黒色綺譚カナリア派第九回公演「そまりえ~或る模倣画家の苦悩~」
平成20年10月6日19:30~、ザムザ阿佐谷にて。

作・演出/赤澤ムック

出演/
満作あけび(才能ある、若き模倣画家):芝原弘、
満作大介(その兄は妻に対して様子がおかしい):山下恵、
満作藤江(兄嫁は従順だが発散のできない女):向井孝成(燐光群)、
矢車菊雄(画商は飄々と独身貴族):中里順子、
侘助(幼馴染は模倣画家に恋をする):牛水里美、

赤熊百合(憧れの人気画家は上品なはず):日替わりゲスト 堀越涼(花組芝居)

青木(画家の弟子は正義を振りかざす):升ノゾミ、
芹子(弟子の友人はおきゃんな少女):吉田正宗、

蒲(ご近所さん(刑事)はあまり姿が見えぬと寂しいね):中村真季子、
済田(本当にあまり姿を現さぬ刑事):赤澤ムック

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そまりえ……。漢字にすれば『染まり絵』とでも書くのだろう。(すでにこの時点でネタばれである。もしご覧になる予定がある方は、この後もネタばれが続くのでご注意願いたい)

血飛沫に染められて、恐ろしいほどの美しさと凄みを持ってしまった一枚の絵。それがタイトルの所以。多くの信奉者を持つ美人画家、赤熊(しゃぐま)百合が失踪した。その謎とそれをとりまく人々と。

子どものままごとの家のように、柱も敷居も、家具やふとんや食器に至るまで、本当に小さい日本家屋。その中で暮らす贋作画家あかねとその兄と兄嫁と。あかねは赤熊を崇拝し、彼女の贋作ばかりを描いている。画商や幼なじみに勧められても、自分自身の絵を描こうとしないのだが……。

最初に印象的なのが、男女の性差を入れ替えた配役だ。男が女の役を、そして女が男の役を演じて、しかも所作はそれぞれの役者のジェンダーのまま。ようするに、美しい女性が男性を演じるとき、ぴしりとリーゼントに決めたスーツ姿で優雅に横座りし、真っ赤なマニキュアを塗った手で、しとやかに振舞う。体格のいい男性が、虐げられた妻の役を演じるときにあぐらをかく。

しかも終盤、それぞれの性にもどって、そこまでの場面の台詞を繰り返すなど、混乱と倒錯、違和感や居心地の悪さを感じさせるその仕掛け。

面白い試みだけれど、観ているうちに感じてしまうかすかな苛立ち。それが意図されたものなのかどうか。見え隠れする棘のようなもの。丁寧にやすりをかけるようにその棘を削るべきなのか。

そんな中、圧倒的な印象を与えたのは、日替わりゲストの堀越涼さんだ。

赤熊があかねを責める場面の迫力。美人画家ともてはやされ、その芸術性にひきつけられる多くの人々。だが、贋作が真作を超えてしまったら……。本物だったはずの人間が自分の才能の限界を思い知らされたら。

その絶望。

狂気を宿す堀越さんの演技に、思わず息を呑んだ。

贋物と本物。
虚像と実像。
男と女。

この芝居を観た後に感じたのは、多くのモチーフが見え隠れしながら、どこか伝わりきらないもどかしさ。それでも、その雰囲気と試みとに心を惹かれた。

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by kiki_002 | 2008-10-07 23:01 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
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