万作・狂言十八選 第八回-宮島狂言-
平成20年10月4日(土)19:00~、広島厳島神社能舞台にて。

解説/野村萬斎

「舟渡聟」
船頭・舅:野村万之介、聟:高野和憲、姑:石田幸雄、後見:岡聡史

「武悪」
武悪:野村万作、主:野村萬斎、太郎冠者:石田幸雄、後見:月崎晴夫

狂言十八選。去年の9月に出雲大社で行われた「三番叟」について雑誌で読み、そのときから、この狂言十八選が気になっていた。その後、20年10月に厳島神社で「武悪」をやるのだと知って、「観よう!」と決めたのもまだ去年のうちのことだ。

で、その念願の宮島狂言。厳島神社の能舞台という素晴らしいシチュエーション。国の重要文化財にも指定されている、海に浮かぶ能舞台。陽が沈んで暗くなった海を背景に、ライトアップされた大鳥居と微かに聞こえる虫の声。

この能舞台と桟敷のあいだは、いつもなら水で隔てられているらしい。だが、今回はどうやら潮が引いてしまっていて、大鳥居の辺りまで、人が歩けるくらいになっていた。能舞台を海が取り囲んでいるのが見られなくて残念な気がした。

まずは萬斎さんの解説から始まった。

今回の演目について、萬斎さんがわかりやすく解説する。いつものとおり独特の低音で、飄々とした話し振り。

それから、始まったのは「舟渡聟」。メジャーな演目なのだろうが、観るのは初めて。ある男が妻の実家に挨拶に行く途中の、酒好きの船頭とのやり取り。男の持ってきた酒を狙って、船を揺らしたりして脅かす船頭。

その船頭が家に戻ってみると、さきほど脅かした男が。それが聟だと知って、うろたえ、とぼけて別人のふりをするために見事なヒゲまでそったのに、結局すぐにバレてしまう。

最後は和解して共に謡う。

それから「武悪」。3人の登場人物がすべて主役とも言える難しい演目。主が、家来の太郎冠者に、同じく家来の武悪を殺すように命じるところから話は始まる。

主を演じる萬斎さんの怒り。冒頭の押し殺したような呼び声や語気を強めた言葉に、他の多くの狂言とは違う迫力を感じる。

昔から良く知っている同僚を殺すように命じられた太郎冠者の困惑。

主から殺すように命じられたと聞いて、覚悟を決める武悪。そして、やはりそれを討てない太郎冠者とのやりとり。

結局、討ったと言って主を欺くのだが、それを聞いた主の笑いはその複雑な心境を表しているようだ。

後半は、死んだはずの武悪と出会ってしまった主従と太郎冠者の入れ知恵で幽霊のフリをする武悪のやりとりが笑いを誘う。

怯える主の様子を笑いながら、もしかするとこの人は、武悪が生きてることに気がつきながらトボけてるんじゃないかなどと深読みをしてみたり。

さすが、人間国宝の野村万作氏が選んだ18の名作狂言のひとつ、見応えのある舞台だった。

ただ心残りは、海に浮かぶ能舞台を観られなかったこと。今度はもっと潮の満ちているときに、また観に来よう……と思った。
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by kiki_002 | 2008-10-09 23:58 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
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