「影のオンブリア」
著者:パトリシア・A・マキリップ
訳:井辻朱美
出版社:早川書房(ハヤカワFT文庫)
発行:2005年3月24日

どこが……とは言えないが、なんとなく懐かしい気がするファンタジー。こういう物語を読むと、この世界の外に自分の帰る場所があるように思えて、少しせつなくなる。

そういえば、マキリップは久しぶりだ。「妖女サイベルの呼び声」や「星を帯びし者」から始まるイルスの竪琴シリーズなどを読んでから、もうずいぶん月日が経ってしまった。

古くて大きな国オンブリアを治めていた大公が死んだ。その夜のうちに宮殿を追い出された大公の妾妃リディアは、正妃の忘れ形見である幼い世継ぎの身を案じていた。

大公亡き後、幼い世継ぎを傀儡にして実権を握ろうとしている老女ドミナ・パールは、当たり前の人間ではなかった。彼女がいつから宮殿にいるのか、もう覚えているものもいない。古い都の古い宮殿に巣食う妖しい生き物。

宮殿の外、オンブリアの街の入り組んだ街路や立ち並ぶ古い建物、そして地下に住む年取った魔女とその使い女。もっと深い地底には過去の幽霊たちが棲んでいる。

宮殿はひとつの都のようだ。魔法や陰謀に満ちた世界の中で、地上と地下、光と影、過去と現在、うちと外が幾重にも重なりあっている。別の世界との架け橋となる人物が、それらの境界を見出していく。

魔法と光と影に彩られた物語。魅力的なキャラクターと魅力的な世界観。こういう本を読むと、またファンタジーを読みたくなる。
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by kiki_002 | 2008-11-10 23:46 | | Trackback | Comments(0)
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