カテゴリ:本( 123 )
「町長選挙」
著者:奥田英朗
出版社: 文芸春秋社(文春文庫)
発売日: 2009/03/10

トンデモ精神科医 伊良部先生シリーズの第3弾が文庫になったので、さっそく買ってきた。前の2冊もとても面白かったので、当然即決。

読んでいるうちに、このシリーズの主人公は伊良部先生というより、各回ごとに変わる患者なのだろうという気がしてきた。毎回毎回、よくもまぁこんなにと思うくらい、いろいろな人物がおかしくなっていく様子は、なんだか身につまされる。

人間ってさぁ、いろんなこだわりや見栄や屈折や思い込みや、そんなものたちでがんじがらめ。どの話も、おかしくなっていくそれぞれの主人公の目線で見てるから、ふと我にかえると自分は大丈夫かと思わず心配になってくる。しかも、それに輪をかけて妙なのは、もちろんお馴染みの伊良部先生だ。

それにしても、こんな医者のところによく毎度毎度患者が来ちゃうよねぇ?大きくて立派な総合病院の精神科だから、まさかこんな先生だとは思いもしないんだろうけど。それにしても、ホントにこのドクターを見てると呆気にとられる。

でも……。だからこそなのかもしれないけど、どの患者もこの先生のところに通ううちに、しだいに自分を取り戻していくのだ。

4つの短編が収められている中で最初の2作の主人公は、プロ野球チームのワンマンオーナーだったりマスコミをにぎわすIT企業の若き経営者だったり。あ~、そういえばあの人……という感じで、明らかなモデルがいるものの、そんなことよりも、あいかわらずの突拍子もない病状とそこから主人公たちが何かに気づいていく様子がなんとも面白い。

そして、セクシーで無愛想な看護婦まゆみの活躍が以前より増えてる気がするのが楽しい。

表題作の「町長選挙」では、伊良部先生とまゆみが小さな島へ赴任して、これまでとは舞台も変わってくるのが、ちょっと新鮮。文庫版の帯には『伊良部だって、ひきこもる』とあるけれど、これまでの様子を見てると、「出たくないも~~ん」とか言って閉じこもるのはどちらかというと伊良部らしい気もする。

とりあえず気軽に手にとって、笑ったり呆れたりしながら、読み終わるとなんとなくスッキリしているってのは、これまでのシリーズと同様。いやホント、面白いから。
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by kiki_002 | 2009-03-17 23:53 | | Trackback | Comments(0)
今月の予定
気になる芝居がいくつか。今月観たいものと、今月チケットを確保するものと。

去年もその前の年も、確か3月はあまり観に行けなかった。まあ、年度末だからね~。でも、今年は転勤もなさそうだし、休日出勤するほど追い込まれる予定はない(たぶんね)ので、多少は観に行けるはず。

決まっているのは、今週末の柿喰う客「恋人としては無理」。そういえば今日、チラシがうちに届いた。いや、遅いって!明後日はもう初日じゃん、とっくにチケット取ってるから!!……と思ったら、ちゃんと案内文に「公演直前のお知らせとなってしまいましたが…」とお詫びが載っていた。まったく、これだから柿は、油断も隙もありゃしない。

他にもいくつか気になる舞台があるのだけれど、詳細はまだ未定。

チケットが発売になるのは、シス・カンパニーの「楽屋~流れ去るものはやがてなつかしき~」。とにかく今回はキャストが豪華。清水邦夫氏の戯曲は以前読んだことがあるので、どなたがどの役か、なんとなく予想してみたり。

このキャストだと、気をつけてチケットを確保しておかないとなくなってしまいそうだ。まあでも、公演期間が長いので、何とかなるかな。

昨日買って来たシアターガイド4月号を眺めつつ、頭の中で日程をやりくりしてみたり。ま、そうやって、何を観に行こうか考えるのも楽しいよね。

えッ、観劇以外の予定?仕舞のお稽古とか、お彼岸に墓参りに行くとか、合唱団の臨時総会とか、美容室に行くとか、そんな感じかな?そうそう、しばらくサボっていた着付けをそろそろまたお願いしないと。

あいかわらず、道楽優先の生活でゴメンなさい。いや、仕事もちゃんと(?)しますからね、たぶん。
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by kiki_002 | 2009-03-03 23:52 | | Trackback | Comments(0)
シリーズここではない★どこか 1 「山へ行く」
著者:萩尾望都
出版社:小学館(フラワーズコミックス)
発行:2007/7/1

萩尾望都さんといえば、私たちにとってはもう、ある種神様のような存在だ。少女時代に出逢った「11人いる!」の面白さに驚き、「トーマの心臓」に衝撃を受け、「ポーの一族」に心を奪われた世代なのだから。高校時代には友人たちと、彼女の新作を読み漁ったものだ。

もう長いことご無沙汰だったけれど、久ぶりに買ってきた萩尾望都さんのコミックスは短編集。ささやかな日常と異界が微妙に近づき、重なり合い、また別れて行く、そんな10の物語たちが収められている。

中でも特に気に入ったのは、「宇宙船運転免許証」。死んだ弟の代わりに、宇宙船の運転免許証を更新に行く小説家の物語。日常の中のささやかな不思議。

「ゆれる世界」で描かれるのは、透きとおる翼の羽ばたきで揺らめく世界。いや、世界はいつも揺れている。だから、こんな天気のいい日には、ゆっくりと羽根を広げて風を感じてみよう。

あわただしい日常の中で忘れかけていた透明な思いが、静かによみがえってくる。『ここではないどこか』という、そのシリーズ名のとおりの10の物語。
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by kiki_002 | 2009-02-25 23:35 | | Trackback | Comments(0)
グイン・サーガ第125巻「ヤーンの選択」
著者:栗本薫
出版社: 早川書房(ハヤカワ文庫)
発売日: 2009/2/10

スカールに助けられたヨナは、そのままスカールと旅を続けるのだけれど、どうやらお互い相性がいいらしく、わずかの間にずいぶん打ち解けてきたようだ。

スカールも昔のスカールではないし、ヨナも草原での出来事を通して、これまでとはやや考え方が変わりつつあるようだし。そういう意味でもこの出会いは、お互いにとってプラスになっているように思える。

ミロク教については、これからいろいろな事実や人物が登場してきそうで、興味深い。それを探りに行くヨナといつのまにかそれに同行することになったスカールの旅は、けっこう波乱に富んだものになりそうな気がする。

そして、イシュトヴァーンとカメロン。

あんな振る舞いをしているのを見てさえ、イシュトはホントに昔と変わってないんだってことが、実は少しうれしかったり。イシュトの言葉に、すべてを投げ打ってついて行ってしまおうとするカメロンの選択を心の中で是としながら、結局は適うまいと思ってしまったり。

ここでの別れが、この先に展開にどんな陰を落とすのか。イシュトは本当にパロを落とそうとするのか。ゴーラとケイロニアは、無事に友好関係を結ぶことになるのか。

そんなことを考えているうちに、架空の国の物語に、こんなに心を寄せている自分をおかしく思ってしまう。

あとがきを読むと、作者の栗本氏の体調はやはりあまり楽観視できるものではないのだと思いつつ、それでもこうして書き続けてくださっていることを読者としてうれしく思う。できうれば、少しでも長く書き綴ってくれるよう、ひそかに祈るしかないのだけれど。
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by kiki_002 | 2009-02-22 23:53 | | Trackback | Comments(0)
サライ3月5日号 「能・狂言」幽玄なるこころの旅
出版社:小学館
発売日:2009/2/19

ふだんは買わない雑誌なのだけれど、能・狂言特集ということでついつい衝動買い。

能楽の歴史や基礎知識などがわかりやすく解説されていたり、5つの流派ごとに特徴が説明されていたり、まずは自分のような初心者にもわかりやすい手頃な入門書として読むことができそうだ。

面や装束などの解説も、写真入りでわかりやすいし。

それから、全国の能舞台のある宿や寺社仏閣での薪能・野外能などについて書かれたページも面白かった。昨年行ってきた厳島神社も出ていて、ちょっとうれしかったり。

インタビューやコラムなども多彩で、読み応えのある特集だった。

ひとつだけ残念だったのは、狂言では茂山家がメインだったということ。萬斎さんのお名前も出てこないわけではないけれど、インタビューとかがあると楽しかったんだけどな。

……いやいや、あまり贅沢は言わないようにしよう。とりあえず、これを読んで、次にお能を観に行くときに備えようと思う。
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by kiki_002 | 2009-02-19 23:16 | | Trackback | Comments(0)
「JOKER⑤ ファイナル・ミッション」
著者:道原かつみ
原作:麻城ゆう
出版社:新書館(ウィングス文庫)
発行:2008/10/25

うわぁ、完結だって!ジョーカーシリーズって、しばらく中断してなかったっけ?いつのまにか完結してたのね。これって文庫版だから、コミックス版で完結編が出たのは、きっともうけっこう前なんだろうなぁ、気がつかなかったよ。不覚。

悪質な犯罪を捜査し、検挙し、裁き、そして死刑を執行する「特捜司法官」。彼らは、銀色の人工眼球を持つ合成人間だった。……なんていうと、ハードボイルドな印象を与えるかもしれないけれど、実はラブコメ(?)。変身能力を持ち、性別まで変えられる「特捜司法官」のジョーカーと、刑事の六道リィンの前途多難な恋の行方。

リィンにとってジョーカーはチャーミングな女性なのだけれど、男性の姿のジョーカーも好きだなぁ。S-Aと同じ外観なのに、なんとなくジョーカーの方が色っぽいし。そうそう、あの長い黒髪がいいんだよねぇ。

個性的なキャラクターがそろっていて、明るめに物語が進みながら、シリアスな事件の場面もなかなかカッコよくて、しかも、全体にシャレが効いていて。

特に主役の2人が可愛くてステキなんだけど、でもなんとなくハッピーエンドは望めないのだろうと思っていたけれど……。

『君がいなくなっても、僕がいなくなっても、未来までずっと 思いはつながっている……』

人を好きになることって、素敵なことだと、そんな照れくさいようなことを思ってしまうようなエンディング。読み終わって幸せな気分になった。
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by kiki_002 | 2009-02-18 23:59 | | Trackback | Comments(0)
「大正探偵怪奇譚」第壱巻 鬼哭・第弐巻 鬼子
著者:揚羽千景
原作:松田 環
画:藤城 陽
出版社:徳間書店(徳間ディアル文庫)
発行:2009/2/10

さて、以前にもこのブログでお知らせしたこの本が、いよいよ発売になった。

つい先日上演されたばかりの舞台「怪奇探偵 丑三進ノ助 ~推して参る~」の前段にあたる「大正探偵怪奇譚」3部作の小説版である。

正確に言えば、3部作のうち1作目と2作目が今回発行され、3作目は4月に発行される予定とのこと。

さっそく買ってきてみると、まず印象的なのが表紙や裏表紙のイラストだ。舞台をご覧になった方なら、うなずいていただけると思うが、主要な登場人物たちが本当に芝居の印象どおりに描かれている。

そして……読み始めてみると、あの時の舞台の様子がまさしく目に浮かぶように、ていねいに描かれている。そうそう、こうだった、そんなふうに彼らは動き、語り、そんなふうに生きていたのだと。

第壱巻鬼哭では、大正時代を舞台に、売れない小説家である丑三進ノ助の出逢ったある事件の顛末を、彼の淡い恋の様子を交えて描いている。

第弐巻鬼子では、平安の昔にさかのぼり、かつて夜叉丸という名の鬼であった丑三進ノ助の過去と、彼が人の世で暮らすことになるまでのいきさつを語っている。

舞台を観た方もそうでない方も、ぜひ手に取っていただきたい。

そして、このあと進ノ助がどうなったか、ぜひまたしゅうくりー夢の舞台で確かめていただければ、と思う。平成の世に生きる進ノ助の活躍を描いた「怪奇探偵 丑三進ノ助 ~推して参る~」の上演は終了してしまったけれど、きっとまたいつか、進ノ助や九尾姐さん、おたまちゃんなど、この物語の登場人物たちと舞台で再会できるに違いないと信じているから。

……とりあえずは、劇団しゅうくりー夢の公式HPで販売しているDVDで、これらの物語が舞台でどんな風に演じられたか、確かめていただくのもいいかもしれない。
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by kiki_002 | 2009-02-11 23:42 | | Trackback | Comments(0)
『花よりも花の如く』〔6〕
著者:成田美名子
出版社:白泉社(花とゆめコミックス)
発行:2008/11/10

おっと、いつの間に6巻が出ていたんだろう?このところよく本屋に行ったので、ようやく出ているのに気がついたよ。

で、冒頭から思わず笑いそうになる。

連雀能舞台の新年の会が例年以上に盛況で、チケットにプレミアがつくほどだったのは、人気の狂言方である宮本芳年さんが「翁」の中で、三番三を踏むからだ……というくだりがあったので。

あ~~そういえば、私も萬斎さんの三番叟(←流派によって、三番叟または三番三と表記が異なるらしい)が観たくて、新年早々能楽堂に行ったっけ。

この芳年さんのキャラがホントにいいんだよね。クールなのかお茶目なのかわからないけど、けっこういろいろ考えているのかもしれない。

で、この巻では、芳年さんの妹 葉月ちゃんが初登場。ピアニスト兼女優さんだという、姿勢もスタイルもよくてカッコいい女性だ。どうやら主人公は彼女に惹かれ始めているように見える。

その主人公 憲人。今度はどうやら、テレビドラマに初挑戦ということになるようだ。

どんなドラマなのか、そして葉月との関係は?また続きが気になるところだ。

憲人と弟 西門のやや複雑な関係とお互いを思いやる気持ちや周囲の人たちの温かさなども印象的。

憲人の祖父でもあり、師匠でもある左右十郎氏もいいなぁ。芳年さんの次に好きなキャラかも。……って、あれ?主人公の憲人は?
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by kiki_002 | 2009-02-06 23:58 | | Trackback | Comments(0)
「パティスリーMON」
著者:きら
出版社:集英社 (クイーンズコミックス)
全10巻

珍しくマンガのまとめ読み。人から薦められて、これも珍しく恋愛もの。……というのは間違いじゃないけど、恋愛だけでなくお仕事も、けっこう一生懸命。タイトルからもわかるとおり、ケーキ屋さんが舞台のお話。

失業中のヒロイン オトメちゃんが、初恋の家庭教師の先生と久しぶりの再開。なんと先生は、パティシエになっていた。先生のいるお店に勤めることになったオトメちゃんが、仕事にそして恋に、がんばっている様子が爽やかに描かれている。読んでいると、彼女の迷いや一途さに胸がキュンとなる。

オトメちゃんと友人たちとの飾らない会話もけっこう好き。わかるよなぁ、女同士って。

パティスリーMONのスタッフがまたみんないいんだよねぇ。

ぶっきらぼうだけどホントに美味しいケーキをつくるシェフ。シェフといいコンビで店を盛り立てていく先生。双子のタロウ・ジロウも、日本語が不自由な梅ちゃんも、ホントにいい奴らで、いとしくなる。

それぞれの過去。それぞれの夢。この小さな店のスイーツに込められているのは、そういうキラキラした何かなのかもしれない。

そういうお話。読み終わると、美味しいケーキが無性に食べたくなる。ダイエット中なのに困ったものだ。
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by kiki_002 | 2009-02-03 23:54 | | Trackback | Comments(0)
「下北サンデーズ」
著者:石田衣良
出版社:幻冬舎(幻冬舎文庫)
発売日: 2008/8/20

そういえばこれ、ドラマでもやってたなぁ。そんなことを思いながら読み始める。ドラマはチラッと観たような気がするけれど、ストーリーまでは認識していなかった。

里中ゆいかという女の子が、偶然出逢った劇団下北サンデーズに惹かれて、入団申し込みに行くところから物語が始まる。個性的な先輩たちや慣れない芝居の世界にとまどううちに、劇団も彼女自身もブレイクし始めて……。

実在の劇場や劇団をもじって描く小劇場界の雰囲気は面白いし、トーナメント形式の演劇祭を戦っていく顛末はやや類型的ではあるけれど、けっこうワクワクする。ひとくせもふたくせもある劇団員たちの人間模様も興味深い。

ただ、読んでいくと、可愛くて頭もよくて運動神経もいい上に上品なお嬢さんであるヒロインに感情移入しにくかったり、怒涛のような展開がその割に簡単に進んでいくのがピンとこなかったり、この作者らしいちょっと洒落た描写が少し浮くような気がしたり、面白くなりそうな題材の割に、夢中になるほどの勢いはなかったのだけれど。

でも、このラストは好きだ。これでいいのだと思う。人生で、何が正解かなんてわかるはずもないんだから。

それぞれの変化とヒロインの決断。その後の結末は読んでいる人にゆだねればいい。そういう潔い終わり方が心地よかった。
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by kiki_002 | 2009-02-02 23:58 | | Trackback | Comments(0)
  
だって、好きなんだもん!
by kiki
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