「幕末純情伝」
平成20年8月17日(日)12:00~、新橋演舞場にて。つかこうへい氏が18年ぶりに演出した「幕末純情伝」を観てきた。

作・演出/つかこうへい

出演/沖田総司:石原さとみ、坂本龍馬:真琴つばさ
高杉晋作:吉沢悠、西郷隆盛:舘形比呂一、岩倉具視・嘉代:宇津宮雅代
鬼畜丸:橘大五郎、土方歳三:矢部太郎、秋月兼久:武田義晴
東宮:赤塚篤紀、島崎藤村:岩崎雄一、新撰組隊士トメ:とめ貴志
中村半次郎:小川岳男、グラント:トロイ、勝海舟:若林ケン
徳川慶喜:早坂実、近藤勇:山崎銀之、

清家 利一、古賀豊、川畑博稔、小川智之、杉山圭一、
松本 有樹純、北田理道、遠藤広太、尋由帆、高野愛
ほか

この芝居には、個人的な思い入れがある。

1989年8月、この舞台の初演を観て、まだほとんど観劇経験のなかった私は、強い衝撃を受けた。いかがわしく、滑稽で、バカバカしく、そして素晴らしくカッコよかったのだ。芝居そのものも、その中で生きる一人一人の人間も。

たとえば、総司が人を斬る場面の色っぽさや、勢いよく繰り出されるコンプレックスも情けなさもさらけ出していくようなセリフの応酬も、それぞれがひとつとなって、人の生きることのせつなさと強さを印象付けていた。

その衝撃を確かめるように、翌1990年の再演、直後の「飛龍伝’90」と、つかこうへい氏の舞台を続けて観た。この出会いが、自分の芝居に対する好みを方向付けたような気がする。

初演では、主役の沖田総司を平栗あつみさんが、そして坂本竜馬を西岡徳馬さんが演じていた。こんなふうにキャストが変わるだけでも、芝居はまったく別物になるだろう。脚本も役者に合わせてずいぶん変わっているはずだ。変わることは当然だし、昔のものと比べる必要などないのだけれど……。

新撰組の沖田総司は女だった。高貴な身分に生まれながら、訳あって幼い時に捨てられ、近藤勇に男として育てられた。剣の腕は一流だが、労咳を病み、病を押して新撰組の一員として働く。そんな中で、立場の違う竜馬を恋した総司の進むべき道は……。(って、こんなふうに書くとシリアスに聞こえるなぁ……)

ここからネタバレ。(いつもは気にしないんだけど、一応)

今回、坂本竜馬を演じるのが真琴つばささんということで、どういう意味かと思っていたら、実は竜馬も女だった、という話になっていた。

西岡さんの演じた竜馬には、カッコよさだけでなく男のせこさや情けなさや猥雑さがあった。それを含めて魅力的な「男」だった。総司にいやらしく言い寄っても、憎めないおおらかな可愛げがあった。今度の竜馬は、ひたすらにキレイでカッコいい。スラリとした立ち姿、いやらしさのかけらもない爽やかさ。そんな竜馬が女だったことで、この舞台では女の哀れさが印象に残った。

竜馬が、女だったからこそ、デモクラシーを、憲法第9条を、普通選挙を命がけで守ろうとしたのではないか。そんなふうに思えたのだ。しかし、新しい年号は、竜馬の望んだ『自由』ではなく『明治』だった……。

竜馬を斬った総司が、仲間だったはずの新撰組に撃たれ、権力に翻弄された新撰組の面々もその場で殺されてしまい、女や貧しいものや、そういった弱者を踏みにじって、時代が変わって行くのか、そんなせつなさを感じさせられた。

主演のお2人とともに、近藤勇を演じた山崎銀之さんが、さすがの好演で芝居の流れをつくっていたと思う。

個性的な役者さんをそろえて、それぞれの芸を堪能させるなど、サービス精神の旺盛な舞台となっていた。しかも幕末というより戦後の状況が描かれた部分も多く、さまざまなメッセージを読み解くことも出来るだろう。しかしその分、かつての総司のせつなさが薄まっていたようにも思えるのは、こちらの思い込みがあるためなのかもしれない。

いずれにしても、20年近い歳月を経て、いまも間違いなく好きだと思える舞台だった。

まだ書き足らない部分も多いが、今日はこのくらいにしておこう。もしかすると後日また、感想のようなものを書くかもしれないけれど。
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by kiki_002 | 2008-08-17 23:58 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
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