アトリエ・ダンカンプロデュース「サド侯爵夫人」
平成20年10月25日(土)13:00~、東京グローブ座にて。

作/三島由紀夫
演出/鈴木勝秀

出演/
ルネ(サド侯爵夫人):篠井英介

シミアーヌ男爵夫人:石井正則
アンヌ(ルネの妹):小林高鹿
シャルロット(モントルイユ夫人家政婦):山本芳樹(Studio Life)
サン・フォン伯爵夫人:天宮良

モントルイユ夫人(ルネの母親):加納幸和

この日は、加納さんのお芝居と加藤さんのお芝居を観る(……って、駄洒落か?)。

で、まずは「サド侯爵夫人」。

「三島は好き」とか言いつつ、この脚本は未読。聞いたところだと、登場人物は女性ばかり。それをすべて男優が演じるという。そういえば一週間前に観た「から騒ぎ」もオールメールだったし、月初めに観た「そまりえ」は男女逆転劇だった。

舞台装置はシンプルで、登場人物も少人数、動きもさして多くない。しかし、印象は絢爛豪華。

華やかな衣装や髪の形、膨大で陰鬱で情熱的で華麗な言葉の連なり、そしてそこに立つ役者の圧倒的な迫力。

三島由紀夫の俗っぽさが好きだ。たとえば2幕の終盤で暴かれるあるノエルのできごと。しとやかで貞淑なルネが、その貞淑ゆえに加わった淫らな宴。ルネにその場で起こったことを語る母の言葉のなんと刺激的なこと。服1枚脱ぐわけではないのに、ただ言葉だけでこれほど煽情的な舞台。母の足元に膝をつく彼女のはにかむように紅潮しつつも誇らしげな表情。

そうやって、2幕では完全なルネの勝利。……勝利?誰に対して?

しかし、最後の3幕で語られるのは失意。肉の裏切りなら許せる。冒涜でさえも受け入れる。貞淑と、彼女自身が呼んだある観念によって。しかし、彼女が許せなかったのは、男が牢獄の中で書き上げた作品。面会に行き、食べ物を差し入れ、釈放のために運動し、脱獄の手引きさえした現実よりも、彼の精神は別のところにあったのだと。それが許せなかったのか。愛ではない。あくまでもそれはひとつの契約。貞淑であるためには、彼の魂はあくまで彼女と同じ地平に存在しなくてはならなかったのだろうか。

あるいは……。彼がすでに金髪の青白い頬の美青年ではなく、老いて、太って、醜くなったことが、彼女にとって許せない裏切りなのか。

怒涛のような言葉の波に洗われながら、6人の登場人物と彼女たちが語るひとりの男のことを考え続ける2時間45分。観終わった後、何か消化しきれないものを抱え、語られた言葉について思いを巡らせながら歩いていく、そんな作品だった。
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by kiki_002 | 2008-10-26 22:13 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
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