タグ:グイン・サーガ ( 18 ) タグの人気記事
グイン・サーガ第130巻「見知らぬ明日」
著者:栗本薫
出版社: 早川書房(ハヤカワ文庫)
発売日: 2009/12/10

発売日。書店で平積みになっているのを手に取った瞬間、『あっ!』と声をあげそうになった。薄い、そして軽い。いつも同じ長さ、同じ4章にまとめられたこのシリーズなのだけれど、しかしこの一冊は2章が完成する前で途切れている。

わかっていたはずなのに、改めて栗本さんが亡くなったのだということが、切実に感じられた。

読み始めれば、長い間親しんだあの世界。多くの登場人物たちが、いつものように言葉を交わし、それぞれの思いを抱えて動き続けている。

相変わらず貧乏くじを引いてしまうヴァレリウス。いや、彼はいつも、なぜか損な役割が回って来てしまう、と言うけれど、そうではないのだ、と今回はよくわかった。彼自身が、いろいろなことに気づいてしまい、そしてそれを見過ごせない、捨てて置けない性分なのだ。まあ、その性格そのものが貧乏くじだという考え方もあるけれど。

そして、イシュトはいったい、何をしようとしているのか。マルガへ詣でた後、パロを発ったはずなのに。新たな争乱の火種を生み出そうとしているのだろうか。

パロの行く末を案じながら、祈ることしかできない、というリンダに、それも大切な役目だ、というヴァレリウス。この何気ないやり取りが、なぜか胸に響いた。

絶体絶命の危機にあったはずのフロリーが、目覚める場面の途中で、物語は途切れている。

巻末には、今岡清氏の解説が付されている。公私にわたって栗本さんを支え続けてきたこの方の、グイン・サーガへの思いが綴られているこの解説を読むと、また改めてこの物語のことを考えてしまう。

多くの人に愛され、読まれ続けてきたこの長い長い物語に、心からの愛と感謝を。
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by kiki_002 | 2009-12-22 23:56 | | Trackback | Comments(0)
グイン・サーガ第129巻「運命の子」
著者:栗本薫
出版社: 早川書房(ハヤカワ文庫)
発売日: 2009/10/10

先日のクラス会で、話をしていて気がついた。私がグイン・サーガを読み始めたのは高校のとき、図書館に並んでいたこのシリーズを手に取ったのがきっかけだった。そして、いまもこうして同じこのシリーズを読んでいるのは、なんだか不思議なことのように思える。

ミロク教もその聖地であるヤガも、なにか怪しげで不穏な雰囲気を放ち、ヨナが信じていたような素朴な信仰とはずいぶんと遠いものになってしまっているようだった。

とうとうその奇妙な姿の一端を現し始めたヤガから、必死で逃げ出そうとするスカールとヨナ。

それにしても、フロリーって人はけっこう魔性の女なんじゃない?いや、内気で慎ましやかで信心深い女性だということは重々知っているけど。

それにしたって、イシュトが王座を投げ打って彼女と逃げようとしたこともあったし、マリウスと互いに憎からず思いあっていたこともあった。そして、ヤガの街でヨナと再会してからは、やっぱりお互い意識しているようじゃないの。まあ、魔性……というより、恋に恋する少女、なのかもしれないけど。

ま、いま彼女が一番大切にしているのは、息子のスーティだってのは間違いないけどね。そのスーティ、これがねぇ、またホントにただモノじゃないよねぇ。あのイシュトとの間に出来た息子だから、っていう立場もあるけどね、なにしろ、いまじゃイシュトもゴーラ王だし。

でもそれ以上に、この幼子の持つ底知れない力はいったいどこから来るんだろう?グインもスカールも、この子を前にするとメロメロじゃないの。いっそ早くカメロンさんに逢わせてみたいくらいだ。どう考えたって、カメロンがこの坊やにぞっこんになるのは眼に見えてるんだけどね。

読みきれないのはイシュトの反応。あの人はねぇ。まだ心の底では、彼自身が幼い子どものようなものだから。それでも、少なくてもスーティの幸薄い弟ドリアンよりは、スーティを気に入るだろうとは思うけど。

相変わらずのグラチウスやイェライシャといった大魔道師たち。まあ、ヤンダルゾックよりはずいぶんと人がましい気はするけど、それでも、油断ならないことは変わりない。

そんな魔道師たちでさえ、あの子を手元に置きたがるのは、まあ人情からじゃないとしても、スーティという子どもの行く先は、どう考えても波乱万丈なものになりそうだ。

……それなのに、この子の育っていく様子を見るのことはもう無理なのだと思うと、本当に残念だ。

12月発売の130巻。これで彼女の残したグインはすべてなのだろうか。そう思うと、長い旅の途中で行き先を見失ったような、そんな気分になる。
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by kiki_002 | 2009-10-29 23:49 | | Trackback | Comments(2)
グイン・サーガ第127巻「遠いうねり」
著者:栗本薫
出版社: 早川書房(ハヤカワ文庫)
発売日: 2009/6/10

彼女は亡くなったけれど、彼女の書き残したものは、こうして本となって私の手元にある。それがなんだか不思議な気がするのに、読み始めればいつもと同様、すぐに向こうの世界に引き込まれる。

ああ、イシュトがなんだか大人びて、王らしいことを言ってるじゃないの。そのくせ、やっぱり変わらずにチャーミングだし。

苦労性のヴァレリウスも相変わらず忙しそうにいろいろと駆け回ってるし。

そして遠いケイロニアでは、もうずっと前に語られていたあの厄災に、グインがとうとうたち向かっていくことになったようだし。

ヨナとスカールが入り込んだヤガの町は、ずいぶんと怪しげな風情だし。

こんなにもよく馴染んだこの世界、この中を歩くことができるのも、もうあと少し。彼女が残してくれたあと少しのグイン・サーガを読み進むのが怖いような気さえする。

あとがきを読むと、なんだか涙が出そうになる。何か予感めいたものがあったのだろうか。あるいは……。

すでにこの世の人ではなくなってしまったその人の言葉を、味わうようにゆっくりと読み進んだ。

物語の中では、何か大きな動きが近づいてくるような気配が感じられる。ややいつもと雰囲気の違うタイトル「遠いうねり」。それは何かの予感のような、あるいは地響きのような、そういう遠い気配。
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by kiki_002 | 2009-06-11 23:56 | | Trackback | Comments(0)
もう2度と……
栗本薫さんが亡くなった。

その知らせを聞いて、自分自身でも思いがけないくらいショックを受けた。

……まず最初に思い浮かんだのは、やはりグイン・サーガのこと。それでは、あの長い長い物語がこれからどうなっていくのか、もう決して知ることはできないのだろうか。

イシュトの求婚を受けたリンダには、これからどうするのか。ヤガへ向かったヨナはどんな光景を目にするんだろう。まだ幼いスーティが父に逢う日が来るのだろうか。いつの日かグインの記憶は戻るのだろうか、そして最終刊で描かれる豹頭王の花嫁は?

たくさんの謎がまだそのままになっているのに。数多くの人々の運命が、その続きを語られるのを待っているのに。

彼女の死によって、ひとつの世界が時間を停めてしまったのだ。

そう、あれはすでにひとつの世界だった。主人公や主要な人物だけでも本当にたくさんの名前を挙げることができる。そしてそのほかにも、たとえばトーラスのゴタロ一家などを思い出すと、まるで古い知人のことを考えるように懐かしいのだ。

下町で居酒屋を営むゴタロ、戦争によって長男を失い、自らも目が不自由になるが、働き者で気のいい奥さんと片足が不自由ながらしっかりものの次男とかわいらしい嫁に囲まれ、平凡な人生をおくっている。

しかし、ときには運命のいたずらにより、ケイロニア王であるグインや、パロの王子マリウス、ゴーラの宰相カメロンなどがこの平凡な家族と出逢ったりもするのだ。

数え切れないほどの多くの人々、さまざまな街や村や砂漠、いくつもの国や地方。その世界がそっくり、彼女の死によって凍結されてしまった。

グイン・サーガだけではない。あの優しい目をした伊集院大介や、デビュー作で探偵役を務めた薫くん、推理ものには欠かせない山科さん、たくさんの愛すべきキャラクターたちのその後の消息を訊ねることは、もう2度とできないということなのか。

彼女の作品に最初に出会ったのは、まだ十代の頃だった。長年親しんできた多くの作品が、切れ切れに脳裏をよぎる。

この訃報に際して、今はただひとこと、ありがとうという言葉を。

そして……ご冥福を心からお祈りいたします。
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by kiki_002 | 2009-05-27 21:07 | | Trackback | Comments(0)
グイン・サーガ第126巻「黒衣の女王」
著者:栗本薫
出版社: 早川書房(ハヤカワ文庫)
発売日: 2009/4/9

ああ、リンダもあんまり変わってないよねぇ。イシュトヴァーンが魅力的なのはわかるけど、それにしたって最初から彼の目当ても目的もわかってて、それでもほだされそうになるんだから。

お姫様育ちだから仕方ないとは思うけど、ちやほやされたり、甘い言葉をかけられたりすると、露骨に機嫌がよくなるしね。ま、そういう素直なところがかわいいとも言えるのだろうけど。

前回、カメロンの制止を振り切って、わずかな手勢と共にパロへ乗り込んだイシュトヴァーン。到着前から、リンダへの求婚が目的だろうとパロ側もわかっていて、それでもむげに断るわけにも行かないのは、現在のパロの国力が弱っているから。イシュトの率いるゴーラと、いま戦うわけには行かないのだ。

だからって、リンダとマリウスが婚約してるっていう嘘もどうかと思うけれど、ナリスの腹違いの弟アル・ディーン王子がマリウスと同一人物だと知らないっていうのは、イシュトの方もちょっとうかつな気がする。それとも、その関係はあまり世間に知られてないことなんだったろうか?

宰相のヴァレリウスにとっては頭の痛いことに、こういうときのイシュトはまた、イヤになるくらい魅力的なんだよね。上品でも貴族的でもないけれど、すらりと姿がよくて、顔立ちもキレイで、どこかちょっと悪そうな異国の王なんて、ロマンチック過ぎるもの、クリスタルの都でも人気者になるのは当然だ。ましてイシュトは人を惹き付けるコツを心得てる。その気になればいくらでもチャーミングに振舞えるんだから。

そしてラストでは、フロリーと彼女の生んだ自分の息子に逢いたいと言うイシュトの言葉。すでにフロリーたちは旅立ってしまったとヴァレリウスが言えば、イシュトはそれを簡単に信じるんだろうか?その辺りが次の巻ではまた、トラブルの種になっていないといいんだけれど。求婚に来てるんだから、イシュトにしては大人しくしているけれど、どこまでその調子が続くかもわからないし。

そんなこんなで、また次の巻が楽しみだ。
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by kiki_002 | 2009-04-13 23:58 | | Trackback | Comments(0)
グイン・サーガ第125巻「ヤーンの選択」
著者:栗本薫
出版社: 早川書房(ハヤカワ文庫)
発売日: 2009/2/10

スカールに助けられたヨナは、そのままスカールと旅を続けるのだけれど、どうやらお互い相性がいいらしく、わずかの間にずいぶん打ち解けてきたようだ。

スカールも昔のスカールではないし、ヨナも草原での出来事を通して、これまでとはやや考え方が変わりつつあるようだし。そういう意味でもこの出会いは、お互いにとってプラスになっているように思える。

ミロク教については、これからいろいろな事実や人物が登場してきそうで、興味深い。それを探りに行くヨナといつのまにかそれに同行することになったスカールの旅は、けっこう波乱に富んだものになりそうな気がする。

そして、イシュトヴァーンとカメロン。

あんな振る舞いをしているのを見てさえ、イシュトはホントに昔と変わってないんだってことが、実は少しうれしかったり。イシュトの言葉に、すべてを投げ打ってついて行ってしまおうとするカメロンの選択を心の中で是としながら、結局は適うまいと思ってしまったり。

ここでの別れが、この先に展開にどんな陰を落とすのか。イシュトは本当にパロを落とそうとするのか。ゴーラとケイロニアは、無事に友好関係を結ぶことになるのか。

そんなことを考えているうちに、架空の国の物語に、こんなに心を寄せている自分をおかしく思ってしまう。

あとがきを読むと、作者の栗本氏の体調はやはりあまり楽観視できるものではないのだと思いつつ、それでもこうして書き続けてくださっていることを読者としてうれしく思う。できうれば、少しでも長く書き綴ってくれるよう、ひそかに祈るしかないのだけれど。
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by kiki_002 | 2009-02-22 23:53 | | Trackback | Comments(0)
グイン・サーガ第124巻「ミロクの巡礼」
著者:栗本薫
出版社: 早川書房(ハヤカワ文庫)
発売日: 2008/12/10

タイトルを聞いて、フロリーとスーティ親子の話かと思ったのに、本を開いて最初に登場したのは……あ、ブラン。グインたちと袂を分かって、とうとうゴーラにいるカメロンの元へ戻ったようだ。そのブランからスーティの様子を聞いたカメロンの抱く夢、イシュトの不幸な生い立ちを取り戻したいと願うその思いが、なんともせつない。そして、スーティの弟ドリアンの寂しい育ちぶりも。

それにしても、イシュトといい、ドリアンといい、カメロンは心底面倒見がいいんじゃないだろうか。

そして、ミロク教徒の聖地ヤガへの旅路を辿るのは、ヨナだ。スーティの様子やミロク教徒の変化を探るため、ミロク教徒としての信仰心から、あるいは憎からず思っていた娘の消息を知るため。

ヤガへ向かう前にマルガへ立ち寄り、ナリスの菩提を弔うヨナ。多くの人の心を捉えたまま、この世から旅立ってしまったナリスに対して、ヨナは真実を求める学徒としての深い共感を抱いていたのだ。

いよいよヤガへ旅立つため、素朴な巡礼のグループに加わるヨナ。そのグループのひとり、小さな村で生きてきた娘のヨナへの憧れに軽く共鳴する。これまで見たことのないような、自分とは違う世界を持つヨナに対して、恋というだけでなく、自分の生きてきたシンプルな生き方とは違う人生に対する憧れを感じたのだろうか。

ヤガへの途上で起こる惨劇と、思わぬスカールとの出会い。この出会いが、この先どんな展開をもたらすのか。

次巻の発売は2月。物語はどこへ向かっていくのだろう。
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by kiki_002 | 2008-12-18 23:46 | | Trackback | Comments(0)
グイン・サーガ第123巻「風雲への序章」
著者:栗本薫
出版社: 早川書房(ハヤカワ文庫)
発売日: 2008/10/09

前巻までのグイン・シルヴィア夫妻の修羅場(?)が、どうやら一段落したらしい。と言っても、哀れなシルヴィアは姿を現さず、事情の一端を知ったアキレウスの決断により、グインがケイロニアを実質的に治めることになるまで様子が描かれている。

皇帝アキレウスのグインに対する信頼と愛情。それに答えて、大国ケイロニアの支配者となるグインの施政者としての資質。宮廷内でのさまざまな意見や憶測。前巻までの痛々しさが薄れ、とりあえずケイロニアは収まるべきところに収まったかに見える。

後半は、しばらくぶりのイシュトヴァーンとカメロンの登場。(実はちょっとうれしい♪)

実際にはそれほど動きもなく、ほとんどはこの2人の会話が続くばかりなのに、なぜか大きく物語が動いたかのような印象を受ける。それは、イシュトの変化によるものだろう。

リンダへの求愛?世界統一の野望?王者としての自覚?

彼の話す内容はそれほど突飛なわけではないのに、なぜか相変わらず禍々しい予感を感じさせるのは、「災いを呼ぶ男」の面目躍如というところか。

そして、とうとうスーティの存在を知ったイシュトが、これからどういう行動に出るのか。

本当にリンダに求愛するのか。そのときリンダはどうするのか。

この巻のタイトル「風雲への序章」とは、うまく名付けたものだと思う。嵐の予感を感じさせるイシュトの野望が、どんなふうにこの中原を巻き込んでいくのか。

この先の展開からも目が離せない。
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by kiki_002 | 2008-10-10 23:40 | | Trackback | Comments(0)
グイン・サーガ第122巻「豹頭王の苦悩」
著者:栗本薫
出版社: 早川書房(ハヤカワ文庫)
発売日: 2008/08/06

まずは読み始める前に、帯にあった『2009年春テレビアニメーション化決定!!』というフレーズに動揺する。え~~、アニメ化ぁ?どのへんを?どんなふうに?

そして、そんな動揺が治まる前に、今度は口絵を見て驚く。え~~、ロベルトって、こんな美形だった~~?

まあ、そんなふうになかなかすぐに読み始められなかったのは、この巻の展開が明るいものとも楽しいものとも予想しにくかったから。

なにしろこのタイトル。そして、前巻の展開。ハゾスがあの赤ん坊をどうするのか。シルヴィアはこの先どうなるのか。グインはいったいどう考えるのか。そんなことを思うと、重苦しい気分になってしまう。

それにしてもロベルト。口絵ばかりでなく本編でも、この巻でのこの方の活躍に目を見張る。そうかぁ、こういう方だったんだ。ケイロニアには珍しいタイプ。意外とヴァレリウスくんとかと気が合いそう……などと思ったり。っつうか、ちょっとだけナリス様と似てない?気のせい?

ハゾスはやっぱりハゾスで、マジメで有能で現実的だけれども、今回ばかりは適任とは言えなかったなぁ。

身分も立場も違うのに、シルヴィアに対するグインとパリスの思いがこれほど似ているのだ。弱く幼く、だからこそ守ってやらなくてはならない愛しいもの。それは的を得たものに思えるのに、どうしてうまくいかなかったのか。

グインもいい加減朴念仁だけれど、こうなってしまったのは彼のせいだとも言えないし。

最後の一行を読むと、胸が痛む。もう決して取り返すことはできないのだ、という思いに。せめてもう一度、優しい言葉をかけてやったらどうなんだ、とグインに対して歯がゆい思いもあるけれど、これが運命なのかもしれない。

可哀想な……シルヴィア。可哀想な……グイン。この2人が幸せになるところも見たかったと思うのだけれど、いまとなってはもうありえないことになってしまったようだ。
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by kiki_002 | 2008-08-11 23:53 | | Trackback | Comments(0)
グイン・サーガ第121巻「サイロンの光と影」
著者:栗本薫
出版社: 早川書房(ハヤカワ文庫)
発売日: 2008/06/06

タイトルどおり、久しぶりに帰還した王を迎えたサイロン市民の輝くような歓喜と、グインのただひとつの弱点ともいえる妻のシルヴィアの不幸な状況。

とうとう『故郷』であるケイロニアへ帰ろうとするグイン。その旅路での、ハゾスをはじめとするケイロニアの人々が見せる素朴な喜びと飾らないグインへの愛情は、読んでいて胸が熱くなるほどだ。

ケイロニアへ着いてからも、グインの顔を見て気力を取り戻す皇帝や、喜びに沸く市民など、この国の明るい未来を感じさせるものばかりだ。ただひとつ、グインの妻、シルヴィアのことを除けば。

ハゾスが嫌悪するほどは、シルヴィアのことを悪くは思えない。むしろ哀れに思う気持ちの方が強い。シルヴィアの状況は、これまでの経緯から予測できるはずのものではあったのだが、どうしてこの人はこんなに弱いのだろう、と思わずにはいられない。そしてその弱さゆえに彼女を愛し続けるグイン。

相思相愛のはずなのに、けっして幸せになれそうもない二人が哀れに思える。

それにしても、スーティやドリアン、マリニアなど、主要人物の子どもたちも登場し始めて、ますます物語は広がって行くように思える。

まあ、この子たちが活躍するのはまだちょっと先だろうけれど、今回登場したハゾスの息子リヌスやアンテーヌ候の息子アウルス・アランなどは、もうすぐにでもいろいろと活躍できそうだ。

この長い物語がどこまでも続くよう、祈らずにはいられない。
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by kiki_002 | 2008-06-12 23:55 | | Trackback | Comments(0)
  
だって、好きなんだもん!
by kiki
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