カテゴリ:美術( 13 )
栃木県立美術館『ズィビレ・ベルゲマン』展
昨日は雪の中、栃木県立美術館の企画展を観に行った。

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現在開催中の企画展は、ズィビレ・ベルゲマンというドイツの女性写真家の作品展。

公式HPを見ると、こんな感じ。

ズィビレ・ベルゲマンは第二次世界大戦さなかの1941年、やがて戦火の迫るドイツの首都ベルリンに生まれた女性写真家です。
大戦後は旧東ドイツで写真家として研鑽を積み、1989年にベルリンの壁が崩壊した後は世界的にもっとも注目される写真家のひとりとして活躍しています。
国家の分裂という過去を踏まえながら、先端のファッションに身を包んだ女性たち、たくましく生きるアフリカの女性たち、そして愛らしい子供たちなどを先鋭都市ベルリンでとらえた写真は現代に生きる人間の孤独とたくましさを鮮やかに写しだすものです。

パリからニューヨークへという前世紀までの潮流から旧東欧や第三世界へと美術の動向も激変する21世紀の世界を鋭敏な女性写真家の目を通した125点の写真作品によってみつめる展覧会。(公式HPより)

会場に入ると、まずはモノトーンの写真が並ぶ。都市の風景や人々の営み、異国の街のひとコマ。それらを観ていくうちに、特に目を引かれたのは「ファッション」と題されたコーナーであった。スタジオではなく、街中やテントの前などで撮影されたそれらの写真の中に観る先端のファッションに身を包む女性たちの眼差しの強さ。自信を感じさせるその表情が印象に残った。

また、ピエロのいでたちをした少女やパリで1人グラスを前に座る老女の写真など、さまざまな年齢や状況の中の女性たちの写真が観る者の視線を受け止めていく。

「アフリカ・アジア」と題された一連の写真は、異国情緒ではなくそこで生きる人々のしなやかなと強さを感じさせて美しい。ふと気がつくと、いつのまにかモノトーンではなく、鮮やかな色彩の踊る作品が並んでいた。

そして、たくさんのポラロイド写真の中の人々の表情を追ううちに、思いがけず時間が経っていることに気づいたりもした。

そういえば、この企画展では図録は販売されていない。受付に置いてあった20数ページほどの冊子を手に取ると、そこに今回展示されている作品やそれに対する解説が掲載されていて、図録の代わりとなっていた。展示の雰囲気によく似合うスッキリと洒落たデザインで、しかもこれは無料での配布だった。こういうことがなんとなくとうれしい。

企画展の詳細はこちら→http://www.art.pref.tochigi.lg.jp/jp/exhibition/t110122/index.html

また、収蔵品によるいわゆる常設展(ここではコレクション展と呼ばれている)では、今回は県内作家による工芸品が多く展示されていた。

担当学芸員が選ぶミュージアムズ・チョイス「この1点」は、漆細工の《薬草図日光堆朱硯筥》。植物の美しいラインを描く繊細な彫りと漆の美しい色彩表現が印象に残る。同じ作家の他の作品や作品の基となった植物のスケッチなども併せて展示されているのが興味深い。

また、翁や小面、猩々などさまざまな種類の能面を小さなサイズで形作ったものが8点ほど展示されていて、面白く拝見した。これも県内作家のもののようだ。

最後に館内のカフェでまったり。限られたスペースながら、落ち着きとこだわりの感じられる店内。市内の老舗喫茶店によるカフェなので美味しいコーヒーがいただける。手作りのデザートやお食事も用意されているようだ。

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濃紺のカップは益子で誂えたものを使っているそうで、ソーサーはとちの葉をイメージしたものだとのこと。外は雪。こうして1人座っていると、なんとなく日常から遠く離れたところへ来たような気がした。

栃木県立美術館
「哀愁のベルリン―分断されたドイツを生きた女性写真家の軌跡 ズィビレ・ベルゲマン展」
2011年1月22日(土)~2011年3月21日(月・祝)
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by kiki_002 | 2011-02-12 10:19 | 美術 | Trackback | Comments(0)
「イノセンス-命に向き合うアート」
昨日、栃木県立美術館でNHK「日曜美術館」アートシーンのコーナーでも取り上げられた「イノセンス-命に向き合うアート」展を観た。ハンディキャップのある方の作品、いわゆるエイブル・アートの企画展かと思っていたが、実はもっと幅広く、さまざまな『境界』を越える作家たちの作品が並んでいた。

草間弥生さんや奈良美智さんの作品も、地元の施設で創作を続ける障がい者の方の作品も、それぞれ独特の力があって、観るモノの眼を惹き付ける。

思わず、久しぶりに美術展の図録を買ってしまったが、資料としてはともかく、実際に作品を目の前したときの勢いを感じることは難しい。やっぱり実物とはまったく別のモノなんだなぁ、と改めて思った。

「アウトサイダーという括りの中での評価ではなく、同じアートの土俵の上で見てみたいと思った」この企画展のタイトルに、エイブルアートともアウトサイダーアートとも入っていない理由は、展覧会を担当したキュレーターのこういう思いによるのだろう。

「コレクション展Ⅱ」(収蔵品を活用したいわゆる常設展)では、田中一村の『四ツ手網』を「この1点」として取り上げていた。一村の他の作品はここで見かけたことがあったが、この作品は初めて。地元なので何回となく通っているのに、まだ観たことない作品があるとは、あなどれない。
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by kiki_002 | 2010-09-12 08:50 | 美術 | Trackback | Comments(0)
栃木県立美術館「-日本画創造の苦悩と歓喜-大正期、再興院展の輝き」
大正時代の初め、横山大観らの尽力によって活動休止状態にあった日本美術院が再興された。その再興院展を立ち上げた日本画家たちの実力や、西洋画の影響と時代の流れによって変わって行く日本画の表現を、約130点の名品で綴る展覧会。

イメージどおりの端正な日本画もあれば、驚くほど写実的な作品もある。あるいはややコミカルなほど個性的な作品や、予想以上に多彩な水墨画の表現など、観ていて飽きることのない充実した作品が展示されている。

会場を観ていくと、木村武山の「小春」にまず目を惹かれた。6曲1双の屏風に描かれているのは、ちょうど今の季節の風景。たわわに実った柿の枝や真っ赤に燃える葉鶏頭を写実的に描いたその屏風の前で、思わずしばし足を止めた。

あるいは、小川芋銭の「水魅戯」。ユーモラスな、しかし力強いタッチで描かれているのは、水の流れとその中に見え隠れするカッパやその他さまざまな水の妖怪たち。こんな日本画もあるんだなぁ。

北野恒富の「暖か」では、芸妓だろうか、赤い長襦袢を着た若い女が、こちらを向いてしどけなく座っている。やわらかな女の身体とそのまなざしが魅力的。

速水御舟の「遊魚」で描かれた2匹の魚の繊細な美しさは、対象を観察する眼の確かさを感じさせる。

大正期の日本画家たちが、新しい表現を模索していく中で感じた苦悩と歓喜。タイトルにあるとおりの印象を感じさせる充実した展覧会となっているように感じられた。



-日本画創造の苦悩と歓喜-
大正期、再興院展の
横山大観、下村観山、安田靫彦、小林古径、速水御舟ら総勢30人の力作

栃木県立美術館
平成21年11月1日~12月13日
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by kiki_002 | 2009-11-15 00:53 | 美術 | Trackback | Comments(2)
「人間国宝 鹿児島寿蔵展」
人に薦められて、ある人形作家の展覧会を観に行った。

場所は、新橋の駅近くにある『旧新橋停車場 鉄道歴史展示室』。

こんなところがあるなんて、初めて知ったよ。新橋駅から歩いて5分くらいのところにあって、名前のとおりかつての新橋停車場駅舎を再現した建物。入館料無料で、日本の鉄道発祥地である汐留の歴史や鉄道関係の展示のほか、様々な展覧会を開催しているらしい。

ここで現在行われているのが、「人間国宝 鹿児島寿蔵展」。

鹿児島寿蔵は、明治31年に福岡市博多で生れ、人形制作と短歌の道を両立させた人物。テラコッタから始まり、自分で考案した紙塑人形により人間国宝となる。歌人としても、「アララギ」の同人として繊細で叙情的な歌を多く遺したという。

この展示会では、代表的な紙塑人形35点の他、自詠の歌を書いたものなども展示されている。人形は、神話などを題材にした『古き時代に』、愛らしい子どもたちを人形で創った『幼きものを』、エキゾチックな美女などが並ぶ『異国へ』という3つのテーマに別けてあった。

どの人形も素朴で、しかも格調の高い独特な美意識に溢れており、その繊細な表情に思わず見入ってしまう。

この展示会は入場無料で、休館日は月曜日。展示期間は間もなく終わってしまうが、その前にぜひご覧になってみていただきたい。


「人間国宝 鹿児島寿蔵展」

会 期:2009年4月7日(火)~7月20日(月・祝)
会 場:旧新橋停車場「鉄道歴史展示室」
(JR新橋駅 徒歩5分、都営大江戸線汐留駅 徒歩3分)
開館時間:11:00~18:00(入館は閉館の15分前まで)
休館日:月曜日(但し、祝日の場合は開館、翌日は休館)
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by kiki_002 | 2009-07-14 23:56 | 美術 | Trackback | Comments(0)
東京国立博物館「興福寺創建1300年記念 国宝 阿修羅展」
3月末に始まったこの企画展。気になってはいたのだけれど、ようやく観に行くことができた。

阿修羅像を始めとする八部衆や十大弟子の像、薬王・薬上菩薩立像や四天王立像など、国宝・重文がこれでもかと並ぶ豪華ラインナップ。

展示は、第1章「興福寺創建と中金堂鎮壇具」、第2章「国宝 阿修羅とその世界」、第3章「中金堂再建と仏像」、第4章「バーチャルリアリティ(VR)シアター」という4つのブロックからなる構成で、一番の見どころはもちろん、第2章の「国宝 阿修羅とその世界」だろう。

第1章は、中金堂基壇から発見された1400点をこえる鎮壇具が展示されている。金・銀・真珠・水晶・琥珀・瑠璃・瑪瑙などで作られた各種製品と銅鏡、刀剣などは、時代を越えて美しい輝きを保っている。

第2章は、十大弟子や阿修羅像を始めとする八部衆の像を展示。若者から老人までそれぞれの特徴を持つ十大弟子。6本の腕や鳥の顔といった異形の姿を持つ八部衆。

八部衆は、どの像も若々しい少年の顔をしており、清冽な印象を与える。中でも、胸から下が失われている五部浄の像が何故か印象に残った。

阿修羅像は、ガラスケースにも入れず、目の前に置かれている。しかも、周囲に回り込めるよう展示されているため、左右の顔や後姿までじっくりと観ることができる。やや眉をひそめたその顔は、愁いを含んで美しい。

第3章は、四天王や薬王・薬上菩薩立像は、その大きさと迫力を間近で堪能することができる。ふたつの菩薩像の前に立って静かに見上げれば、思わず手を合わせたくなるような雰囲気が漂っていた。

第4章は再建される中金堂や阿修羅像を映像で見せている。

午前中は長い時間待たないと入場もできないようだけれど、夕方から夜にかけては空いているようだ。特に金・土・日・祝日は20時まで開館しているので、夕方入館しても、けっこうゆっくり観ることができる。オススメだと思う。

展示を観た後、展覧会の関連グッズやミュージアムグッズの売り場へ。阿修羅の描かれたTシャツや手拭い、クリアファイルや絵葉書、その他いろいろ置いてある中、聞き覚えのあるギターの音色とよく知っている特徴的な声が聴こえてきた。

あら~~、高見沢さんだわ(汗)。阿修羅ファンクラブ公式ソング CDシングル「愛の偶像(ラブ・アイドル)」だとのこと。あの声と麗しい写真のジャケットに惹かれて思わず手に取ったけれど、ジャケットのもう片面に描かれていたみうらじゅん氏の描く仏像のイラストと「諸行無常~~」と歌うその歌詞のシュールさにちょっと引いてしまった。いや、そういえばこれ、ソロアルバムには入ってたかも。


会期:2009年3月31日(火)-6月7日(日)
休館日:月曜日 ただし5月4日(月・祝)は開館
開館時間:午前9時30分~午後6時
(ただし金曜・土曜・日曜・祝・休日は午後8時まで開館。入館は閉館の30分前まで)
会場:東京国立博物館 平成館
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by kiki_002 | 2009-05-03 23:56 | 美術 | Trackback | Comments(0)
栃木県立美術館「躍動する魂のきらめき―日本の表現主義―」
今日から始まった県立美術館の企画展。

表現主義といわれても、私のような浅学非才の身の上では、具体的な画家の名前すら挙げられないのだけれど、どうやら普通は20世紀初頭のドイツで起こったムーブメントのことを指すようだ。カンディンスキーやマルクなどドイツの若い芸術家たちが起こした新しい芸術の動き。それに影響を受けた日本のアーティストの作品が「表現派」としてさまざまなジャンルに広がっていった。その様子を、絵画や彫刻だけでなく、版画・写真・演劇・映画・建築に至るまで、幅広く展示している。

展覧会の構成は、4つの章に分かれている。

まずは、表現主義を受け入れる土壌となる、当時の日本の絵画などを展示した「序章:予兆」。淡々と描かれたように見える風景の中の、力強さが印象に残る。

「第1章:表現Ⅰ-生命主義」では、活き活きとした命のきらめきが感じられる作品が数多く展示されている。そこでは、村山槐多の「自画像」など、多くの人物画が印象に残る。顔かたちを映すだけでなく、その人の内面を、あるいは自分自身の自我を意識して描かれた多くの顔が、何かを訴えかけるように並んでいる。「拳の舞妓」なども、独特の雰囲気が面白かった。

次の「第2章:表現Ⅱー影響と呼応」では、日本で独自の広がりと豊かさを見せ始めたこの表現主義の、絵画だけにとどまらない多くの収穫を見せている。萬鉄五郎の絵画を並べて展示してある辺りの面白さは、ぜひ実際にご覧になっていただきたい。また、演劇や映画などの資料も興味深いものがあった。

「第3章:表現Ⅲ-生活と造形」では、日本の表現主義が芸術上の思想などから離れ、しだいに生活の中のひとつの流行としての広がりを見せる様子を展示している。「表現浴衣」などというものが売り出されたりしているというのが、面白かった。

この企画展は、平成21年6月15日まで開催中。

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by kiki_002 | 2009-04-26 23:43 | 美術 | Trackback | Comments(0)
栃木県立美術館 「茶の湯の美 茶道具との出会い・語らい」
出光美術館のコレクションを中心に、鎌倉から近代までの茶道具と書画の名品を集めた企画展。

茶道具というと、やや地味な印象ではないかと思ったのだが、実際に足を運んでみると、以外に多くの方が美術館を訪れていた。焼き物や書画など、関心のある方も多いのかもしれない。あるいは、お茶をたしなむ方々が観にいらっしゃっているのだろうか。

茶を喫する習慣やお茶の文化なども、他の多くのものと同様、中国から伝わってきたものらしい。漢のものだという香炉や茶碗を観て、やや感心する。こうして観ると、日本の茶道具(だけではないだろうが)は、本当に中国の模倣から始まったのだろうということに。

やや時代が下って、楽焼などが多く作られた時代。欠けた茶碗のふちを金でついだものが、かえって美しく見えるのが不思議な気がする。

しだいに華やかな色絵の茶碗なども多くなってきて、工夫を凝らされた香合などは手にとって観たくなる。もちろん、貴重な美術品としてガラスケースの中に展示されているので、触れることはできないのだけれど。

完璧主義だった板谷波山が、自ら焼いた天目茶碗を叩き割ろうとしたところを、出光佐三氏が頼んで貰い受けてきたという『天目茶碗 命乞い』。作り手がどこに不満を感じたのかはわからないが、美しい色合いが印象的な作品で、その逸話によってますます印象的なものとなっている。

竹細工の花器などが洗練されて茶席に使われるようになってきたり、茶道具もいろいろと時代によって変遷があるのが面白い。

絵画や彫塑とくらべると、基本的に人の手で使われる道具であるためか、どの作品もなんとなく親しみやすく感じられた。

栃木県立美術館

出光美術館コレクションの至宝 「茶の湯の美 茶道具との出会い・語らい」
2009年1月25日(日)~2009年3月15日(日)

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by kiki_002 | 2009-03-02 23:53 | 美術 | Trackback | Comments(0)
東京国立博物館「対決 巨匠たちの日本美術」
平成20年7月18日(金)、東京国立博物館 平成館にて。

平日の午後、しかも雨が降っているというのに、どうしてこんなに人がいるんだろう?上野公園の中には、けっこうな数の人々が行きかっている。

子どものころは、上野からそう遠くないところに住んでいたため、よくこの辺りに連れて来てもらったものだ。大きな噴水を取り巻くように、上野動物園、国立博物館、国立西洋美術館、そして、国立科学博物館。子どものころは、科学博物館が大好きだったっけ。天井から吊るされた大きな振り子や小さなハチドリの剥製や恐竜の骨やいろいろな石や、それからそれから……。

雨のせいだろうか、やや感傷的になりながら、目当ての国立博物館に着く。ここもけっこうな人出だけれど、待ち時間はなしで入れそうだ。

目当ての特別展は、中世から近代までの日本美術の中でも、特に名高い巨匠たちを、ライバルや師弟など2人1組で対比させながら観ていこうというもの。

特に美術史の知識などない自分でも、聞き覚えのあるような大物の作品が並ぶ。

運慶VS快慶
雪舟VS雪村
永徳VS等伯
長次郎VS光悦
仁清VS乾山
円空VS木喰
大雅VS蕪村
若冲VS蕭白
応挙VS芦雪
歌麿VS写楽
鉄斎VS大観

この組み合わせやそれぞれの対決のテーマ、そのキャッチフレーズ、展示の構成やディスプレイの仕方など、作品以外のところも興味深く、見どころが多い。

芦雪の「虎図襖」の妙に可愛らしい猫のような虎や円空の「十一面観音菩薩立像」の素朴でかつ気高い佇まい、歌麿の美人画と写楽の役者大首絵の対比の面白さ、若冲の描くニワトリの鮮やかさ、その他、いろいろな断片がいまでも目に浮かぶ。

いったいどんな方が、こういうことを思いつくんだろう?何かを人に観せるにも、もいろいろな方法があるものだ。
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by kiki_002 | 2008-07-19 23:46 | 美術 | Trackback | Comments(0)
栃木県立美術館「十二の旅:感性と経験のイギリス美術」
川崎清氏設計の印象的な外観を持つこの美術館は、やや地味だが質の高い企画展や数多い収蔵品を活用した多彩な常設展示など、建物ばかりでなく内容にも見どころが多い。

昨年の春からの約一年、工事のため休館していたが、それも終わり、この4月にリニューアルオープンした。

耐震補強工事やバリアフリー対策がメインだったそうなので、展示スペースなどにはあまり変化はない。常設展示室に、寄贈を受けたマイセン磁器を展示するスペースができたくらいか。

だから、リニューアルといっても、美術館そのものが大きく変わったというわけではない。それでも一年ぶりの企画展は、独創的な視点で組み立てられた興味深い展示内容だった。

『十二の旅』というタイトル。12組のイギリスの芸術家の作品を、小さな個展を連ねたように順に見せていく。それぞれに共通するテーマは旅。多様性と郷愁、微かな異国情緒。

たとえば ターナーの「風景・タンバリンをもつ女」。淡い色彩の幻想的な風景画。どこでもない土地に光がにじみだす、神話のような風景。

チャールズ・ワーグマンの「富士遠望図」。幕末の日本を訪れたイギリス人が見た、遥か遠い空にかすむ富士の姿。 

ヘンリー・ムーアやデイヴィッド・ナッシュの造形の、どこかユニークで活き活きとしたその姿。

時代も作風も様々な12組のアーティストの作品を見ていると、自分もどこかへ長い長い旅をしてきたような気分になる。

栃木県立美術館
企画展「十二の旅:感性と経験のイギリス美術」
2008年4月27日(日)~2008年6月22日(日)
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by kiki_002 | 2008-05-30 23:46 | 美術 | Trackback | Comments(0)
笠間日動美術館『ピカソ、マティス、シャガール・・・巨匠が彩る物語』
いかにも秋晴れという気持ちのいいお天気の中を、笠間市まで友人とドライブした。
目的は、笠間日動美術館で開催中の企画展『ピカソ、マティス、シャガール・・・巨匠が彩る物語』。

20世紀ヨーロッパ絵画の巨匠たちによるオリジナル版画の挿絵本が展示されている。

展覧会のタイトルにもなっているピカソ、マティス、シャガールの他にレジェ、ミロ、ドラン、コールダーなど7人の画家たちの独創性溢れる挿絵の数々。一連の物語や詩などに合わせた連作の版画は、単独の版画とはまた違う世界観の広がりがあって興味深い。

たとえば、シャガールによる「ダフニスとクロエ」は、叙情的な物語にふさわしい美しい構図と鮮やかな色彩の作品で、全42点を前期・後期にわけて展示。これだけでも行って観る価値があるように思う。

ジョアン・ミロの「ひとり語る」は、自由奔放で不思議な明るさを感じさせる作品。書いてあったフランス語の詩は読めないけれど、本の形で手元に置いておきたい気がした。

鮮やかな色使いとポップな画面構成が魅力的なマティスの「ジャズ」。その中の1枚、『イカロス』が気に入って、絵ハガキを買って帰ってきた。

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by kiki_002 | 2007-10-28 23:27 | 美術 | Trackback | Comments(2)
  
だって、好きなんだもん!
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