「闇の公子」
著者:タニス・リー
訳:浅羽莢子
出版社:早川書房(ハヤカワ文庫FT)
発行:2008年9月15日

1982年に刊行された「闇の公子」の新装版。この物語も、続く「平らな地球シリーズ」も、ダークで耽美な印象の華麗なファンタジーだという記憶がある。確か以前のカバーイラストは萩尾望都さんだった。ちなみに、今回のカバーイラスト加藤俊章さん。

地底に住む妖魔の王アズュラーン。彼が人間に仕掛ける残酷な戯れや気まぐれな愛情などが織り成すいくつもの物語が連なる。しかし、短編集……ではない。それぞれの物語がゆるやかにつながって、ひとつの長編としての読み応えもある。

きらびやかな描写の数々。たとえば、世にも麗しい男や女。幻の船や花から生まれた女、人間と妖魔の王との駆け引き、真実の恋や偽りの言葉。魔法の首飾りや呪いのかかったダイアモンド、吟遊詩人の歌う物語に潜む真実など。

華麗な言葉が紡ぐ鮮やかなイメージと絢爛豪華な物語に魅了されていると、最後に思わず意表をつかれる。

人の姿をとるときには、長身の美貌の男。残酷で気まぐれで、しかしときに愛情深く、ときに優しくさえ見えるアズュラーン。彼に翻弄される人間たちを中心に描きながら、読み終わってみると妖魔の王にすっかり魅了されていることに気がつく。

続く「死の王」や「惑乱の公子」と比べても、やはり一作目として独特の存在感を持つこの「闇の公子」。なんて魅力的な物語なんだろう。
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by kiki_002 | 2008-11-15 23:55 | | Trackback | Comments(0)
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