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扉座サテライト公演『LoveLoveLove14』
平成23年2月5日(土)14:00~、すみだスタジオパーク「倉」(そう)にて。

構成・演出/横内謙介×田島幸

指導/有馬自由×犬飼淳治×鈴木里沙×田中信也
星川もも代×柳瀬亮輔×若井田久美子
ラッキィ池田×彩木エリ

舞台監督/鈴木利典

出演/松本亮、松原海児、藤田勇人、高嶋綾香(以上サテライト2年) 
青木牧子、石井佑弥、石田依巳架、香西静香、佐瀬恭代、関根麻里 
野田翔太、比嘉奈津子、菱沼真美、古田彩乃
本間伸和、山縣章二、山際春香、吉村彩

研究生の恋愛実体験をもとに作り上げた珠玉の恋愛オムニバス

あの瞬間、確かにあったストレートでがむしゃらな想いを全身全霊で描く恋愛オムニバス!
スカイツリーのふもと すみだパークスタジオ から
扉座サテライト14thデビュー!!(劇団扉座公式HPより)


観終わって駅に戻る道すがら、気持ちが昂ぶって微かに身体が震えているのに気がついた。

彼らの熱い思い、確かに受け取りました。

……いきなり帰り道の話でゴメンなさい。でもまずはここから始めたかったのです。

話は戻って。

錦糸町の駅に降り、途中で腹ごしらえをして会場に着く。まだ開演まで30分以上あるのに、すでに客席はずいぶん埋まっている。

受付も会場内で動き回るスタッフも、ほとんどが見覚えのある扉座の劇団員さんや関係者。これはさぁ、扉座ファンとしては楽しいよねぇ、と思いつつ、席を探す。

平らなステージを囲んで、三方に客席。たぶん150席くらいありそうだ。正面はすでに半分くらい埋まっていて、その中で見やすそうな席を探して座る。しかし、まだあまり人のいないステージ横の席が気になって、開演15分くらい前に移動。

下手側の最前列端の席に座ると、客入れの指示をしていた扉座の田中さんが、「上演中、その横の階段を役者が通りますので、お荷物等は椅子の下にお願いします」とのこと。おお!そうですか、それは楽しみ、と思い、荷物や上着を邪魔にならないよう慎重にしまう。

席はほぼ埋まり、追加でいくらか椅子を出したりするうちに、いよいよ開演。

この『LoveLoveLove14』は、扉座研究生が自らの体験を基に脚本を書き稽古した約80本もの短編から選ばれた数本の作品と、横内氏作やその他の作家の短編、歌やダンスなどを組み合わせ、「ロミオとジュリエット」を軸に構成した恋愛オムニバス。

まずは、ロミオとジュリエットの出会いの場面から、全員でのタップダンスで幕が上がる。

舞台となるスペースのすぐ横で観ていたため、彼らの踏むタップのステップがそのまま椅子を振るわせて、心地よくその響きに浸る。

合コンでの男女の本音や高校の卒業式での少女たちの思い、ややコミカルな女子会の顛末やかぶき仕立ての失恋劇など、さまざまな愛の物語が続く。

扉座の研究生となるために上京したときの大切な人たちとの別れ。両親が出会ったときの思い出や部活と恋との両立に迷う少女。

特に、女の子たちの恋心を等身大に描いた「会いたかった!」や「RUN」などの切なさが、ストレートにこちらの胸に沁みてきた。

また、夢のために旅立つ少女とその父との互いを思う気持ちを描いた「上京」で思わず涙ぐんだ。お父さんがパソコンで扉座について調べている場面などは、セリフで説明がなくても、娘を心配する気持ちと彼女の夢を認めたいという思いがとてもよく伝わってきた。

ダンスや歌では、想いの熱さがストレートに伝わってくる分、芝居以上に涙腺を刺激された。特に「Tonight」のダンスのカッコよさと、「Seasons of Love」を歌う彼らの涙が印象に残った。

横内氏提供作品の「カウントダウン」は、年末年始のテレビ特番に携わる若いスタッフとその彼氏や、さまざまな場所でそれぞれの思いを抱いて新しい年を迎える人々の営みが、切実に愛しく綴られていた。

遠距離恋愛のカップルが、バスのトラブル等で離れたまま年越しの瞬間を迎え、携帯もつながらなくなったとき、彼女の名を叫ぶ彼氏の声の誠実さが切なかった。

最後の「スクラム」は、芝居ではない。研究生が1人ずつ自分の最大級の愛の言葉を叫んで先輩にぶつかっていく。ストレートにこちらに伝わるその思いの熱さに、また思わず涙腺が緩んだ。

このまま夜の公演も観て帰ろうか、と思うほど感動して、チケットについて聞いてみると、当日券は出るとは思うけれど、とりあえず一杯なのでハッキリしない、立ち見になるかもしれない、とのこと。迷いながら、今回はこの感動を抱えたまま、帰ることにした。

正直に言えば、セリフの聞き取りにくいところもあった。歌で声が嗄れてしまっていたり、ダンスだってきっとすごく上手いとはいえないかもしれない。

身近な題材ではそれなりに説得力を感じさせるのに比べ、シェイクスピアのセリフやシチュエーションなどはまだしっくりくるとは言えない気がした。

けれど、そういう細かいことよりも、いま、ここでしか観られない、大切な何かを見せてもらったように思う。

身体が震えるほど気持ちが昂ぶるような芝居を、いったいどれだけ観ることができるだろう?観に行ってよかった。来年もきっと来よう。そんなふうに思いながら家路についた。
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by kiki_002 | 2011-02-05 23:58 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
2010年観劇リストなど
去年のうちにまとめられず、ようやくとりあえずアップ。
ブログをサボった罰が当たって、日時会場等の詳細が手帳だけではわからず、チケットの半券やネットで確認しつつ書いてはみたものの、いろいろ抜けてたり、間違ってたりしそうな気がします。(後でこっそり直すかもしれませんが、ご容赦を)

観劇数は昨年より少し減って、回数にして92回(去年は94回)。リピートをのぞく公演数は67本(去年は68本)。例によって、バージョン違いやダブルキャストのものは、別カウントで。

一昨年の扉座との衝撃的な(?)出会いの余波を受け、横内謙介氏関連作品が激増。
前半の「ドリル魂 YOKOHAMAガチンコ編」(1~3月くらいのこのブログを見ると、まさにドリ魂まつり)から、後半は、横内氏作・演出のわらび座ミュージカル「アトム」にハマって、各方面への遠征も含め計8回観に行っただけでなく、関連イベントへも参加するなどの傾倒ぶり。

また、あまうめやZOKKY、プロジェクト文学などの企画モノも収穫が多く、若い演劇人の才能や勢いを充分楽しませてもらった。

我が最愛の劇団 しゅうくりー夢は創立25周年を迎え、その記念企画として、多彩な客演を招いての冬公演や、ファンにはうれしい名物キャラ競演の夏公演など盛りだくさん。新たな試みや外部作品への参加なども含め、いろいろ楽しませてもらった。

印象に残ったそれぞれの作品については、また別にもう少し詳しく書く予定。
とりあえず昨年観た芝居の簡単なリストは次のとおり。

☆1月
1月4日(月)13:30~「シャーマンビジネスマン乱童 RAN-DOH~Voice in City~」@青山劇場
1月16日(土)13:00~能楽現在形 劇場版@世田谷「半能 高砂 八段之舞」「能 邯鄲」@世田谷パブリックシアター
1月16日(土)18:00~世田谷シルク「美しいヒポリタ」@小劇場 楽園
1月17日(日)13:00~PEOPLE PURPLE「ORANGE」@吉祥寺・前進座劇場
1月17日(日)18:00~世田谷シルク「美しいヒポリタ」@小劇場 楽園
1月30日(土)14:00~しゅうくりー夢Vol.48「異説 卒塔婆丸綺談」@恵比寿・エコー劇場
1月30日(土)18:00~しゅうくりー夢Vol.48「異説 卒塔婆丸綺談」@恵比寿・エコー劇場

☆2月
2月3日(水)14:00~しゅうくりー夢Vol.48「異説 卒塔婆丸綺談」@恵比寿・エコー劇場
2月5日(金)18:30~「狂言 万作の会」@栃木県総合文化センターメインホール
2月6日(土)14:00~しゅうくりー夢Vol.48「異説 卒塔婆丸綺談」@恵比寿・エコー劇場
2月6日(土)18:00~しゅうくりー夢Vol.48「異説 卒塔婆丸綺談」@恵比寿・エコー劇場
2月7日(日)18:00~しゅうくりー夢Vol.48「異説 卒塔婆丸綺談」@恵比寿・エコー劇場
2月13日(土)19:00~野良犬弾第5回公演「パンクな奴らは蕎麦を打つ!」@新宿シアター・ミラクル
2月20日(土)14:30~競泳水着第12回公演「そして彼女はいなくなった」@サンモールスタジオ
2月20日(土)18:00~dashプロデュース「かげぜん」@あうるすぽっと
2月26日(金)18:30~扉座「ドリル魂 YOKOHAMAガチンコ編」@神奈川県立青少年センターホール
2月27日(土)13:00~扉座「ドリル魂 YOKOHAMAガチンコ編」@神奈川県立青少年センターホール
2月27日(土)18:00~扉座「ドリル魂 YOKOHAMAガチンコ編」@神奈川県立青少年センターホール
2月28日(日)14:00~扉座「ドリル魂 YOKOHAMAガチンコ編」@神奈川県立青少年センターホール

☆3月
3月6日(土)18:00~project☆&p2「汝、知り初めし逢魔が刻に…」@笹塚ファクトリー
3月13日(土)19:00~調布市せんがわ劇場アンサンブル第8回公演「新羅生門」@調布市せんがわ劇場
3月20日(土)14:00~「マクベス」@世田谷パブリックシアター
3月27日(土)13:00~「象」@新国立劇場小劇場

☆4月
4月11日(日)13:00~世田谷シルク公演「春の海」@シアター711
4月11日(日)17:00~世田谷シルク公演「春の海」@シアター711
4月24日(土)14:00~DMF B-side「SLeeVe~スリーヴ」@アトリエフォンティーヌ
4月24日(土)19:00~劇団ZAPPA第15回公演「鬼 ONI」碧組@東京芸術劇場小ホール1

☆5月
5月3日(月・祝)14:00~パラノイア・エイジ「彷徨う翼~朝日に匂う山桜花~」@下北沢「劇」小劇場
5月3日(月・祝)19:00~劇団ZAPPA第15回公演「鬼 ONI」紅組@東京芸術劇場小ホール1
5月8日(土)17:00~ドラマティック・レビュー「うたかたのオペラ」@日本青年館大ホール
5月22日(土)19:00~扉座第45回公演 扉座人情噺「神崎与五郎 東下り」@座・高円寺
5月23日(日)19:00~柿喰う客第16回公演「露出狂」@王子小劇場
5月30日(日)14:00~花組ヌーベル第3回公演「ハイ・ライフ」竜組@ザ・スズナリ
5月30日(日)19:00~花組ヌーベル第3回公演「ハイ・ライフ」虎組@ザ・スズナリ

☆6月
6月5日(土)19:30~劇団虎のこ公演「北村メーカー」@渋谷Gallery LE DECO 5F
6月12日(土)13:00~T.K.JUMP「ドレッサー」@吉祥寺シアター
6月12日(土)19:00~水木英昭プロデュースvol.10「眠れぬ夜の1×8レクイエム」@紀伊國屋ホール
6月13日(日)16:00~プロジェクトあまうめ「よせあつめフェスタ」@新宿シアターミラクル
6月19日(土)14:00~わらび座ミュージカル「アトム」@新宿文化センター
6月19日(土)20:00~柿喰う客アンコール凱旋公演「The Heavy User/ヘビー・ユーザー」@シアターグリーン特設会場「仙行寺」本堂

☆7月
7月4日(日)19:00~シアターコクーン・オン・レパートリー2010「ファウストの悲劇」@Bunkamuraシアターコクーン
7月10日(土)15:00~わらび座ミュージカル「アトム」@東松山市民文化センター
7月10日(土)19:00~シアターコクーン・オン・レパートリー2010「ファウストの悲劇」@Bunkamuraシアターコクーン
7月17日(土)14:00~シアターコクーン・オン・レパートリー2010「ファウストの悲劇」@Bunkamuraシアターコクーン
7月17日(土)19:00~柿喰う客国際演劇交流プロジェクト2010「Wannabe」@アトリエ春風舎
7月19日(月・祝)19:00~椿版「天保十二年のシェイクスピア」@新宿花園神社境内特設ステージ
7月24日(土)14:00~しゅうくりー夢Vol.49「女探偵vs怪奇探偵~Case File:鬼~」中野・ザ・ポケット
7月24日(土)19:00~「ノータリンベイビーズ ノーリターン」@乃木坂コレド
7月25日(日)14:00~しゅうくりー夢Vol.49「女探偵vs怪奇探偵~Case File:鬼~」中野・ザ・ポケット
7月25日(日)18:00~しゅうくりー夢Vol.49「女探偵vs怪奇探偵~Case File:鬼~」中野・ザ・ポケット
7月26日(月)14:00~しゅうくりー夢Vol.49「女探偵vs怪奇探偵~Case File:鬼~」中野・ザ・ポケット
7月31日(土)14:00~B・L・T第1回公演「Shaggy Dog Story」@武蔵野芸能劇場小劇場
7月31日(土)19:00~「engin版 品川心中」@品川六行会ホール

☆8月
8月3日(火)19:00~「engin版 品川心中」@品川六行会ホール
8月7日(土)19:00~劇団M.O.Pファイナル公演「さらば八月のうた」@新宿紀伊国屋ホール
8月8日(日)17:00~劇団め組「新・明治任侠伝」@吉祥寺シアター
8月12日(木)14:30~演劇ユニット経済とH第9回公演「お月様の笑顔」@中野・ザ・ポケット
8月12日(木)19:00~「広島に原爆を落とす日」@Bunkamuraシアターコクーン
8月21日(土)12:30~彩の国ファミリーシアター 音楽劇「ガラスの仮面~2人のヘレン~」@彩の国さいたま芸術劇場
8月21日(土)19:30~劇団銅鑼「二重の不実」@銅鑼アトリエ
8月27日(金)19:00~わらび座ミュージカル「アトム」@東京エレクトロンホール宮城
8月28日(土)15:00~キリンバズウカ東京第三回公演「ログログ」

☆9月
9月12日(日)12:00~「イリアス」@ル テアトル銀座
9月18日(土)11:00~「平成22年度閑能会別会」@観世能楽堂
9月15日(水)20:30頃~「ZOKKYの のぞき部屋演劇祭2010」@王子小劇場
(劇団スクール水着「NOT BACK 堀 PLAY」・失禁蝶々「日本にトイレがなくなる日」・KIKKY)
9月19日(日)14:00~Attic Theater「悪魔のセバスチャンといきおくれた花嫁」@中野・テアトル BONBON
9月19日(日)18:00~劇団虎のこ「悪魔のセバスチャンと天才演出家」@中野・テアトル BONBON
9月25日(土)14:00~わらび座ミュージカル「アトム」@新潟県民会館大ホール

☆10月
10月6日(水)18:30~「セチュアンの善人」@栃木県総合文化センター大ホール
10月9日(土)14:00~「Project BUNGAKU 太宰治」@八幡山ワーサルシアター
10月9日(土)19:00~キャラメルボックス「シラノ・ド・ベルジュラック」@俳優座劇場
10月16日(土)17:00~演劇企画集団THE・ガジラ~1st satellite~「寒花」@SPACE雑遊
10月30日(土)14:00~「山神様のおくりもの」@わらび劇場
10月31日(日)17::00~わらび座ミュージカル「アトム」@佐倉市民音楽ホール

☆11月
11月3日(水・祝)12:00~「取り立てやお春」@明治座
11月3日(水・祝)19:00~第0楽章「あくびと風の威力」@渋谷space EDGE
11月6日(土)18:00~花組芝居「花たち女たち」恋たち@全労済ホール/スペース・ゼロ
11月11日(木)19:00~花組芝居「花たち女たち」夢たち@全労済ホール/スペース・ゼロ
11月13日(土)15:00~わらび座ミュージカル「アトム」@海老名市文化会館
11月14日(日)19:00~花組芝居「花たち女たち」恋たち@全労済ホール/スペース・ゼロ
11月23日(火・祝)17:00~「取り立てやお春」@明治座
11月27日(土)19:00~現代能楽集Ⅴ「春独丸」「俊寛さん」「愛の鼓動」@シアタートラム
11月28日(日)14:00~扉座第46回公演「新浄瑠璃 朝右衛門」@厚木市文化会館小ホール

☆12月
12月5日(日)14:00~扉座第46回公演「新浄瑠璃 朝右衛門」@新宿紀伊国屋ホール
12月12日(日)15:00~わらび座ミュージカル「アトム」@小山市立文化センター大ホール
12月18日(土)13:00~ソン×クロPresents舞台版「心霊探偵八雲 魂をつなぐもの」@紀伊国屋サザンホール
12月18日(土)19:00~「究極!アニメ店長 DECADE」@天王洲銀河劇場
12月22日(水)19:30~ろりえ第5回公演「女優(おんなやさしい)」@シアターグリーンBOX in BOX
12月23日(木・祝)15:00~わらび座ミュージカル「アトム」@東大和市民会館ハミングホール大ホール
12月23日(木・祝)20:00~「Rain men in Noël-雨男たちのクリスマス-」@アトリエフォンテーヌ
12月25日(土)13:00~シアターコクーン・オン・レパートリー2010「黴菌」@Bunkamuraシアターコクーン
12月26日(日)13:00~さいたまネクスト・シアター「美しきものの伝説」@彩の国さいたま芸術劇場インサイド・シアター
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by kiki_002 | 2011-01-02 21:11 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
扉座第46回公演『新浄瑠璃 朝右衛門』
平成22年11月28日(日)14:00~、厚木市文化会館 小ホールにて。

原作/小池一夫
作画/小島剛夕
作・演出/横内謙介
浄瑠璃作曲/竹本葵太夫

岡森諦、中原三千代、有馬自由、犬飼淳治 
高橋麻理、鈴木利典、岩本達郎、上原健太 
鈴木里沙、高木トモユキ、川西佑佳、安達雄二 
江原由夏、上土井敦、新原武、串間保彦 
栗原奈美、藤本貴行、鈴木崇乃、江花実里、吉田有希

扉座研究所研修生
オーディションで選ばれた市民(厚木公演のみ)

-あらすじ-

「アレも人生、コレも人生」

貧乏職人でつまらぬ一生を送るより、盗み殺しでもやらかして、面白おかしく生きようと決心した、若い奉公人が雨の夜、荒寺で雨宿りするひとりの老婆を刀で強請った。

だが老婆は怖がりもせず言う。

「土壇場に座る覚悟は出来てるのかい?」

そして罪人が、首斬り役人・朝右衛門の手でいかに斬首されるか、こと細かに話して聞かせるのだった。

さすがに不気味になった、奉公人は怯んで喚いた。

「テメエ、見たのかよ!」

「何度も見たよ……アタシは、そこで落とされた罪人の首を洗っていたのさ……」

老婆は、朝右衛門の物語を語り始める。
(劇団公式HPより)

いやあ~~、とにかく圧倒されました。

この劇団のポテンシャルに、いまさらながら感動させられた。ベテラン・中堅・若手から研究生、特別参加の市民の皆さんまで一体になったあの迫力。

物語はもちろんよかった。なにしろ、横内さんの作品だもの。ひとつひとつのエピソードを有機的に組み合わせて、大きな流れに収束していくその巧さ。キャラクターの描き方や言葉の選び方。観ていて引き込また。

でも、舞台の醍醐味は、なんて言っても生身の人間がそこにいること。この舞台では、何よりそれを充分に堪能することができた気がする。

死と向き合う場所で描かれる、様々な人間の生。泣き叫び、笑い、語り、それぞれの人生が鮮やかに浮かび上がる。

セットや小道具、衣装・メイク、音楽、照明、それぞれに見応えがあった。商業演劇の豪華さとも違う、手作り感満載ながら、よく考えられ、工夫されて、芝居を引き立てていた。

そして、竹本葵太夫さんの浄瑠璃が、物語をひとつ別の次元へと引き上げていた。古典芸能とも違う、けれど、ストレートプレイともどこか違う、不思議に普遍的な物語となっていた。

人の命。人と人のつながり。そういうことについてしみじみ考えたくなるような舞台だった。

印象に残った場面もセリフも、挙げていけばキリがないけれど、ひとつだけ挙げれば。この2時間5分の舞台の最初に朝右衛門に手にかけられる罪人が、死後に巡り会うために、最後に誰かの顔を思い浮かべようとするエピソード。

人との縁が薄く、不幸な人生を送ってきた男が、最後にすがる人のぬくもり。上土井さん演じる死刑囚の朴訥な雰囲気がとても沁みた。

タイトルロールを演じた岡森さんの静謐な佇まいや、有馬さんの演じる役人の律儀で誠実な様子、牢屋の下働きの犬飼さん・岩本さん・鈴木さんのトリオの安定感などと共に、若手の皆さんの迫力ある演技に、劇団の層の厚さを感じた。

おのぶの現在と過去の姿を2人で演じた中原さんと高橋さんは、もう言うまでもないインパクトで、この物語を動かしていった。

こういうものを苦労して創り上げて、ほんの数日で消えてしまう。舞台というのは本当に儚いものだ。でも、だからこそ愛しいのかもしれない。
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by kiki_002 | 2010-11-28 23:28 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
わらび座ミュージカル『アトム』
平成22年6月19日(土)14:00~、新宿文化センターにて。

原案/手塚 治虫
脚本・演出/横内 謙介
作曲/甲斐 正人
振付/ラッキィ池田、彩木 エリ

出演/
トキオ:良知 真次(東宝芸能)
マリア:五十嵐 可絵(東宝芸能)
スーラ:速水 けんたろう(ホワイト・キャンパス)

神楽坂町子:椿 千代
アズリ:(ダブルキャスト):三重野 葵、柳瀬 亮輔(フリー)
エミ:碓井 涼子
タケ:岩本 達郎(劇団扉座)
ダッタン:宮本 昌明
時計じいさん:岡村 雄三
チルチル/クロキ:千葉 真琴
シアン:森下 彰夫
ヨッツン:瀧田 和彦(フリー)
ウメ:小林 すず
チータン:神谷 あすみ
ヘレン:工藤 純子
ジュリー:山口 貴久子
ロップ:鳥潟 知沙
ベイリー:(ダブルキャスト) 柳瀬 亮輔(フリー)、三重野 葵
クロキの手下:上土井 敦(劇団扉座)、串間 保彦(劇団扉座)

20××年、十万馬力のロボット「アトム」の時代は終わり、
さらに進化したヒト型ロボットが、パワーを大きく制限され、
人間への絶対服従を強いられている時代。
路地裏の倉庫では、ロボットだけの秘密のパーティーが開かれていた。
元科学者・神楽坂町子の屋敷で働くトキオと、親友のアズリが創った歌は、
自由を持たないロボットたちに生きる喜びを生んでいた。
そこに人間の若者たちが紛れ込んでくる。
工場で働くタケとエミ、親に未来を決め付けられて苦しむマリア。
「私たちだってロボット!」
人間とロボットの叫びは心を結びつける。
やがてマリアとアズリに愛が芽生える。
しかし、それを許さない人間の力と暴力によって、アズリは殺される。

復讐を叫ぶロボット達に、元科学者のスーラが「殺人兵器として十万馬力のアトムを甦らせるのだよ」と煽る。
アトムを密かに預かっていた神楽坂町子は、「暴力で何かを解決した事があったか」と、トキオを諭す。

そして、トキオに隠された秘密が明かされる。
アトムは甦るのか―、トキオの決断は―。
(公式HPより)

あの国民的アニメをミュージカルで……と聞いて、いったいどんな舞台になるんだろうと正直やや不安に思っていたが、結論から言えば、本当に素敵な作品となっていた。

誰もが知っている『鉄腕アトム』を、愛と勇気の象徴として、ウエストサイドストーリーのような対立と愛の物語を歌とダンスで綴っていく。

横内謙介氏のハートウォーミングなストーリーとラッキィ池田氏による楽しくて力強いダンス、甲斐正人氏の親しみやすく美しい楽曲、そして役者陣の安定感のある演技や歌によって、シンプルなテーマが胸に迫るミュージカルとなっていたと思う。

特に印象に残ったのは、主人公トキオの親友であるアズリを演じた三重野葵さんだ。

明るいトキオとは対照的に、控えめな優しさの中に芯の強さを感じさせるアズリ。彼には夢があった。しかしそれは、決して叶うことのない夢。アズリの静かな口調から滲み出る憧れの強さと、その夢が決して叶わないのだという絶望とを感じさせる演技。

そんな彼が、1人の人間の女性と愛し合ったことで、無残にも叩き壊されてしまう。この場面の重さが、後半のロボットたちの行為に説得力を与えていく。

叩き壊すのは、工場から逃げ出してきた貧しい人間タケ。相手がロボットなら殺人って訳じゃないしな、そいうつぶやく彼も悪人ではなく、その時代の常識や偏見に縛られてしまう平凡で弱い人間なのだった。

この難しい役を、扉座から客演の岩本達郎さんが、程よい人間味と憎たらしさ、そして、絶妙な軽さで演じていた。

それから、御茶の水博士の最後の弟子である神楽坂博士を演じた椿千代さん!クールな雰囲気から、しだいにその熱い思いを感じさせる演技。そして、その歌声。この方の他の芝居も観てみたくなった。

主人公のトキオを演じた良知さんは、明るい前向きさを感じさせて爽やかだったし、アズリと恋に落ちる女性マリア役の五十嵐さんは、可愛らしさと共に強さを感じさせてくれた。

愛する人を失ったマリアが、ただ嘆くのではなく、アズリとの短い出会いから勇気を受け取って、前に進もうとする場面が泣けた。

また速水けんたろうさんが、ドクタースーラという悪役を演じていたのは意外だったけれど、企みも恨み言も大人の雰囲気で渋く演じてらした。

気負いもてらいもなく、まっすぐなメッセージを歌とダンスに乗せて表現する舞台。あまり舞台を観たことのない若い方たちも、いろいろと凝った仕掛けのある舞台を見慣れた大人も、きっと楽しむことのできる、そういう舞台だったように思う。

新宿と兵庫以外では三重野さんがトキオを演じているそうなので、どこか地方公演に駆けつけて、そのバージョンを拝見しようかな、といま目論んでいるところだ。
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by kiki_002 | 2010-06-27 22:16 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
雑食な土曜日
土曜日。

まずは、新宿文化センターで、わらび座のミュージカル「アトム」初日を拝見。

あの国民的ヒーロー(?)をどう舞台化するのかと思っていたが、『鉄腕アトム』をひとつの象徴として、ウエストサイドストーリーばりの対立と愛の物語を、歌とダンスで描いたミュージカルとなっていた。

横内謙介氏の力強く温かいストーリーとラッキィ池田氏による楽しくて力強いダンス、甲斐正人氏の親しみやすく美しい楽曲、そして役者陣の安定感のある演技や歌によって、シンプルなテーマが胸に迫る素敵な作品となっていたと思う。

扉座から客演した岩本さんが、平凡な人間の弱さや愚かさを絶妙な軽さで好演。アズリを演じた三重野葵さんと神楽坂役の椿千代さんの静かな中に強さを感じさせる演技と圧倒的な歌唱力が印象に残った。

それから、浅草橋へ移動し、宮西計三氏の個展“「見世物小屋」或は「舞臺裏」”を拝見。

会場に入ると、微かに乾燥したバラの香り。 独特の美意識に裏打ちされた作品たち。 耽美……というにはややグロテスクな、異形の群れ。

そして、その一角に、宮西計三氏と薔薇絵さんのパフォーマンスを素材とした photo unit"エーテル"の舞台作品写真が展示されている。

それは、宮西氏の世界観を写しながら、氏とはまた異質な輝きを感じさせる作品群となっていた。

それから池袋。

友人と落ちあって、シアターグリーンの1階にできたイタリアンバールで軽く腹ごしらえ&おしゃべりをした後、
劇団「柿喰う客」のアンコール凱旋公演『The Heavy User』を、シアターグリーン特設会場「仙行寺」本堂にて。

2月に東京で上演した後、 フランスやイスタンブールでの上演を経ての凱旋公演とのことで、意味や物語を思い切って廃し、俳優の身体性や声をクローズアップした約50分の作品。

日本語のセリフはほとんどないけれど、動きのシャープさや間のよさ、そういうフィジカルなものを通して、『電話』を軸としたコミュニケーションの不全みたいなモノが伝わったりもして。


時間的にはさほどタイトではなかったものの、内容的には、1日に回るにはやや欲張りなラインナップ。

それぞれの世界観があまりにも違い過ぎて、帰りの電車の中で少し可笑しくなってしまった。
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by kiki_002 | 2010-06-20 23:49 | 日々のこと | Trackback | Comments(0)
扉座第45回公演 扉座人情噺『神崎与五郎 東下り』
平成22年5月22日(土)19:00~、座・高円寺にて。

作・演出/横内謙介

出演/
高塚旭(大衆演劇の役者。『おやまルンバ』で大ブレイク中):市川笑也(客演)
宇佐見(高塚の先輩役者だったが、いまは舞台と縁のない酔っ払い):六角精児
亀吉(高塚の劇団の役者。高塚や宇佐見より年上ながら、人が良くて子分気質):岡森諦
こまめ(高塚と同じ劇団のベテラン女優):中原三千代

由希子(居酒屋一力の女将の娘。入院中の女将に代わって店を切り盛り):高橋麻理
マサ(一力の常連。電気工事会社勤務。泣き上戸):犬飼淳治、 
山本(一力の常連。小さい鉄工所を経営。笑い上戸):鈴木利典、
姫子(一力の常連。家具屋の跡取り):鈴木里沙、
昇平(宇佐見のケンカ相手):新原武、
ネネ(昇平の彼女):江原由夏

アンサンブル:上土井敦、串間保彦、江花実里、吉田有希

赤穂の浪人、神崎与五郎は、大石内蔵助の内命を帯びて、京から江戸へ向かった。
やがてさしかかる箱根の山の、とある茶屋で休んでいるところに、
峠の馬方・丑五郎というならず者に言いがかりをつけられる。
しかし討ち入りという大事を前に、与五郎は我慢を重ねて恥辱を受けたまま去る。
後日、それが義士の一人であったと知った丑五郎は、深い後悔に泣き伏したのだった……。

……という講談や浪曲でお馴染みの忠臣蔵のエピソードを
“笑いと涙”満載で扉座新作人情芝居に仕立てておおくりいたします。
(公式HPより)


そんな訳で扉座と澤潟屋のコラボ。これはねぇ、もう観なくちゃ!って気になるでしょ?会場の座・高円寺もけっこう好き。でも、ここで笑也さんを観るとは思わなかったなぁ。

ここは、居酒屋一力。どうやら昨夜、常連の1人が店でケンカして、店内をグチャグチャにしちゃったらしい。それを徹夜で片付けた女将代理の由希子は機嫌が悪い。

集まり始めた常連も遠慮気味。そこへ昨夜暴れた張本人である宇佐見がやってくる。どうやら昨日のことはまったく覚えていないらしい。ますます機嫌が悪くなる由希子。

そこへ宇佐見を訪ねてきたのは、『おやまルンバ』で大ブレイク中した大衆演劇界のスーパースター高塚旭。自分の初座長公演に、かつての当たり役だった「神崎与五郎 東下り」の馬子役で出演して欲しいと、宇佐見に頼みに来たのだった。

かつて人気役者だった宇佐見は、女性関係のトラブルやギャンブルによる借金など数々の問題を起こして劇団を去り、いまはタクシーの運転手をして暮らしていた。しかし、舞台への思いは経ち難く、今回の高塚の申し出を聞いて天にも昇る気持ちになるが……。

「神崎与五郎 東下り」の稽古風景や一力でのやり取りなど、ベテランと中堅、若手が気持ちのいいチームワークで扉座らしい芝居を進めていく。

特に、笑也さんのチャーミングさはなんていっていいか!キリリとした女剣士や妖しいマクベス夫人など、これまで拝見した役柄とはまったく違って、今どきのオシャレな男性で、今は売れっ子だけれど、下積みの長さを感じさせる誠実さと不器用さを感じさせる役者 高塚旭を魅力的に演じている。

もうねぇ、なんていうか、お茶目な感じが満載で、楽しそうなんだよ~~~。きっとホントは苦労なさったことも多いだろうけど、でも!やっぱり楽しそうに見えるの。これはねぇ、いいもの見せてもらった~~と思います。

一力の常連を演じる扉座の中堅チーム。泣き上戸のマサと笑い上戸の社長、そこに突っ込みをいれる姫子の3人のコンビネーションがバッチリで、観ていて安心感があった。

宇佐見のケンカ相手 昇平と彼女のネネ。コミカルなんだけどけっこうキーになる役で、一力メンバーとの距離感の変化とか、宇佐見とのやり取りとか見せ場も多かった。

女将代理の由希子を演じた高橋麻理さん。キレイだし、スタイルいいし、いろいろと複雑な思いをややぶっきらぼうに、そして繊細に演じていて素敵だった。

ベテラン勢はもう言うまでもなくて、中原さんが言いにくいことを言う様子や、日頃親分肌に見える岡森さんの子分キャラなど、観ていて引き込まれた。

主役である六角精児さん。一力メンバーや昇平たちと、笑也さんと、中原さんと、岡森さんと、それぞれどのやり取りも味わい深かったが、特に高橋麻理さんとの会話が印象に残る。

劇中劇で演じられる「神崎与五郎 東下り」の見せ方も楽しくて、稽古場で演じられる前半はもちろん、ラスト近くに意外な形で演じられる後半部分は、不思議な充足感があった。

陳腐な言い方になってしまうけれど、笑いあり涙あり、思わずホロリとさせらる人情噺。観終わった後に残る少しほろ苦い温かさが、この劇団らしさのようにも感じられた。
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by kiki_002 | 2010-05-30 10:22 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
「神崎与五郎 東下り」と「露出狂」
土曜日。仕事でイベントがあり、朝6時半に家を出る。

予定では、お昼過ぎにイベントが終わり、片付けてから帰って来ても15時半くらいにはうちに着ける……と思っていたのだけれど。

ひとつ宿題が出てしまい、イベントの終わったあと現場から職場へ。一仕事片付けて、気がつくと時間はギリギリ。

この日は、友人と観劇の約束があったのだ。イベントが決まった時点で、その予定をキャンセルしなきゃならないかと思ったけれど、上記のとおり15時に帰れれば、ソワレには間に合う。しかし、実際には職場を出たのが既に15時過ぎ。そこから家まで1時間弱。間に合うかどうか、微妙なところだ。

……なんとか間に合った(ホッ)

19時の開演ギリギリに高円寺に着き、扉座の「神崎与五郎 東下り」を座・高円寺にて。

おかしくて、ややほろ苦い大人の人情噺。ベテランと中堅・若手のバランスがよく、安心して観ていられる感じ。 客演の市川笑也さん。スーツやジーンズでの現代劇が新鮮でした。

諸般の都合で、日曜も夕方になってから東京へ。王子小劇場で劇団柿喰う客の「露出狂」を。

相変わらずパワフルでハイテンションな柿テイスト。若い女性ばかりのキャストで、華やかな雰囲気な舞台。
その中でも、やっぱり劇団員のお3方がいいなぁ、と思った。猥雑も混沌も突き抜け、観終わった後、なぜか爽やかさが残った。

そんなこんなであわただしい週末。
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by kiki_002 | 2010-05-24 00:48 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
調布市せんがわ劇場アンサンブル第8回公演「新羅生門」
平成22年3月13日(土)19:00~、調布市せんがわ劇場にて。

作・演出/横内 謙介

出演/
山路勝昭(フリーター):橋本昭博
岡元信也(フリーター):鈴木太一

ゴロウ(鬼):野口裕樹

渡辺綱:渡邉晋
桃太郎:大窪人衛
犬:木谷圭嗣
猿:吉田 萃
雉:植草美帆
姫:工藤あさぎ
一寸法師:滝下毅
金太郎:柴田千絵里
浦島太郎・リュウ:古田龍
   ※
洗濯女:伴美奈子
   ※
飯島サエ(鬼の母親):新井 純


-あらすじ-
鬼VSおとぎ話のヒーローたち。
   彼らは滅びたのではなかったのか?
      熱いバトルが今よみがえる!

東京のど真ん中,取り壊されるのをひっそり待っている一軒の古い家。
ある夜,ここに二人の若者が老婆と共にやってきた。
一晩床下の穴掘りを手伝うだけで大金が!?
もうけ話に目がくらんだ二人は,怪しみながらもシャベルを手にする。
そんな彼らの目の前に,なんと本物の「鬼」と,「鬼たいじをするおとぎ話のヒーローたち」が現れた!
驚く間もなく,宿命の闘いに巻き込まれていく二人。

現実か,幻か。
そして,角もつ鬼は悪なのか。正義の味方は善なのか。

公募で集まったキャストと市民が結集、横内謙介氏を始めとするプロとのコラボレーションで創り上げます。
せんがわ劇場アンサンブルがお贈りする、本年度最後の公演。
(劇場HPより)


仙川と聞いて、地理オンチの自分はどの辺りなのかもピンと来なかったけれど、新宿から京王線で20分くらいだろうか、先週行った笹塚の少し先という感じ。

仙川駅に降りてみると、大都市というよりややこじんまりした街並み。しかし駅前は明るく、待ち合わせなどでたたずむ人も多くて、活気のある印象。

駅から4分と聞いた劇場へ向かって歩き出す。角をひとつ曲がると、意外にすぐ劇場が見えてきた。安藤忠雄氏の建築だそうで、なるほど、言われてみればコンクリー打ちっぱなしの外観が特徴的だった。

会場に入ってみると、舞台を挟んで前後に客席を配置してある。最前列かぶりつき希望のカブラー(笑)としてはやや不本意ながら、席は後ろから2列目。といっても6列目(!)なので、とても観やすい。客席は100くらいあっただろうか。

さて、あらすじにもあったとおり、2人のフリーターがある夜出会った不思議な出来事。

取り壊し直前の古い家で、床下を掘る男。その手伝いのために2人を雇った老婆。彼らの掘り出したモノ。そして現れたのは……。

う~~ん、まだ初日を迎えたばかりで公演は22日までだし、そりゃあ再演を重ねた名作だから内容をご存知の方も多いかもしれないけど、昨夜は自分自身ワクワクしながら舞台を観つめていたので、今日はできるだけネタバレは避けるようにしたいと思う。

荒唐無稽な展開と突拍子もない登場人物たち。そこにいまどきの青年2人が加わることで、観客に感情移入させながら、話は進んでいく。

誰が敵で誰が味方か。何が正義で、何が悪か。

シチュエーションの面白さプラス言葉遊びや時事ネタも含めて笑わせながら、2人の若者が目の前の出来事に心を動かされたり、感動したり、あるいは自分で考えようとしたりしていく様子に共鳴する。

二転三転する状況に、いや状況は変わらないのだが、それを観ている2人の思いや方向性が万華鏡を動かすように変わって行くにつれて、少しずつさまざまなことを思わせられたり。

無条件で「悪」とされた鬼の哀れさと、鬼を産んだ母の悲劇と、鬼退治を存在意義とするお伽噺のヒーローたちと。

ツノがあるというだけで、悪だとは言えない。しかし、そのツノが鬼を暴力へ導くこともあり。

理屈を離れてダンスと歌で盛り上げる場面もあり、そういえば、とても歌の上手いキャストがいて、聴いていて気持ちよかった。

新井純さん演じる鬼の母の圧倒的な悲劇性と、庶民代表のしたたかな洗濯女を余裕タップリに演じた伴さんの存在感。

2人のフリーター、ちょっとガキ大将風の岡元と繊細さと調子のよさを併せ持つ山路のコンビは、全編を通して観客と共にこの奇妙な物語を体験していく。

ちっとも強そうじゃないのに、威張った感じが可愛らしい桃太郎。その家来は、英語と歌の達者な犬とヨイショ上手な猿とセクシーな雉。

しとやかな所作に加えてアクションもある一寸法師の姫君と、登場場面はわずかながら雅な雰囲気でインパクトのあった長身の(笑)一寸法師。

天真爛漫で、どこか人懐こい子どもらしさを感じさせた金太郎。

鬼を知らない無垢な浦島太郎の爽やかな笑顔。

当日パンフのプロフィールで学生さんだと知って驚いた、貫禄十分の渡辺綱。

そして、飄々とした中にも異形の悲哀を感じさせる鬼のゴロウ。

横内氏の脚本らしく、笑いや涙やさまざまなメッセージを含みつつ、力が入りすぎないよう絶妙にハズす感じがいい。

初日とあって、その横内氏を始め扉座の方々を何人かお見かけした。そういえば、扉座で上演した際はどなたがどの役をやっていたのだろう…と気になってしまった。

それとも、たとえば今後扉座で上演するとしたら、どんな風になるだろう?そんなことを思いながら、帰路に着いた。
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by kiki_002 | 2010-03-14 12:49 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
Arts Fusion in KANAGAWA『ドリル魂-YOKOHAMAガチンコ編』
え~~っと(汗)。またこの話題?と言わないように。だって、まとまった感想はまだ書いてないし。

……えっ、じゃあ今まで書き散らしてたのは何だったの?と訊かれれば、告知……のつもり(爆)。いや、空回りしてて申し訳ない。

というわけで、改めてあらすじを含めた感想を。……これがまた馬鹿馬鹿しく長いンですが、ご容赦ください。

平成22年2月26日(金)~28日(日)、神奈川県青少年センターにて。

作・演出/横内謙介
音楽監督/長谷川雅大
振り付け/ラッキィ池田・彩木映利
エアリアル振付/若井田久美子

出演/
竹松:累央
ガン平:岩本達郎
エリ:小牧祥子
オヤジ・トシ・遠藤貞雄(建築家):鈴木利典
節子:鈴木里沙
ケンタ:上原健太
小梅:桧山宏子
トモ・男:高木トモユキ
ユウカ:川西佑佳
ユウジ・安全太郎:安達雄二
ペス:上土井敦
ニーヤン:新原武
ガストン:江原由夏
ナミ:栗原奈美
ゴリ:藤本貴行
クシ:串間保彦
タカノ:鈴木崇乃
イヌさん:犬飼淳治
柏田:中原三千代
シゲ爺:杉山良一

御手洗工事:森田成一
島崎:瀧田和彦
 
ハルカ:仲川遥香
ナツミ:平嶋夏海
アヤ:菊地あやか
ミサキ:岩佐美咲<AKB48>

轟組補助作業員:江花実里、吉田有希、藤田勇人、松原海児、松本亮(扉座サテライト)


客席とのやり取りも楽しい遊び心あふれる前説が終わると、サイレンとともにゲートが開いてノリのいい曲が始まる。つるはしを持ち、ニッカポッカで踊る、ドリル魂の象徴のようなこの曲は「HARD WORK」。

舞台上に組まれたイントレ。作業服姿の男女が所狭しと踊る。会場からは手拍子。一体感のノリはややライブ風。あっ、と思ったのは、DVDやCDで聴いたときより歌声に厚みがあったこと。最初の曲から轟組の進化が感じられて期待が高まる。

そして、物語が始まる。

ある街のコミュニティセンターを建設する工事現場。世界的に有名な建築家の設計によるこの現場で起こるさまざまな出来事やトラブル。

まず最初の事件は、深夜の工事現場で起きた4人組の女子高生によるオヤジ狩り。少女たちが壊した安全太郎の人形についてもめ、弁償すればいいんだろ、と毒づく少女たちに棟梁の竹松が言う。じゅあ、身体で払ってもらおう、明日からここで働くんだ、と。

そこへやってきた警官から『仲間だ』と言って少女たちをかばう轟組の面々。心を動かされ、そこで働く決心をす少女たちは、最初にかばってくれたイヌさんに、つらくても決して逃げ出さないと誓うのだった。

翌朝。元請のキムラ建設の担当 御手洗と竹松が言い争っている。度重なる設計変更に業を煮やした竹松が、あんただって困るだろう、と責める。しかし、その著名な建築家の作品を手がけることが夢だったのだと、気弱そうな御手洗が言うと、それを聞いた竹松が折れる。しかたない、今回だけだぞ、と。

そこへやってくる竹松の妹 小梅。鳶の仕事がしたいという彼女を竹松が、おとなしく伝票整理でもしていろ、と怒鳴りつける。けれど彼女の熱意に負け、彼女の願いを聞き入れる竹松なのだった。

こうしてみると竹松って、強面で怒鳴ってばかりいるけど、どう考えても人がいいよね。

そうこうしているうちにお昼時。「ランチタイム」は手作りのお弁当を食べる2人のデュエット。高いイントレの上で、睦ましげにタコさんウインナーやさつま揚げを食べる様子を歌う、可愛らしく面白い歌。表情豊かな節子とケンタのやりとりが見ていて微笑ましい。

イヌさんが弁当片手にやってくる。ご当地ネタでシュウマイ弁当について日替わりで話しつつ、前2列のメット席に向けて、メットやマスクの着用を何気なく(?)説明。

そして、昼休みだと言うのに、ドリルのレッスンを始めるのは、ドリルの達人ガン平とプロになりたいというエリだ。

そんな中、建築家の事務所から、抜き打ちで検査にやってきた島崎という男が彼らの仕事にクレームをつけていく。

繊細さが足りない、もっとプライドを持って仕事しろという言葉に、竹松が殴りかかる。それを止めようとする轟組の面々と乱闘になるが、誰も竹松を止められない。とうとうガン平と棟梁の1対1の戦いになるが、なぜかそこに飛び込んだのが御手洗だった。

大人しく気弱そうな態度だった御手洗が、思わず竹松を殴り、一瞬しまったという顔をしながら、結局は竹松やガン平を叩きのめすくらい強いことがわかる。しまいには鉄の棒を持って竹松と立ち回ることになるが、周囲が2人を押さえている間に寄ってたかって鉄の棒を溶接してしまったりと、ドタバタしながらも騒ぎが治まり、御手洗の熱意と腕っ節にみんなが一目置くようになる。

騒ぎの後、竹松とがん平が歌う「生傷アミーゴ」は、やや懐かしいアイドル風の曲調で、振付も楽しい。

ドリルを教えているエリへの思いを語るガン平と彼女の過去、そして、エリへの告白。しかし、彼女はガン平の思いに応えられない。そこに現れる男。借金があることや自分の愚かしい過去を語るエリ。そこで彼女の借金の保証人になるガン平に、エリは心を動かされるのだった。

場面が変わり、ゲート前で数人が話をしている。少女たちが芸能事務所からスカウトされたのだが、つらくても逃げないというイヌさんとの約束を思い、現場を立ち去りかねているのだ。しかし、それぞれ自分の現場で戦えばいい、つらくても自分の夢を追ってがんばればいいんだというイヌさんの言葉に、挑戦を決意する少女たち。

ここで、彼女たちの歌とバックで踊る轟組。間奏でフラッグを使った演技が行われるが、そのときセンターに立つのはガストン。このときの彼女の動きはとてもカッコよく印象的だった。

しかし、この現場にまた騒ぎが起こる。ここまで手直しを進めていた現場に、突然また大きな設計変更の可能性が出てきたというのだ。

工期の延長も人員の増員も経費の上乗せもなく、ほとんどの工事をやり直すことになるという。その理不尽さを指摘しながら、竹松は撤収命令を出す。無理をして事故が起これば死ぬのは俺たち現場の人間だ。こんなことで仲間殺せるか、と。

現場の気持ちがわかってない、と竹松らに責められる御手洗。しかし、彼の死んだ母親は、日雇い労働者として工事現場で働いていたのだった……。

御手洗を演じる森田さんが歌う「ヨイトマケの唄」とそれに続くイヌさんの歌う「ヨイトマケ音頭」の力強い響き。そして、母への思いを表すエアリアルの美しさ。

そんな中、ずっと姿を現さなかった建築家が現場へやってくる。癌におかされ、絶対安静と医者に言われたいたらしい彼は、車椅子の上で充分身動きもままならないまま、しっかりわかる口調で言う。もう一度挑戦したい、と。

修業が足りないので現場の作業員諸君に迷惑をかける。いまから設計変更して、工事は間に合うのか、と問う建築家に、御手洗が答える。大丈夫です、なんとかします、と。

御手洗が熱い思いを語り、轟組の面々を説得しようとする。やり遂げたい、この現場を完成させたい、その思いが若い彼らを突き動かす。

印象的だった場面はたくさんあるけれど、今回のバージョンに限って言うなら、ここで下手から出てきた竹松が、御手洗を囲む轟組のメンバーの様子を見ている姿がとてもせつなかった。

病身を押して現場に来た建築家と、その熱意に応えようとする御手洗の思いに打たれた轟組の仲間たちが、熱い思いを歌い、踊っている。本当ならそういうとき、真ん中にいるのは竹松のはず。……なのに、彼はその様子を少し離れたところからジッとたたずんで見つめている。

彼は簡単には決断できない。自分の情熱や思いだけで、困難な仕事に向かっていくことができない。それは彼がトップだから。

元請であるキムラ建設の御手洗に「こんなことで仲間殺せるか」と言った言葉。

彼が「やる」と言えば、轟組は困難な仕事に責任を持たなくてはならない。常識で言えば、とても無理だと思える仕事。会社としてみたら、無茶で馬鹿馬鹿しいとしか言えない、そういう仕事。

熱い思いを語る仲間たちに加わらず、ただそれを見つめている竹松の逡巡に胸が痛む。

そんな竹松を一発殴り怒鳴りつけるシゲ爺のことば。男なら途中で投げ出すな、オヤジはまだここにいるぞ。現場に命をかけて、現場で死んだお前の父親は。

もうここからは何のセリフもなく説明もなく、ただ歌とダンスだけで進んでいく。

竹松のソロ「今日生まれたと思え」。死んだオヤジの言葉。負けのない人生はない。身体ひとつで自分の名前さえ知らなかった生まれたときの自分の戻ればいい、今日生まれたと思え、と。

そうして、彼の周りに集まり始める仲間たち。無言で手渡されるヘルメットとツルハシ。

繰り返し振り下ろされるツルハシ。息を切らし、汗をかきながら。「ドカタケルト」と呼ばれるこの曲では、民俗音楽風のリズムに合わせ、歌もなくただ黙々と動き続ける。ダンス、という言葉から普通連想されるよりもずっと泥臭く力強いその動きに圧倒される。

特に、センターで延々とツルハシを振り上げ振り下ろし、足を振り上げ振り下ろし、その単純な動きを続ける竹松の必死の表情が印象的だ。

もちろん、その周囲で脚立やバケツを使い、つるはしを使い、激しい動きを続ける轟組の面々も皆すべて汗びっしょりとなっている。

そして……。音楽が変わり、次の曲が始まる。「ドリル魂のテーマ」。激しい動きで呼吸を荒くしたまま歌うこの曲の美しい響き。『ありふれた言葉はやめて、この胸の思いを語り合おう……』

「ドカタケルト」から「ドリル魂のテーマ」へと変わるこの瞬間は、何度観ても感動して胸が熱くなる。

轟組のメンバーの大半が、 本名やふだん呼ばれているあだ名を役名としてること、実際にこれまでさまざまなトラブルに見舞われながら、それに負けず公演を続けてきたこと、それらがあいまって、劇中の轟組と現実に舞台の上で汗を流す彼らとが重なり、なおさら愛しく感じられる。

光が差し、音楽が流れ、彼らが前に進もうとする思いが客席に届くとき、私たちはこの舞台から何か大切なものを受け取ったことに気づくのだ。

すでに再演を重ねてきたこの舞台。また形を変え、進化しつつ、きっとまた戻ってきてくれる。その日を信じて待っていたいと思う。
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by kiki_002 | 2010-03-08 00:52 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
『ドリル魂-YOKOHAMAガチンコ編』千秋楽!!
終わっちゃったなぁ……。

もう終演後、何時間も経っているのに、ラスト近くの印象的なダンス『ドカタケルト』の曲が、いまもまだ耳の側で鳴ってるような気がします。

千秋楽。正直言えば4公演中一番まとまっていたように思える。トラブルもミスも見当たらず、どの歌もどのダンスも力がこもっていた。

この日だけ、カーテンコールの最後に全員で「ドリル魂」のテーマを歌った。そのうちに、センターで歌っていた鈴木里沙さんの目が真っ赤になるのを見て、思わずこちらの涙腺も緩んでしまった。

自分が会場を立ち去るときには、まだ多くの人がロビーを立ち去りかねていた。それらの人々がはけた後、彼らは自分たちであの重そうなセットをばらしたはずだ。

本当にお疲れさまでした。そして、またきっとどこかで轟組に会えますように。


もう宣伝の必要ないんだけど、名残惜しいのでもう一度詳細を載せておきます。


劇団扉座 愛とガッツの現場ミュージカル、熱く上演!
Arts Fusion in KANAGAWA
『ドリル魂 YOKOHAMAガチンコ編』

作・演出:横内謙介
音楽監督:長谷川雅大
振り付け:ラッキィ池田・彩木映利
エアリアル振付:若井田久美子

出演:累央 鈴木利典 岩本達郎 上原健太 高木トモユキ 
安達雄二 上土井敦 新原武 串間保彦 藤本貴行 瀧田和彦
鈴木里沙 川西佑佳 江原由夏 栗原奈美 鈴木崇乃
杉山良一 中原三千代 犬飼淳治
小牧祥子 桧山宏子
森田成一 
仲川遥香 平嶋夏海 菊地あやか 岩佐美咲 <AKB48>

会場:神奈川県立青少年センターホール

公演日時:
2月26日(金)18:30開演
2月27日(土)13:00/18:00開演
2月28日(日)14:00開演

チケット料金:〈全席指定〉
一般前売 3000円/当日券 3500円/学生割引等あり
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by kiki_002 | 2010-03-01 00:13 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
  
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