 を、1月に第12回公演『サバンナの掟』を観た。

そして昨日、第13回公演を観てきた。

今回もハイテンションな作品だった。大勢の登場人物がきちんと書き分けられているキャラ設定の見事さやスピーディな展開、勢いのある会話、役者さんたちの熱演もこれまでどおりだ。

しかし、今回はこれまで以上にハマった。どうしてだろう?いつもはその勢いにお腹一杯になってしまうのだけれど、今回はもう一度観たいという気にさせられた。

江戸時代。実権を握っていた父が死んで、将軍は、ひとつの改革を始める。諸国大名を掌握するため、大名の性格などについて調査する……のではなく、大名全員に幕府が指定したキャラを押し付けることにしたのだ。うわ、こんなふうに書くとわかりづらいね、これ。

とにかく、大名たちは幕府の、というより将軍の指定したキャラとして生きていかなくてはならないことになったのだ。スケベ大名とかモノマネ大名とか、ラーメン大名とか、まあぶっちゃけナンセンスな設定にうろたえる大名たち。

そんな大名の中のひとり、貧しい領地をなんとか守っていこうとする不運で生真面目な男が、裏切り大名というキャラを与えられてしまったから、さあたいへん。

幕府を裏切らないためには、指示通りに裏切り大名として幕府を裏切らなくてはならない?

困ったものだ。しかも、このキャラ令にそむくとお取り潰しの上、死罪だというのだから、ますますどうしていいかわからない。

そこに使わされた怪しげな軍事コンサルタントやら、紛れ込んでいた剣の使い手やら、その大名の娘やら、幕府に恨みを持って実際に謀反を起こそうとするものたちやら、将軍の言いつけどおり、迷わず瀕死の大名になろうとするものやら、将軍の愛妾やら息子やら、いろんな人の思惑が入り混じって、大騒ぎ。

謀反の準備が整い、裏切り大名のキャラがすっかり身についたその大名が、ついに江戸城へと攻め上るのだが……。

この大名役の堀越涼さんが、すっごくいい。最初の律儀な感じから、わけのわからないうちにしだいにキャラに飲み込まれて、天下を狙う野心家風になったり、予想どおりに土壇場でキャラ変更のお達しが出て別のキャラになったりするんだけど、どの場面でも説得力がある。気になって、うちに帰ってから思わずネットで堀越さんについて検索しちゃった、なんていうのは、恥ずかしいから内緒にしておいて。そういえばこの方、ネオかぶきの花組芝居に所属してるんだった。殺陣も、見得を切るのも、さすがにさまになっている。

花組芝居からもうひとり、将軍を演じていた丸川敬之さんもよかった。

それと玉置さんの演じる軍事コンサルタント。怪しい、なんてもんじゃない。ニターっていう笑いを見ると、もうメフィストフェレスかというくらい。それにひきづられていく大名とのやりとりは、見ものだ。しかもチャーミングだし。それと、この方の身体能力の高さは何?あの高さから、何回飛び降りた?公演終了まで、怪我などされませんよう。

今回の堀越さんと玉置さんについては、まだこのあと原稿用紙で10枚分くらいは語れる自信があるんだけど、読んでる人にウザいと思われそうなのでやめておく。友人には、惚れっぽいのもいい加減にしろ、と言われそうだし。

江戸城へ攻め込んで(殺陣もたっぷり堪能して)、いよいよ大詰め?という辺りから、一転して雰囲気が変わってくる。あれ、最初に観た『性癖優秀』もこんなふうだったんじゃない?みんな舞台に出てきてフリートークして、テーマ(らしきこと)が語られ、ちょっと偉い人が高いところからいい話して、玉置さんが服脱いで暴れて、カラオケをフルコーラス歌って。なんとなくグダグダした感じが面白いようなスッキリしないような。

物語をただその物語の中に収束させるわけにはいかないんだろうか……。

今回は初の「メタ演劇」という言い方をしてた(劇中の人物が“キャラ”を演じたり)けど、今回ばかりじゃなく、たとえば客席に向かって自己紹介をしたり、素の感じの(それも役者の素ではなく役の素で……ってどういうんじゃ)セリフがあったり、そういう方向性はいままでもあったような気がする。

それはそれで面白いんだけれど、ラストについてはなんとなく、テンポよく話を進めてきた作者が、最後はどう終わらせようか、迷っているように見えたりもする。だからちょっと、カタルシスが足らない気がする……んじゃないかな。まあ、これは私の勝手なイメージなので、見当違いかもしれないけど。

とはいえ、最後にもうひとオチあって、そこでプロローグとエピローグを対にしたりして、面白いつくりだとも思う。劇中劇ならぬ、劇外劇というところか。

最終的には、ラストも含めて充足感はあった。もしかして、実は作者の思うツボ、なのかも。

他の役者さんのことやポストパフォーマンストークについてなど、まだまだネタはあるのだけれど、ずいぶん長くなってしまったので、このくらいにしておきたい。あ~、久々に長文だよね、これ。
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by kiki_002 | 2008-06-22 21:02 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
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