タグ:堀越涼 ( 59 ) タグの人気記事
楽しみが増えた。
初めてこの方の芝居を観たのは、おととしの秋。確か新宿のシアターモリエールだった。それ以来、観るたびに新鮮な顔を見せてくれる役者さん。年齢も性別も飛び越えて、粋とか伊達とかそういう言葉の似合う不思議なヒト。

で、その方がどうやらブログを始めたらしい。え~~っと、こちら→貴女はいつだって涼しげ団

ここ数年、芝居を観る機会が増えて……っていうか、芝居道楽が重症化して、いろいろな役者さんのブログを拝見するようになった。

面白いんだ、これが。

お仕事柄、言葉に対する意識が鋭敏なのかもしれない。あるいは、ご自分を表現することに対して、貪欲なのかもしれない。ものすごくカッコいい、面白い、そういうブログがたくさんある。

その中で、新しく始めたあの方がどんなふうに日々を綴っていくのか。そこに素顔が見えるのか、あるいは読み手をワナにはめてしまうのか。

その人のお名前は、堀越涼さん。……とりあえず、楽しみがひとつ増えた。
[PR]
by kiki_002 | 2009-09-30 23:58 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
PRIFIX3 in 王子小劇場
平成21年8月30日(日)12:00~、王子小劇場にて。

これで3回目となるPRIFIXは、さまざまな劇団の芝居を並べたショウケースイベント。短いものは20分、長いものでも1時間という短めの芝居を、7つの劇団が10分の休憩を挟んで2回ずつ、12:00から21時過ぎまで続けざまに上演していく。チラシにもあるとおり『1本みて帰っても2,500円。14本全部見ても2,500円!」というイベントなのだ。

7本のタイトルはこちら

劇団競泳水着「地球の上で待ち合わせ」
ナカゴー「超能力学園Z」
ロロ「ディナー」
マーク義理人情「白鳥の湖」
自己批判ショー「自己批判ショーの、とても練習したコントたち」
Mrs.fictions「20 minutes made」
バナナ学園純情乙女組「遊ぶカネが欲しかった+ミニおはぎライブ」

今回のお目当ては劇団競泳水着の「地球の上で待ち合わせ」。5月の「NOT BAD HOLIDAY」に引き続き、花組芝居の堀越涼さんがご出演されるということで観に行った。

この「地球の上で待ち合わせ」、いきなり黒服とサングラスの男女が会話する場面から始まる。メン イン ブラックばりに地球の命運を背負ったエージェントたちに課せられた使命は、待ち合わせ。決められた時間に決められた場所で決められた相手と会うことの重要性。そして次の使命は、相手をお茶に誘うこと。

この、黒服のくだりはまあプロローグなのだけれど、実はそうとう好き。エピローグもこれでやってくれないかなと思っていたけれど、それだとしんみりとは終われないからなぁ。

で、始まった物語は、すれ違い始めた同棲中のカップル・5年前に別れたはずの年上の女性と当時学生だった男の再会・高校の同級生(女性同士)のメールのやり取りから久しぶりの再会まで、という3つの待ち合わせを描いていく。

3つの物語はそれぞれ独立しており、次々と場面を変えながら平行して話が進む。

お目当ての堀越さんは、学生時代付き合っていた年上の女性と再会する男を演じていた。男の一途さ、純粋さと同時に身勝手さや未練など、さまざまな感情を繊細に紡ぎだしていく。

話しかける声や語り口の変化に、相手への感情の揺れを感じさせ、さりげない仕草に恋慕を感じさせる色気がある。特に雨の中、待ち合わせ場所に来ない彼女に涙声で呼びかける様子は観ていてせつなくなる。

男には結婚しようとする彼女がいて、女には別れたと偽ってはいるものの夫があり、お互い切実に惹かれあっていながら、すべてを投げ出せない弱さがあって。

もうひと組のカップルのささやかな日常を共にしていく誠実さで、愛情を支えていくのとは対照的な印象だった。

そして、女同士のメールのやり取りがリアルなもう一組の待ち合わせは、実際に会ってからのとまどいや懐かしさなど細やかな心の動きも秀逸で、何の事件も起こらないのに、充分劇的に感じさせる。

60分のこの作品だけ観ても充分満足できる、そういう作品だった。

その他では、Mrs.fictionsの「20 minutes made」が好きなタイプの作品だった。銀の触覚を持った宇宙人がリストラになる前の最後の1日。なんで宇宙人がサラリーマン?とかそういう説明は抜きに、その宇宙人と、「うる星奴ら」みたいなカップルなどのやりとりが、けっこう楽しかった。

それと、好きとかいうよりなんていうかインパクトがあったのは、マーク義理人情の「白鳥の湖」。ある高校のボディービル部の試合前の様子。なんていうか、身体を張ってる感じが捨て難い。

2度目の競泳水着を観て、ほぼ6時間。観る方もなかなかたいへんだったけれど、退屈するヒマもない刺激的な時間だった。
[PR]
by kiki_002 | 2009-09-04 23:58 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
王子でショウケース
今日は、王子小劇場でPRIFIX3を観てきた。これは、さまざまな劇団の芝居を並べたショウケースイベント。短いものは20分、長いものでも1時間という短めの芝居を、12:00から21時過ぎまで続けて行うもの。

前回のPRIFIX2は「柿喰う客」目当てで観に行き、時間の都合でその「柿喰う客」だけ見て帰ってしまった。

今度のお目当ては劇団競泳水着の「地球の上で待ち合わせ」。花組芝居の堀越涼さんがご出演なのだ。

12:00 劇団競泳水着「地球の上で待ち合わせ」
13:10 ナカゴー「超能力学園Z」
13:40 ロロ「ディナー」
14:10 マーク義理人情「白鳥の湖」
15:20 自己批判ショー「自己批判ショーの、とても練習したコントたち」
15:50 Mrs.fictions「20 minutes made」
16:20 バナナ学園純情乙女組「遊ぶカネが欲しかった+ミニおはぎライブ」

で、コレをもう1セット繰り返すらしい。今回はとりあえずこれをひととおり全部と2度目の競泳水着を観た。 そこまでで、約6時間という長丁場。 けれど、ひとつひとつの芝居が短いせいか、あまり長くは感じなかった。

この中で、圧倒的にクオリティが高い「地球の上で待ち合わせ」。男女の微妙な恋の揺らめきや女同士のやりとり。 日常のささやかな思いをすくい上げる60分。

まあこの中には、1本だけでは観に行こうと思えないものもあるけれど、普通なら選ばないタイプの芝居もこうして見ると意外に興味深く、けっこう面白い企みだなぁと思ったりして。

朝、劇場に向かう前に投票を済ませ、夜、テレビをつけたら選挙の話題で持ちきり。 王子の街の地下にある劇場に半日こもっていたせいか、こういう現実的な話題に緊迫感がない。 そんな土曜日。この週末はしっかり舞台を堪能した。

これも詳しくはたぶん近日中に。宿題ばっかり増えてるなぁ~。
[PR]
by kiki_002 | 2009-08-30 23:55 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
世田谷シルク「グッバイ・マイ・ダーリン」最終日
この公演は今日まで。ということで、最終日のマチネとソワレを観てきた。

マチネはシルク席といって、お弁当付きの桟敷席。……っていうか、ふだんは客席じゃないでしょ、ここ。まあけっこう観易かったけど、座布団で1時間半はけっこうキツかった。

ただし上から見下ろすことで、昨日とは違う部分も見えて面白かったけれど。たとえば、細かいことを言うなら、コースターと灰皿がリンゴの形をしてるのは、昨日気がつかなかったし。

女の子たちのちょっと意地悪な会話とか、けっこう好き。ダンスやケンカなどテンションの高い部分も実は好き。そういう勢いが気持ちいい。

そして、家族の場面になると緊張感が高まってきて。その後、女の子が家族の動きを高速でなぞったり。

坂井が店に来るたびに濡れているのは、「事件」が起こったのがひどい雨の降った日だったから。坂井がご執心の彼女は、坂井の妻に似ている……っていうか、彼自身に似ている?

家族の場面で、女の子たちが舞台上手に並んでト書きのようなセリフをいうのは、能の地謡の見立てか?そう思えば、リンゴの木は鏡板に描かれた松に、下手からの登場は橋掛かりに、それぞれなぞらえているのかも。

そして、ソワレはL字型の客席の下手側。それこそ能舞台でいえば、脇正面の辺り。角度が変わると見え方がけっこう違う。女の子の顔がよく見えたりもして。

イメージの連なりが作り上げる独特の世界。ちょっとはまりそうなくらい面白い。
[PR]
by kiki_002 | 2009-08-09 23:57 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
世田谷シルク「グッバイ マイ ダーリン」
平成21年8月8日(土)19:00~、下北沢小劇場楽園にて。

土曜日だというのに、朝から職場関係のイベント。しかもこの暑い盛りに野外(汗)。まあ曇りだったのでまだよかったけどね。

予定より早めに終わったので、木曜日に初日を迎えた世田谷シルクの「グッバイ マイ ダーリン」のソワレを観に行くことにした。

というわけで、下北沢へ。受付時間になり、「当日券で」って言ったら、「ちょっと待ってください」って言われた。え~っ、これで当日券は出ませんって言われたら泣くよ?……いや、大丈夫でした。

すでに観てきた方の感想などを読むと、わかりにくい芝居かなと思っていたけれど、まあシルクらしいコラージュ演劇。

若い(あ、そうでもない人もいたか?)役者さんたちの熱演や、赤いドレスの女の子たちが舞い踊る絵的なキレイさ、イメージの断片から物語が立ち上がっていく様子などが、なかなか面白かった。

大人数の舞台の演出に時間をかけためか、主宰の堀川炎さんの出番が少なかったのが残念。彼女の芝居はけっこう面白いんだけどね。特に彼女が演じる子ども役が好きだ。

お目当ての堀越さんは、キャバクラに、いやセクキャバに通う客とお母さんの2役を、帽子を使って演じ別けていた。

最初に男性役で登場したときには、ステージが近いせいか、これまでのイメージ以上にすらっと背が高く肩幅が広くて、 これで女性役はどうかと思ったのに、衣装も替えないまま演じた『お母さん』役はいかにも化粧の匂いのしてきそうな女性に見えて、さすがだと思った。

いや、どちらの役でもステージに立つと目立つんだよね、とにかく。

つまらないことをいうと、この季節にリンゴをたくさん出すのって大変じゃないの?などと所帯染みたことを思ってしまうのは貧乏性過ぎるかもしれない。
[PR]
by kiki_002 | 2009-08-08 23:58 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
告知・世田谷シルク「グッバイ マイ ダーリン」
昨日の続きで、しゅうくりー夢「/.jp~幕末月光傳~」の感想を書く予定だったのだけれど、今日はその前に告知をひとつ。

世田谷シルク「グッバイ マイ ダーリン」
詳しくはこちらへ→特設ページ

花組芝居の堀越涼さんが主演するこの舞台は、明日8月6日(木)から9日(日)まで、下北沢小劇場楽園にて上演される。

「接触」、「傑作」と続けて観てきたこの世田谷シルクというユニット、これまで2人芝居など少人数のものしか観てきていないので、10人以上のキャストをどんなふうに料理するのか、けっこう興味深い。

小劇場楽園のL字型の客席を活かして、能舞台をイメージした作品になるとかならないとか。

今月は、なんだか観たい舞台がやたら多いんだよね。でも、とりあえずこれは観に行く予定。
[PR]
by kiki_002 | 2009-08-05 23:58 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
観たい舞台
……っつうか、観る予定の舞台。

     ※     ※     ※

世田谷シルク 本公演
『グッバイ・マイ・ダーリン』 - セクキャバに通うお母さんのお話 -  

会場:小劇場 楽園
期間:2009年8月6日(木)~9日(日) 

作・演出/堀川炎

出演/
えみりーゆうな
大竹沙絵子
黒田浩史
椎名豊丸(チェリーブロッサムハイスクール)
下山マリナ
辻沢綾香(双数姉妹)
中里順子(黒色綺譚カナリア派)
堀田尋史(とくお組)
堀越涼(花組芝居)
守美樹(T1project)



この世田谷シルクという劇団の作品については、これまで「接触」と「傑作」の2つを拝見した。

コラージュ演劇と銘打たれたその舞台は、さまざまな断片が行き交い、演じるものの持つ技を並べていくような、役者の力量に負うところの多い芝居だったように思う。

その断片を積み重ね、ひとつの世界観やある思いを伝えようとしているのだけれど、それぞれの題材の選び方がけっこう好きだ。

「接触」は2人芝居、「傑作」は1人芝居+ゲスト、という具合に少人数のものしか拝見していないので、こんどのようなキャストで、どういう芝居を見せてくれるのか、大いに楽しみだ。

……今度の公演にも、花組芝居の堀越涼さんが客演されるしね♪
[PR]
by kiki_002 | 2009-06-16 23:53 | 舞台 | Trackback | Comments(2)
劇団競泳水着「NOT BAD HOLIDAY」
平成21年5月22日20:00~&23日19:00~、池袋シアターグリーンBASEシアターにて。

劇団競泳水着第十一回公演、そして正式劇団化第一弾と銘打たれたこの公演を観に、連日池袋へ。


脚本・演出/上野友之

出演/
真崎久美子(長女):細野今日子(劇団競泳水着)
真崎このみ(次女):川村紗也(劇団競泳水着)
真崎亘(末っ子長男):玉置玲央(柿喰う客)

戸高生馬(久美子の元恋人):高見靖二(チャリT企画)
畠守男(「鍋や」のアルバイト):さいとう篤史

猪口志保(亘の恋人):佐伯佳奈杷
西川哲太(新人選手):高橋克己(おぼんろ)
目黒えみり(志保の同僚):大川翔子(劇団競泳水着)

米倉順司(医師):堀越涼(花組芝居)
森下紀子(病院の受付):梅舟惟永(ろりえ)
小野寺和紀(患者の娘):百花亜希
関博(順司の同僚・医師):橋本恵一郎

休日は、いつもの平日があるから、待ち遠しい。

東京近郊のとある県。
その郊外に位置する中くらいの町。
町で暮らす長女、東京から突然戻ってきた弟、自信を失った医者。
そして、新設された「県民の休日」に起きた交通事故。
それぞれの想いが、事故によって大きく揺れ動く-。

劇団競泳水着、正式劇団化第一弾は
「トレンディードラマ」の新境地を目指す新感覚群像劇。

映像的な複数視点と時間軸の交錯を用いて綴る、「それほど悪くはない」物語。
彩り豊かな客演陣を迎え、初夏の池袋にていよいよ開幕。(公式HPより)


トレンディードラマと呼ばれるこの劇団の芝居を、恐る恐る観に行ったのは前作の「プリンに乾杯」。テレビのトレンディードラマは、どちらかというとあまり得意ではなかったのだけれど、観終わってから、食わず嫌いをせず観に来てよかったなぁ~と、そのとき思った。

今回の公式HPなどに書かれた内容にもあるように、「映像的な複数視点と時間軸の交錯」により、積み重ねられるたくさんの場面。ときに過去にさかのぼり、ときに未来を先取りし、それらがしだいにパズルのようにぴたりと組み合わされて、現れてくる物語。

そういう手法は、「プリンに乾杯」と同様だったのだけれど、今度の作品では、物語の中心にひとつの家族を置くことで、物語の奥に彼らのバックボーンが、しっかりと立ち上がってきたように思える。

長女と次女、そして末っ子長男である弟。兄弟ケンカの場面や大事な日を前に励ます様子など、次女のこのみと弟の亘の関係が、観ていて特に身につまされた。たぶん、自分にも弟がいたからだろう……。ああいう感じ、わかるなぁ。

意味ありげな長女久美子の過去。元彼というより幼なじみのような生馬との微妙な関係。中学時代、久美子に憧れていた医師 米倉は、あるきっかけで仕事にも人間関係にも自信を失っていて……。

米倉が久美子への憧れを語る場面は、本当におかしくて、笑いながらも、どこか甘酸っぱい共感を感じさせる。そういえば、米倉と同僚 関のやり取りは、どの場面もみんな好きだ。

亘の挫折と恋人である志保との思いは、爽やかな若さを感じさせてキュンとなる。亘を演じる柿喰う客の玉置さんが、初々しい若さを演じて新鮮だった。そういえば柿のときは、なんとなく人間離れした感じで年齢などをあまり感じさせない役が多かったかも。

うどん屋のアルバイトをしてるしっかり者の高校生とか、志保に思いを寄せる熱血青年とか、クロスワードパズル好きの志保の同僚とか、どうやら関医師とつきあってるらしい病院の受付嬢とか、米倉が担当していた患者の娘とか、多彩な人物たちが活き活きと活躍し、それぞれの人生が交差し、すれ違い、重なっていく。

彼らの交わす会話が、洒落ていて、しかも自然なので、聴いていて心地よかった。会話の周辺のタイミングとかね。久美子と生馬がいい雰囲気になりかけたところで、このみが入ってきた場面とか、なんかもういいんだよね。

全体を通して感じたのは、作・演出の上野氏の、すべての登場人物に対する目線の温かさだった。だからこそ、観終わった後、優しい気持ちになれるのだと思う。
[PR]
by kiki_002 | 2009-05-23 23:41 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
再びDULL-COLORED POP#7.7『SHORT7』を観る
平成21年5月5日13:00~(Bプログラム)、16:00~(Aプログラム)、19:00~(Bプログラム)、Pit北/区域にて。

作・演出/谷賢一(DULL-COLORED POP)

出演/
清水那保、堀奈津美(以上DULL-COLORED POP)、
岡田あがさ、桑島亜希、小林タクシー(ZOKKY)、
境宏子(リュカ.)、佐々木なふみ(東京ネジ)、佐野功、
千葉淳(東京タンバリン)、田中のり子(reset-N)、
ハマカワフミエ(国道五十八号戦線)、堀川炎(世田谷シルク)、
堀越涼(花組芝居)、和知龍範

作曲・演奏・音楽監修(「エリクシールの味わい」)/伊藤靖浩


先日に続いて、また王子で『ショート7』を観てきた。しかも今度は、ガッツリ3公演。

Bプログラムの最初の演目は「息をひそめて」。冒頭の佐野功さんの独白ももちろんだけど、女同士の会話がいかにも自然で好き。ラストでは、この後どうなるのか、ついつい考えてしまう。個人的には、きっといろいろなものを抱えながら、一緒にやっていくんじゃないかという気はするんだけど……。「分かち合うばかりが愛じゃない」というフレーズが心に残る。

「エリクシールの味わい」は、やはりある意味傑作といえるだろう。人によって好き嫌いがあるかとも思ったけれど、意外とそうでもないのかも。岡田あがささんの無垢な美しさは得難いものだけれど、対する小林タクシーさんの印象が実はそれ以上に大きいように思えた。コミカルな中に真摯さを感じさせて、荒唐無稽な設定にも説得力を感じさせる。この役を別な方が演じたら、作品のイメージはまったく違ったものになってしまうかもしれない。

音楽を担当された伊藤靖浩さん。演奏も歌もよかったし、ときどき芝居にも加わるときの雰囲気も味があってよかった。オリジナルの曲がまたよく出来ていて、思わず口ずさみそうになるのだけれど、あの歌詞を人前で歌わないよう、気をつけないと。

「藪の中」については、まず前回書いた文章で訂正しなくてはならないことがある。観た後に原作を読み返してみたら、ずいぶんこの芝居とは違っていることに気がついた。

たとえば、前半の4人の証言者の部分。原作では淡々と進められていたけれど、芝居ではそれぞれの人物や状況がより具体的になり、そのために証言の中に嘘や主観が含まれているのが観客にも感じられる。「人間でございますから……」という旅の僧の言葉に思わずうなずいてしまう。

あるいは、たとえば、芝居を観たときの、あるいは耳で聴いたときのわかりやすさを重視していること。そのために、語彙や言い回しから時代ものの雰囲気が薄れてしまうきらいはあるが、作り手の優先順位からすれば、仕方ないことなのだろう。

海千山千の盗賊が証言した後、若い女性の証言に変わった瞬間、その声と所作の変化に思わず感動した。堀越涼さん以外に、誰がこんなふうに演じることができるだろう?

Aプログラムの「ソヴァージュばあさん」。3人の若者の個性の描き分け。言葉が通じない同士の交流。暖かな雰囲気から一転して起こる悲劇。いや最初から、悲劇の雰囲気は重低音のようにずっとこの芝居を震わせていただろうか。独白と会話で構成されたこの芝居を観て、映像での表現を想像してみたり。

「Bloody Sauce Sandwitch」。屈折した少女のシュールな現実。日常に紛れ込む悪夢。悪夢となった日常が繰り返されていく……。絵的なインパクトは確かにあったけれど、出血の扱いはやや不自然に思えてしまった。ああいうとき、下着や服が汚れるのが気にならないはずはないと思うんだけど。

ヒロインを演じるハマカワフミエさんの少女らしい雰囲気とやや肉感的な脚線美が、エキセントリックな物語をどこか甘美なものに感じさせている気がした。

「15分しかないの」のヒロイン、堀奈津美さん。意志的で潔い雰囲気の美貌。この作品でも「息をひそめて」でも、恋や仕事に悩む等身大の女性を描いて、同じ女性の目から見ても好感が持てた。

「アムカと長い鳥」では、鳥や赤ん坊の泣き声を機械的な音で表す演出が、主人公の不安定さとよく呼応して秀逸。赤ん坊についてのちょっとした疑問。学生時代に出来ちゃった結婚した主人公が、いま24歳。そうすると、子どもが2歳や3歳にはなってるんじゃ……?その年齢なら、もう赤ん坊というより幼児という感じで、充分会話が成立すると思うんだけど。あるいはすでに彼女の手元に子どもはいないのか?などといろいろ考えてしまった。

どの作品も、やや饒舌過ぎるほどの言葉の奔流を、熱意と力のある役者がしっかりと支えている。エンターテイメントとしても表現としても、いろいろなチャレンジが感じられて、ずっしりとした満足感が得られる内容だった。

あ、そうそう、「キャバクラードポップ」と題されたアフタートークもなかなか楽しかった。谷賢一さんとゲストのreset-Nの夏井孝裕さんのトークは、芝居を書く上での方法論といった内容。キャバクラという設定の芝居仕立てなので、そこに女優ちゃんたちがなんとなく絡んできたり。夏井氏がフランスで過ごした際の話なども印象的だった。ただしこの日の公演についてはまったく語らず。いや、それはそれでアリだと思うけどね。キャバクラ仕立てにしたことで、微妙なまったり感が出て、芸術論的な話題が気楽に聴けたし。
[PR]
by kiki_002 | 2009-05-06 14:33 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
DULL-COLORED POP#7.7『SHORT7』
平成21年5月2日13:00~(Aプログラム)、16:00~(Bプログラム)、Pit北/区域にて。

短編の、グランバザール開催。
7本もやる、7本もある。──次の次くらいの岸田國士戯曲賞世代と目される20代若手劇団の中で、とりわけ注目を集めているDULL-COLORED POPが、過去3年間に企画公演やライブハウスイベント・外部への脚本提供でこっそり発表した幻の短編7本を一挙公開。短編ならではの冒険心・3年分のラインナップで、小劇場の伊達役者たちをデコレートしちゃうぞ。F**k。(特設HPより)

作・演出/谷賢一(DULL-COLORED POP)

出演/
清水那保、堀奈津美(以上DULL-COLORED POP)、
岡田あがさ、桑島亜希、小林タクシー(ZOKKY)、
境宏子(リュカ.)、佐々木なふみ(東京ネジ)、佐野功、
千葉淳(東京タンバリン)、田中のり子(reset-N)、
ハマカワフミエ(国道五十八号戦線)、堀川炎(世田谷シルク)、
堀越涼(花組芝居)、和知龍範


AプログラムとBプログラムを続けて観てきた。いや~、短編とはいえ7本観るとけっこう疲れたかも。

本を読むときでも、長編の小説より短編集の方がちょっと時間がかかる。作品が変わるごとに、登場人物や設定、世界観などがわかるまで、ペースがつかめないから。

で、まずは13:00~のAプログラム。

最初の作品は「ソヴァージュばあさん」。3人の若いプロシア兵を家に住まわせることになったソヴァージュばあさん。兵士たちと彼女はしだいに心を通わせていくのだけれど……。母であることの強さと悲しさ。ヒロインを演じた堀川炎さん。小柄で可愛らしい彼女が、もう若くない無骨で無愛想なヒロインを見事に演じていた。特に終盤の嘆きとその後のラストには胸が痛む。

不条理劇と銘打たれた「Bloody Sauce Sandwitch」。う~~ん、不条理っていうより……なんだろ?けっこうこんなふうに現実を認識していることもあったりしそうで、それがかえってヤバい気がした。佐々木なふみさん演じる姉が、倒れたまま平然としゃべり続けるところが特に怖かったなぁ。

「15分しかないの」は多忙なOLの心の動きを、三人一役で描く。うん、わかるってとこもあり、三人の重なる言葉が、ときにズレていく感じが気持ちいい。

「アムカと長い鳥」。若い主婦の入浴シーン。裸じゃないけど色っぽい衣装。独白と携帯電話での会話による一人芝居。これはねぇ……。なんだかヒロインに共感できなくて、イライラした。いや、もしかするとこれは、ヒロインの苛立ちにあてられたのかも。息が詰まるような閉塞感を感じさせる熱演。

Bプログラムは3本。

「息をひそめて」は、舞台上に四畳半の部屋が現れる。同棲中の彼女の浮気を疑い、床下に隠れる男。いやけっこう面白かった。佐野功さん演じる男の真剣なのにどこかとぼけた雰囲気がいい。長くつきあううちに少しずつすれ違って行く心。コミカルなようで、ちょっと重い雰囲気のラストがけっこうリアル。

問題作(?)の「エリクシールの味わい」。7本中、唯一の新作で、かつ一番の大作。飲尿ミュージカルって言われてもなぁ、とは思ったけれど、観終わったあとは、爽やかな後味。今回、美男美女揃いのキャストの中、さえないサラリーマンが不思議にはまる小林タクシーさんがいい味を出してた。岡田あがささんの演じる女の子の不思議な存在感とそのサラリーマンのやりとりに、思わず(これこそ純愛なのか……)と思ってしまうのが自分でも不思議。

そして「藪の中」。セットも音楽もなく出演者も堀越涼さん一人、しかもほとんど語り中心のこの芝居。前の芝居がにぎやかだっただけに、地味に観えてしまいそうなものだけれど、しだいに物語に観客を引き込むのは役者の力技だろう。「翻案と言っても八割方書き換えている」という作者の言葉とはうらはらに、原作のイメージや流れを活かした内容。この話はリドルストーリーだと思っていたけれど、こうして演じられると、それぞれの人物像が本で読むよりもはるかに明確に立ち上がって、保身や見栄や自己顕示欲などからくるささやかな嘘にも、すぐにそれと気がつく。

メインの3人を演じるときの迫力、なかでも多襄丸を演じたときの表情が印象に残る。したたかな悪党を、なんとも魅力的に演じていた。

バラエティ豊かな7本の短編だけれど、手法やテーマの差を越えて、どこかほろ苦い共通の世界観が感じられる気がしたのは、谷賢一さんの個性なのだろうか。初夏の陽射しの中、地下の劇場に現れた奇妙な空間。そのギャップがなんとなくシュールに感じられたりもして。
[PR]
by kiki_002 | 2009-05-03 08:20 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
  
だって、好きなんだもん!
by kiki
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30
ブログパーツ
検索