カテゴリ:本( 123 )
ハヤカワ文庫JA「あなたの魂に安らぎあれ」
著者:神林長平
出版社:早川書房
発行:1986/03

地上にはアンドロイド。
地下には人間の住む世界。

アンドロイドがエネルギーや食物やその他あらゆるものを作り、
人間はそれを消費する世界。

地上の光線は人間には有害で、地下で暮らすしかないのだが。
閉塞感、違和感、なぜ生きるのか、という根源的な問いが人々を覆う。

一方のアンドロイドにも蔓延する終末思想。

過去を夢で観る者。未来を知る者。

少年の目線、父親の目線、その他の登場人物の目線が、重なり合っていく。
サイバーパンクかと見紛う要素もありつつ、独自の世界観が魅力的な名作SF。

ラストで、地上を満たしていく小動物たちのイメージが美しい。
ある意味残酷な結末とも思えるのだけれど、
その美しさがSFの醍醐味っていう部分もあるなぁ、と思わざるを得ない。
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by kiki_002 | 2013-07-29 01:37 | | Trackback | Comments(0)
『折れた竜骨』
著者:米澤穂信
出版社:東京創元社
発行:2010/11/27

うぉ~、この作家のミステリーはとても好きなんだけど、この方がファンタジーってイメージなかったよ。半信半疑で手にとってみれば、ガチで「剣と魔法の物語」でした。もう、なんて素敵♪

舞台は十二世紀、ロンドンから出帆し、波高き北海を三日も進んだあたりに浮かぶソロン諸島。領民から慕われる領主の死にからむ、暗殺を請け負う暗黒騎士とそれを追う遍歴の騎士、そしてその従者。聡明で勇敢な領主の娘の目線で語られる物語は、ファンタジー好きの心をきちんと捉えて、ページをめくる手がもどかしい。

いやぁ、面白かった!!ファンタジーは大好物だけど、しかも本格ミステリーなんだもの。ちゃんと、関係者が一堂に会して、謎解きする場面もあって。

魔法や呪いが存在する世界で、それでも論理が謎を解くことになるという枠組みがたまらなく面白くて、しかも登場人物がそれぞれきちんと魅力的で。

こんなにワクワクしながら読んだ本は久しぶりだった気がします。
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by kiki_002 | 2012-12-10 22:32 | | Trackback | Comments(0)
『王妃の離婚』
著者:佐藤賢一
出版社: 集英社(集英社文庫)
発売日: 2002/5/25

手元の本の発売日を確認すると、2002年と書いてあった。とすれば、最初に読んでからもう10年にもなるのだ。でも、久しぶりに読み返してみても、夢中になってしまうくらい面白い。

王妃の離婚であれば同時に王の離婚でもあるはずだけれど、この物語はやはり『王妃の離婚』なのだ、と改めて思う。王や王妃だって、きれいごとばかりでない、男と女なのだ。卑怯未練もあれば、弱さや愚かさもある。でも、読み終わった後には爽快な印象が残る。

主人公である弁護士のフランソワが勝ち目のない裁判に加担することになる様子や、その後の小気味いい活躍など、ワクワクしながらページをめくってしまう。

面白い小説を読みたい……と思ったら、ぜひ手にとってみて欲しい、そういう一冊。
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by kiki_002 | 2012-10-15 23:15 | | Trackback | Comments(0)
『ビブリア古書堂の事件手帖』1・2
ビブリア古書堂の事件手帖1~栞子さんと奇妙な客人たち~
ビブリオ古書堂の事件手帖2~栞子さんと謎めく日常~

著者:三上延
出版社:㈱アスキー・メディアワークス(メディアワークス文庫)
発行:2011/3/25(19刷 2012/2/7)、2011/10/25(6刷 2012/1/13〉

最初に書店で見かけたときから気になっていたこの本。

舞台が古本屋さんで、推理モノの連作短編っていえば、もうそれだけで好きなタイプの作品だよなぁ、と思っていたのでした。

あちらこちらで推薦本になったり、読んだ方の感想ブログを拝見したりして、ますます気になり、買ってきてみた。

うん、間違いない。たいへん好みのタイプでございました。

連作短編に加えて、安楽椅子探偵、いや、ベッドデティクティブだし。なんとなく恋愛モードもはいってるし。

最近めっきり読書量が落ちてるにも関わらす、2冊するすると読めました。

短編が完全独立じゃなく、有機的につながりあって、大きな流れを創っているところも好きだ。

本の読めない体質(!)の語り手と、超内気だけど本に関係した話題となるとやたら雄弁になる美人古書店主と。

一見体育会系の語り手がなかなかナイーブで、あるトラウマによって本が読めない体質になっちゃったんだけど、いや、だからこそ、かな、本について興味があって、本の話となるととめどなく語ってしまう古書店主との相性はばっちりなのだ。

古書をめぐるささやかな、あるいは個人的な、あるいは、恐ろしい、様々な謎。

その謎ときと併せて、作中で語られる様々な書物が愛しい。

どこか謎めいた古書店主の栞子さんにまつわる様々な出来事や過去が、それぞれの短編をつないでいいく。だから、短篇集とはいえ、これは本に掲載されている順に読んでいきたい。

2冊目のあとがきを読むと、「物語はようやく本編というところ」だとのことなので、まだまだ先があるということだ。これからの展開を楽しみに待つことにしたい。
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by kiki_002 | 2012-05-01 23:58 | | Trackback | Comments(0)
ハロウィンと言えば……?
ハロウィンと聞いて真っ先に思い出すのは、仮装した子どもたちや彼らにあげるためのお菓子ではなくて、ブラッドベリ(1920~、アメリカの小説家、詩人。幻想文学やSFの名作多数)の短編『集会』だったりする。

正確に言えば、そのブラッドベリの短編を萩尾望都さんがマンガ化した作品の印象が強くて、主人公の少年ティモシーや彼が慕うエナー叔父さんなどが、あの美しい絵で描かれている様子が目に浮かぶわけです。

内容は、万聖節の宵祭(ハロウィン)に、ティモシーの家に集まる一族(魔物というか人ならざるチカラを持った者たち)の様子と、そこにまぎれている人の子であるティモシーの孤独を叙情的に描いたもの。要約が下手でつたわりにくいけれど、作品自体は素敵なのでぜひご一読ください。

で。

さきほど、こうして『集会』について書くためにネットで検索してみたら、この一族について描かれた短編をまとめて、ひとつの長編にした『塵よりよみがえり』という本が2000年に発表されていたことを知った。日本でも2002年にハードカバーが、2005年に文庫本が発売されているということで、あわててネットで取り寄せたところだ。

55年越しで完成した長編ということでもあり、自分としても久しぶりに読むブラッドベリということで、本が届くのがとても楽しみだ。
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by kiki_002 | 2011-10-31 23:55 | | Trackback | Comments(0)
シアターガイド1月号
職場近くの書店に、毎月2冊入荷する。

1冊は私が買うんだけど、あとの1冊はどんな人が買うのか、ちょっと気になったり。

これから上演される舞台の情報やチケットの発売日、話題の舞台関係者のインタビューや対談など、情報量はたっぷり。

以前、仕事帰りの電車の中で読んでたら、降りるはずの駅をうっかり通り過ぎてしまったこともあった。

そうそう、テレビで放送される舞台のコーナーも必読。あ、もうNODA・MAPの『表に出ろいっ!」を放送するの?え?「イリアス」も?

……などとぶつぶつ言いながら真剣に読んでます。

ただねぇ、これ読んでると、観たい芝居が増えちゃうんだなぁ。困ったもんだ。
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by kiki_002 | 2010-12-02 23:52 | | Trackback | Comments(0)
そんな……。
さっき、ふと見かけた訃報。もう半年近く前のことなんだけれど。マンガ家の佐藤史生さんが、今年の4月4日に亡くなったそうだ。

ああ……。

『夢みる惑星』、『ワン・ゼロ』、『鬼追うもの』など、SFともファンタジーとも神話とも言い難い、独特の世界観で描かれたその作品は、私にとってとても大切なものだった。

作品の数はあまり多くないのだけれど、緻密に組み上げられたその作品世界がなんとも印象的で、何度も何度も繰り返し読んだものだ。

魔術と科学と神々の跋扈する彼女の作品を、とりあえずまた読み返してみようと思う。
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by kiki_002 | 2010-09-26 12:39 | | Trackback | Comments(0)
『坊っちゃん』
著者:夏目漱石
出版社:新潮社(新潮文庫)
発行:1950/1/31(139刷 2009/5/25)

一昨日ツイッター上で見かけた茂木健一郎さんの連続ツイートに触発されて、何十年ぶりかで夏目漱石の『坊っちゃん』を読んだ。

最初は、茂木さんの言葉を踏まえていろいろ考えながら読んでいたのに、中盤からすっかり面白くなってしまい、あっという間に読了。そもそも小説であれ舞台であれ、何かに対する比喩であるとか批評であるとかそういう見方は得意じゃなくて、単に物語として読んでしまいたいたちだからね。

改めて読むと、この小説の魅力の大半は、独特のリズミカルな文体と一人称で語る主人公のモノの見方。だからこれを、他の媒体で視覚的に見せようとするのは、難しいのではないだろうか。

それでも、つい視覚化したくなる人の気持ちもわかる気がする。テレビや映画や舞台で観てみたいと思わせるのは、やや類型的に描かれる登場人物の面白さ、いわゆるキャラが立ってるから、だろう。

昔読んだときの印象より、主人公の語りが客観的というか、自分自身を外から観ているような雰囲気があるのは、これが語り手のリアルタイムの一人称じゃなく、後年になって振り返って語ったものという形だからだろう。

いまさら……と思いながら読み始めたけれど、正直本気で面白かった。なんとなく若い頃読んだ古典や読みそびれた古典を、改めて手にとって見たい気がしてきた。
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新潮文庫なんだけどね。まるで英語版かと思うようなポップな装丁。
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カバー以外は、昔ながらの新潮文庫でした。
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by kiki_002 | 2010-09-11 12:47 | | Trackback | Comments(2)
『花よりも花の如く』〔8〕
著者:成田美名子
出版社:白泉社(花とゆめコミックス)
発行:2010/7/10

お能マンガのはずなんだけど、主人公の憲人がドラマ出演してるここ数巻は、ドラマの話題が続く。

前巻は、劇中劇というか、マンガ中ドラマ(?)というか、憲人が出演したドラマをそのまま1巻で読ませた。……とはいえ、ドラマの中心になるのもお能の話題。まあ、だからこそドラマ初出演の憲人が重要な役を演じることになったんだったっけ。

で今回は、そのメイキング。要は、ドラマ撮影期間の憲人や共演者などの人間模様を描いてるっていうことなんだけど。

これまで、限られた世界の中で生きてきた憲人が、始めてのテレビドラマの現場に戸惑ったり、演じることに悩んだりしていく様子を繊細に描いていく。特に、ドラマで主役を務める人気俳優 藤井淋との間に友情が育まれていく様子が清々しくて、ふと学生の頃読んだこの著者の学園マンガを思い出した。

憲人が淡い恋心を抱いている葉月とのやり取りや本職である能の部分へのこだわりなども、丁寧に描かれていく。

ドラマの収録が終わり、ひとつのものを一緒に作ってきた仲間との別れが訪れる。その憲人の名残惜しい気持ちが、しみじみと伝わってくる。

初めてのドラマの現場が終わり、それが何を変えるのか。これからの展開が、ますます楽しみになってきた。
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by kiki_002 | 2010-07-22 23:57 | | Trackback | Comments(0)
「まんまこと」
著者:畠中恵
出版社: 文芸春秋(文春文庫)
発売日: 2010/3/10

「しゃばけ」シリーズでお馴染み(?)の畠中恵さんによる江戸を舞台にした短編連作。

神田の町名主(庶民の揉め事の裁定をする)の1人息子 麻之助は、16の頃まではマジメな跡取りだったのに、どういう訳か突然お気楽者の道楽息子へと変わってしまった。

そんな麻之助を中心に、幼なじみの清十郎と吉五郎の3人が、周囲で起こるトラブルに始末をつけていく様子が、軽やかにそしてほろ苦く描かれていく。

清十郎も麻之助同様、町名主の跡取り息子だったり、吉五郎が同心見習いだったりと、事件の謎を解くには打ってつけの立場。しかも、お気楽者とはいえ麻之助は、けっこう人を見る目が確かだし、知恵も回るし、思いやりもある。

しかし、現役バリバリの町名主である親父さんたちの方が1枚も二枚も上手だと思えることも多いし、麻之助がお気楽者に変わることになったある出来事も含め、この世の中にあるやるせない思いやほろ苦さなども描かれ、物語に深みを与えている。

奇妙な事件が起こり、それを麻之助たちが追っていく面白さ。そして、胸に秘めた誰かを思う切ない気持ちや言葉にしてはいけない思い。

「しゃばけ」シリーズに負けないくらい、好きなシリーズになりそうだ。
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by kiki_002 | 2010-06-15 00:30 | | Trackback | Comments(0)
  
だって、好きなんだもん!
by kiki
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