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柿喰う客 第15回公演『悪趣味』
平成21年9月5日(土)14:00~、シアタートラムにて。

作・演出/中屋敷法仁

出演/
七味まゆ味、コロ、玉置玲央、深谷由梨香、村上誠基、本郷剛史、高木エルム、中屋敷法仁
(以上、柿喰う客)

梨澤慧以子、國重直也、片桐はづき、須貝英(箱庭円舞曲)、齋藤陽介(ひょっとこ乱舞)
野元準也(ビビプロ)、高見靖二(チャリT企画)、佐野功、浅見臣樹、永島敬三
佐賀モトキ、伊藤淳二、出来本泰史、川口聡、瀬尾卓也、柳沢尚美、熊谷有芳

渡邊安理(演劇集団キャラメルボックス)


会場に入って、まずはセットで驚く。すごいなぁ、これ。ずいぶん凝っているし、雰囲気はオドロオドロしくて、例えていうなら横溝正史の世界。その上、柿得意の(?)八百屋舞台になっている。なんだかそれを観てるだけでワクワクしてくる。

山奥にある小さな村。そこに迷い込んだ、いやある伝説を調べるためにその村を目指していた大学教授とその教え子。そういう、どこかで見たような風景がこの劇団のテンションに汚染されていく。

森の奥深く棲む異形のもの。それを退治ようとする少女とその取り巻きの少年たち。曰くありげな少女の家族は母親と2人の弟。

迷った挙句、とうとうその村にたどり着いた大学教授と自殺志願の女。教え子は迷ったまま。

突然起こる無残な殺人。殺されたのは誰か。教授の教え子だろうか?そう思った矢先に、教え子が現れる。しかしどこか様子がおかしい。

犯人は。そして村に隠された謎とは。いやぁ、面白い。伝奇小説風の骨太な物語性と内輪受けすれすれのネタの嵐。家族とか、幸せとか、愛とか。そういうテーマめいた言葉を、散りばめるように振りかけながら。

その家の血にかけられた呪い。村に雇われた怪しげな医者。村の青年団。伝奇物の面白そうなエッセンスを並べながら、その流れを断ち切るナンセンスな笑いと色っぽくない下ネタと。

それらがひとつに集約されて……、いや、まだ公演中なのでネタバレにならないよう、このくらいにしておこう。

キャストで言えば、もうねぇ、コロさんがすっごくいい。なんていうキレのいい、そして愛のある演技なんだろう、と惚れ惚れしながら観てしまった。

深谷さんの潔さもステキだった。コロさんと深谷さんのやり取りには、ゾクゾクさせられた。

七味さんの演じる教え子の得体の知れない笑顔……。ええい、この方の懐の深さってのも、ホントにすごいと思う。

全配役をシャッフルして上演する「乱痴気」公演も観たかった!どうしても日程が調整できなくて残念。

かならずリピートしたくなる、そういう舞台。自分も、とりあえずまた観に行きます。
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by kiki_002 | 2009-09-07 23:59 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
楽しい1日
今日は、午前中地元で用を済ませた後、ダッシュで三軒茶屋へ向かった。柿喰う客の「悪趣味」を観に、シアタートラムへ。時間の都合で昼飯抜きだったけど、とりあえず多少に余裕を持って席に着けた。

劇場に入って、驚いたのはセット。小劇場でこんだけのセットって、はじめて見たかも。そして、雰囲気は横溝正史氏のミステリー。八墓村とかね。客入れのBGMも水の音、赤ん坊の泣き声みたいなオドロオドロしい感じ。

で、始まった「悪趣味」。いやぁ、やっぱり柿喰う客、好きだわ。某友人が言うように、中屋敷氏は天才かもしれんって、思ったり。なんていうか、ゾクゾクするんだよね。メインの物語の流れとゆる~~いネタとのバランスや、登場人物の造形や場面の作り方。

そして今回も、コロさんがスゴく、いい。春の「恋無理」でも、そうとうやられたと思ったけど、あのときの無垢な美しさとはまた違う、カッコいいコロさんを堪能できると思う。今回のコロさんはなんていうか、愛だね、愛。

そうそう、深谷さんもいつもながらの潔さがいい。特にコロさんとのからみが好き。

これから観に行く柿ファンの皆さん、思いっきり期待してください。

あ、競泳水着で堀越さんと共演されていた、チャリT企画の高見さん。あのときもいい男の役だったけど、今回も男っぽい感じがステキ。チャリT企画、観に行ってみようかな。

もうちょっと詳しい感想は近日中に書く予定。……っていうか、けっこう書いちゃったけどね。


で、次は池袋。 お昼を食べ損ねていたので、サンシャイン内の「青葉」でつけ麺を食べてから劇場へ。

結局3回目となる「俺たちは天使だ!」。

さっき観てきた「悪趣味」とこの「俺天」、ひと言でお芝居って言ってもいろいろだなぁ……ってしみじみ思った。 どっちがいいとか悪いとかじゃなく、全然別の種類のものだよね。

まあ、どっちも好きだけどねぇ。テレビ版のキャラクターを活かした、わかりやすい展開。 客席のノリは、ジャニーズのライブにもちょっと似てる気がする。キャストがみんな動ける人ばかりなので、アクションシーンがカッコいいし、スピード感もなかなか。

くだらないことを一生懸命やってるところが楽しいんだよね。馬鹿馬鹿しいとか、ありえないとか、そんなのは言いっこなし。 とりあえず、先日観てきたときの感想が→これ。いや累央さん、カッコいいっす♪

……でもまあ正直、3回観に行くとは思わなかったけどね (汗)。

いろいろと楽しかった1日。いい気分で眠れそうな気がする。……明日は仕舞のお稽古。そろそろ「熊野」の仕上げなので、付け焼刃でも朝のうちに、ちょっと自主練してから行かないと。
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by kiki_002 | 2009-09-05 23:58 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
柿喰う客「邪道・プロポーズ」
平成21年5月16日(土)14:00~、王子小劇場にて。

やたら眠くて、昨日おとといと2日続けてブログをサボってしまった。土曜日にマチソワ、今日は仕舞の稽古、ネタはあるので、とりあえず順番に書いていこうと思う。

原作/A・チェーホフ『結婚申込』
構成・演出/中屋敷法仁
出演/七味まゆ味、コロ、深谷由梨香


さて、この公演は王子小劇場で行われた「PRIFIX2」というイベントの一環。5月16日(土)と17日(日)の2日間、5つの劇場が通して芝居を演じるというもの。

前売りも予約もなく当日券のみ。5つの劇団が2度ずつ演じるので、その気になれば通しで10公演観ることも可能だ。

この日は別の予定もあったので、最初は観るつもりではなかったのだけれど、気になって結局、間際になって観に行くことを決めた。時間の都合で、残念ながらトップバッターである柿喰う客の芝居しか観られないけれど、まあ、このキャスト3人を観るだけでもいいと思って。

そしてこの「邪道・プロポーズ」は、福岡で行われる演劇フェスティバルで、3人の演出家が課題戯曲アントン・チェーホフ作「結婚申込」をそれぞれの演出、方法論でオリジナル舞台作品を創作し上演するというコンペティションへの参加作品でもあるらしい。

さて、当日券のみということでやや不安を感じつつも、受付開始時間である13:00を15分ほど過ぎて会場に到着。入ってみると、すでに客席はけっこう埋まっている。半分より多い、そう6割くらいだっただろうか?その後も着々と入ってきて、開演時間近くにはほぼ満席となり、スタッフが客席の前方に座布団を並べ始めた。

ステージ……というより、むき出しの床、むき出しの壁。そこに突然、音楽が。そして次の瞬間、暗転。始まるのだ。観客の集中力が一気に高まる。

現れたコロさんと深谷さん、そしてスタンドマイクが1本。どうやら漫才コンビの練習風景。ネタのタイトルは「プロポーズ」、そして、その内容はまさにチェーホフの「結婚申込」。テンション高めなネタの部分と、素の会話との雰囲気の違いとかも面白くて。

そこに乱入してくる七味さんの七変化(いや4変化だけど)に笑いながらも、どうやら古典を演じ続けることへの迷いや意義を考えつつ、それをできるだけ面白くみせようとするお笑いコンビの試行錯誤などもあって……。

……え、終わり?

柿喰う客にしては珍しく、お腹一杯にならない感じの終わり方。予定された上演時間は1時間なのに、30分で終了だし。その後の時間を埋めるのは、なんだか罰ゲームみたいな中屋敷さんの一人コント。

短時間だからでもない。少人数だからでもない。3人のキャストの熱演にも関わらず、何故かわからないけど、今回はやや消化不良な感じ。何だったんだろ?ちょっと残念な気がした。
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by kiki_002 | 2009-05-17 23:58 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
柿喰う客 JAPAN TOUR「恋人としては無理」千秋楽
平成21年4月4日(土)14:00~、シアターZOOにて。

作・演出/中屋敷法仁

出演/
七味まゆ味
コロ
高木エルム
中屋敷法仁
佐賀モトキ(客演)
堀越涼(花組芝居)
ご当地スペシャルゲスト:弦巻啓太(弦巻楽団)


横浜で観てから約1ヶ月、「恋人としては無理」をまた観に行ってきた。5月には愛知の演劇博覧会「カラフル3」セカンドステージでまた上演されるらしいけれど、とりあえずこのツアーとしては、今日が千秋楽。

大きなインパクトを受けた初見の舞台から、さまざまなモノが削ぎ落とされ整理されて、ますます完成度の高い舞台となっていた。

たとえば、トム・クルーズとダ・ヴィンチのくだりが潔くカットされていたり、それぞれの役を入れ替わりつつ演じていく芝居なのだけれど、同じ場面なのに違う役者さんが演じていたり。

しかし、そんな間違い探しをする間もないほどの緊迫感が後半の舞台を覆う。愛すること、信じることのせつなさと強さ。

弟子たちがイエスに惹かれていった様子を振り返る辺りや、最後の晩餐での裏切りのキス、ユダの絶望の表情、そして使徒たちのその後。

コロさんが言い放つ「……わかって欲しくもないけどな」というヤコブの最後のセリフに、鳥肌が立つ。

シンプルになったばかりではなく、序盤での日替わりご当地ネタ(エルサレムで何をしたい?)などは、これでもかというくらいタップリ。「柿喰う客」を初めて観る方がそのテンションに乗れるかどうか、ちょっと気になったりしつつも、思わず腹を抱えて笑う。

そういえば、事前には予約が少ないように聞いていたけれど、客席はいっぱい。そのたくさんの観客が、話が進むに連れて舞台にどんどん集中していく雰囲気が感じられ、気持ちよかった。

ポストトークは、劇団主宰の中屋敷さんとご当地ゲストの弦巻啓太さん。

いきなり、中屋敷さんが近いうちに結婚される(!)など、舞台以外の話題で盛り上がる。今日が誕生日で25歳になったばかりという中屋敷さんは、以前から結婚願望が強かったとのこと。いやホント、おめでとうございます!!

その後、芝居についてのトークの真っ只中で、帰りの飛行機の時間もあって、最前列なのに途中退席。ホント申し訳ない。いや、横浜ではそんなにポストトークが長くなかったし、ともかく読みが甘かった……。

そういえば、ご当地ゲストが仕切るまで続く日替わりネタもたっぷりだったし、弦巻さんはしっかり語っていくタイプなのかも。弦巻楽団も拝見したくなった。

ともあれ遠征した甲斐のある、いい舞台だった。皆さま、お疲れさまでした。
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by kiki_002 | 2009-04-04 23:58 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
「恋人としては無理」についての追記
本当に何もない、ガランとした舞台。

大道具もなく、小道具も、キャラクターを示すアイテム以外は何も使われていない。

衣装も黒一色。

音楽もなく、ときにわずかな効果音が使われるのみ。照明も、いつもの柿と比べると驚くほどシンプル。

そこにあるのは、役者の放つ言葉とその声。そして役者の動き。ただそれだけなのに、いったいどうしてこんなに心を揺さぶられるのだろう。

繰り返して観ると、その流れの無駄の無さに驚く。濃密な濃密な1時間5分。
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by kiki_002 | 2009-03-08 23:57 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
柿喰う客 JAPAN TOUR「恋人としては無理」
平成21年3月7日(土)14:00~、STスポットにて。

■恋人としては無理
柿喰う客のオリジナル作品。2008年、フランスにて初演。
民衆から救世主と呼ばれている浮浪者と、彼に従い旅を続けるバックパッカーたちの物語。
「記号」に裏付けされた独特の演技法と、スピーディかつスタイリッシュな空間演出で、人間存在の不確かさを鮮やかに風刺する。
2008年3月、ブザンソン(フランス)で行われた『フランシュ=コンテ国際学生演劇祭』で初演。4月に東京で凱旋公演を行い「CoRich舞台芸術まつり!2008春」最終審査に残る。
(公式HPより)
 
作・演出/中屋敷法仁

出演/
七味まゆ味
コロ
高木エルム
中屋敷法仁
佐賀モトキ(客演)
堀越涼(花組芝居)
ご当地スペシャルゲスト:中野成樹(中野成樹+フランケンズ)

その独特の手法については、事前に聞いていた。役者と役が固定されずに、登場人物を表す小物を持つとき、その役者がその人物を演じるのだという。

黒一色のスウェット姿で登場した6人の役者と、イエス・その12人の弟子・ピラトという14人の登場人物。当然、人数は合わない。しかも、6人のうち男優が3人、女優が3人。12使徒も半数は女性という設定になっている。男女関係なく、入れ替わり立ち代り何人もの役者に演じられていく登場人物。面白いかもしれないけれど、きっと感情移入はしにくいだろうと予想していたが。

しかし、それは見事に裏切られた。

冒頭は、よく柿らしいと言われるハイテンションで早口で、小ネタ満載のセリフの連射。やや聞き取りにくい部分もあるが、この辺りはたぶんひとつひとつのセリフの内容に依存せず、ただその世界に巻き込まれていけばいいのだろう。

しだいに見えてくるのは、ひとつの不在だ。イエスがいない。皆が彼について語り、彼のことを思っているのに。その不在が、かえってその人への気持ちを高めていく。そして語られる弟子たちの過去。彼らが何故、イエスについてここまできたのか、ということ。

とうとう一瞬だけ、イエスが現れるのは……、ユダが彼を裏切ったその瞬間。ひと言のセリフもないまま、ユダを絶望させるイエス。このとき、ユダを演じていた堀越さんの表情がとても印象的だった。

イエスの死後、散り散りになった弟子たち。この辺りのセリフは、けっして早口でもなければ聞き取りにくくもない。しかも、あいかわらず役者が入れ替わりながら演じているのに、登場人物の思いがしっかりと浮かび上がりつつある。

イエスを愛するペトロ。そのペトロへの幼なじみヤコブの愛情。そしてヤコブの妹 ヨハネの無垢。それを演じるコロさんの美しさに目を見張った。

復活したイエスが、弟子たちの前に現れ始め、一度は逃げたはずの弟子たちの多くが殉教者となっていく。彼らの語る言葉から見えてくるイエスの姿。彼らは、不確かなものを信じたのか。あるいは、人として人を愛していたのか。

こういう芝居だとは思わなかった。これを観るともう、勢いとかテンションとか、そういうことを語る必要はない。手法の斬新さに目をくらませられるけれど、もしかするとこれは、純愛の物語なのかもしれない。
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by kiki_002 | 2009-03-07 23:21 | 舞台 | Trackback | Comments(2)
コロブチカ旗揚げ公演「proof」
平成20年12月27日14:00~、王子小劇場にて。

柿喰う客のイケメン女優、コロさんが立ち上げた新しいユニット「コロブチカ」。その旗揚げ公演を観るために王子小劇場へ出かけた。

脚本/デイビッド・オーバーン

翻訳/谷 賢一 (DULL-COLORED POP)

演出/黒澤 世莉 (時間堂)

出演/キャサリン:コロ (柿喰う客)、ハロルド:小谷 真一
クレア:こいけ けいこ (リュカ.)、ロバート:鈴木 浩司

【作品あらすじ】
シカゴのとある寒い冬、天才数学者・ロバートは、彼にとって二度目の世紀の大発見である偉大な「証明」をノートに書き続けていた。それほどの「証明」を、彼は誰にも見せようとしなかったし、誰もそれを見ようともしなかった。なぜなら彼は、気が狂っていたから。
たった一人で彼の身の回りの世話をしていたロバートの次女・キャサリンは、遺稿の整理に訪れた若い数学者・ハルと、ノートの持ち出しを巡って激しく争う。父の書斎をそのままにしておきたいキャサリンと、埋もれているかもしれない新たな業績を発掘したいハル。
やがてキャサリンは、彼女にとって最も重要な一冊のノートを父の書斎から持ち出し、ハルに託す。なぜなら彼女は、……。(「コロブチカ」ブログより)

           ※    ※    ※

「休憩です」と言われて、驚いた。まだ開演からさほど時間が経ったように感じなかったのに、時計を見るとすでに1時間以上経過していたから。

舞台はある家のテラス。テーブルと椅子が2つ置いてある。テラスの外側にはブランコ。家とテラスを繋ぐドアと窓。そこで物語は始まる。ある数学の証明を巡る物語。同時に、人と人とのつながりや信頼を巡る物語。

天才数学者だった父。精神を病み、次女のキャサリンがずっと面倒を見ていたのだが、その父が死んだ。

父の才能を受け継ぐと同時に、精神的な不安定さまでも受け継いでしまったかもしれないキャサリン。繊細過ぎて人間関係を築くのが下手なキャサリンを演じるコロさんが素晴らしかった。あて書きかと思うほど(もちろん、そんなはずはないのだが)、キャサリンの不安も自負も、そして強さをもしっくりと表現していた。

父ロバートの残した膨大なノートの中に新しい数学の発見はあるのか。それを探すロバートの元教え子ハロルド。陽気で有能で魅力的なハロルド、しかし自分の才能に対する自負と焦りを抱える彼の様子や、キャサリンとの気持ちのやり取りを小谷さんが明快に演じていた。

ニューヨークで暮らすキャサリンの姉クレア。長身で美しいこいけさんが、この芝居の登場人物の中でもっとも現実的な女性を演じて説得力があった。ある意味、キャサリンにとって現実の世界の象徴ともいえるクレア。その強引さも理解の足りなさも、決してクレアのせいではない。彼女は彼女なりに父と、そして妹を愛しているのだから。

そして、ロバートを演じる鈴木さん。愛娘キャサリンへの愛情。ストーリーの要となる、冬の夜の回想シーン。天才の発露なのか、狂気の再発なのか、そのせめぎあいを緊張感を持って演じていた。

人が人を信じることの難しさ。人恋しい気持ち。家族への思い。そして恋。それぞれの登場人物の表情が表す心の動きに、観ていると自然に共鳴してしまう。

キャサリンはただ信じて欲しかっただけ。それでも、ハロルドの謝罪に心を開こうとする彼女の強さ。この恋人たちが幸せになりますように、と祈らずにはいられない。

観終わった後に、少しだけやさしくなれそうな気がする、そんな芝居だった。
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by kiki_002 | 2008-12-28 22:18 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
柿喰う客企画公演 玉置玲央一人芝居「いまさらキスシーン」
平成20年11月22日(土)15:30頃~、王子小劇場にて。

作・演出/中屋敷法仁

出演/玉置玲央

『いまさらキスシーン』
華も恥じらう乙女だが、部活に勉強にマジ多忙!!
ちっとも身動き取れなくて、若さを楽しむ余裕がねぇ!!
怪男優・玉置玲央が、最強の一人芝居フェスティバル『INDEPENDENT:08 』(大阪)に殴り込み!!
並み居る強豪相手に、ハイティーンの辛気臭すぎる青春を魅せつける!!
(東京でもやりまーす!)
(公式HPより)

さきに感想を書いた「いきなりベッドシーン」の終了後、約30分後からこの「いまさらキスシーン」が上演される。

30分後と言いつつ、その間に作・演出の中屋敷さんによるアフタートークがあったり、別々の公演なので、1度観客を外へ出して準備をしたり、運営する側としたらけっこうタイトなんじゃないだろうか。……などと余計なことを考えつつ、前から3列目ほぼ中央という観やすい席を確保。

「いきなりベッドシーン」と同様、主人公は女子高生。制服のミニスカートから伸びるのは、あまりにも鍛えらあげられた筋肉質な脚。などと観ているうちに、すぐに芝居に引き込まれる。

こちらのヒロインは、慎重派……というか、老成している……というか、高校に入学したときから考える。勉強・部活・恋とそのすべてを充実させるには、3年間は短すぎる。でも、どれかひとつに絞ったら、それが納得いく結果が出せなかったときには、悔いが残るじゃないの。だから、どれかひとつに絞ることなく、いつでもシフトチェンジできるような状態を目指す……のだが。

時の経つのが早過ぎる。気がつくとあっという間に一学期が過ぎ、二学期が過ぎる。どれも頑張っているはずなのに、結局上手くいかなくて。

ときどき混じる時代劇のお侍のような口調が、ちょっとマジメで、計算高いくせに不器用なヒロインに、微妙にハマっていて、おかしかったり。特定のフレーズの繰り返しがテンポよく、膨大なセリフにリズムを生んでいたり。

いつのまにか3年間が終わり、部活と勉強、どちらも不本意な結果に。しかも、思わず言い過ぎた相手から報復を受け、血まみれになって、それでも憧れの先輩のもとへ。そしておでこにキスしてもらいながら、心の中で罵詈雑言、口にしたのは「ありがとうございます」って。

このあたりの微妙な心理描写がなんかリアルで、そしていろいろ納得いかない中で、やっぱり先輩にちゃんとキスして、って言いに行こうとするラスト。なんだろう、なんだかこれ、清々しい感じがする。

ボロボロでぐちゃぐちゃだけど、でも先輩のところへ行って、野良猫か野良犬みたいに頭をなでてもらって、そしてキスするんだ、きっと。柿にしては珍しいハッピーエンドなのかな、なんとなく。あるいは、そう思えるのは、玉置さんの潔い雰囲気ゆえかも。

約25分の上演時間がホント短く感じられて、でも思い返すといろんなことが詰め込まれていて、ホント観てよかった。
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by kiki_002 | 2008-11-23 23:59 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
柿喰う客企画公演 七味まゆ味一人芝居「いきなりベッドシーン」
平成20年11月22日(土)14:00~、王子小劇場にて。

作・演出/中屋敷法仁

出演/七味まゆ味

怪女優・七味まゆ味の超絶一人芝居!?
好奇心が暴走しすぎたハイティーンガールの生き様を
異常なテンションでセキララ大放出!!
恋に勉強に部活動! 売春、薬物、リストカット!?
青春っぽいモノ、片っ端からご堪能してやる!!
我が学園生活に「ヤリ残し」皆無!!
若さゆえの過ち? バッチコーイ!! (青春は合法的にっ)
(公式HPより)

好奇心旺盛過ぎる女子高生の入学式から2年生秋の修学旅行までを描く一人芝居。

いやぁ、ミニスカートの制服に身を包んだ七味さんのカワイイこと。それも、ストーリーがどんどん痛ましくなっていくにつれて、ますますキレイに見えてくる。

勉強やクラス委員のお仕事、部活や恋、青春っぽいことなんでもやりたい超ポジティブな女子高生。先生のよけいなひとことで、青春のダークサイドまで堪能しようと思っちゃったから、さあ大変。

気がつけば、クラスで浮いちゃってるじゃん。これぞ青春!いっそもっといじめられる方向で!

いや、このあたりの流れはもう、共感とか理解とかは必要じゃないのね。勢いとテンション、力ずくで観客を引っ張って行く。

いじめはどんどんエスカレートして、すでに常軌を逸してしまっているのに、「まだまだ足らない」という彼女の貪欲さはいったいなんだろう。

凄まじく痛々しい描写を、明るく元気よく笑顔で語っていくそのアンバランス。しだいに、そのポジティブさの下に透けて見える、傷ついている心。

冒頭で語られる、清水の舞台から飛び降りちゃった事件。入学式から2年の二学期までの状況が語られた後、その飛び降りの話に戻ったとき、同じセリフ・同じ仕草・同じ表情ながら、まったく違うものが見えてくる。

そして、ラスト。いやもう、すっかりやられた。

残酷でエグくて痛ましいストーリー。その中にどこか悲しい美しさを感じてしまうのは、たぶんこの劇団のテイストにすっかりハマってしまっているからなのだろう。

独特のハイスピードかつハイテンションなセリフまわし。そのリズムと多彩な語彙を駆使した言葉の繰り返しが、いっそある種の伝統芸能の型のような様式美に見えてきて、病み付きになってしまう。
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by kiki_002 | 2008-11-22 23:58 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
柿喰う客 第14回公演『真説・多い日も安心』
平成20年8月29日(金)19:30~、吉祥寺シアターにて。

作・演出/中屋敷法仁

出演/高木エルム、七味まゆ味、玉置玲央、半澤敦史、深谷由梨香
(以上、柿喰う客)

村上誠基、石橋宙男、伊藤淳二、浅見臣樹、石黒淳士、佐野 功
高橋戦車、花戸祐介、舞香、矢鋪あい、大石 憲、伊佐美由紀
野田裕貴、八木菜々花、川村紗也、今永大樹、村上俊哉
迫 律聖、野上真友美、永島敬三、加藤 諒、丸山紘毅

佐藤みゆき(こゆび侍)、中林 舞(快快)、須貝 英(箱庭円舞曲)
松本隆志(Mrs.fictions)、小川貴大(ハイベビ)
色城絶(エビビモpro.)、出来本泰史(劇団SevenStars)
浅利ねこ(劇団銀石)、斉藤マッチュ(劇団銀石)
佐野木雄太(劇団銀石)、武藤心平(7%竹)

前回公演の「俺を縛れ!」あたりから、すっかり病みつきになったこの「柿喰う客」。この公演も指折り数えて観に行くのを楽しみにしていた。

会場は吉祥寺シアター。初めて行く劇場だけれど、駅からの道順もわかりやすく、建物もキレイで、客席の傾斜も観やすく、なかなかの好印象。

受付には、劇団マスコットめこちゃんルックでおなじみの制作、田中沙織さん。はにかんだような笑顔がいつもチャーミングだ。この前ご出演された「ボクコネ」でも可愛かったなぁ。

とはいえ、開演間際に駆け込んだので、田中さんに話しかけてみる余裕もなく自分の席を探す。ややサイドながら、間際に予約した割にはけっこう前方の席でうれしい。

舞台のセットがなんともカッコいい。

緊迫した雰囲気のオープニング。七味まゆ味さんの畳み掛けるようなセリフが、緊張感を高めていく。

そして本編はいきなり戦いの場面から始まる。王冠らしきものをかぶった男たちが追い立てられる、ゆるい戦闘シーン。ある国が、大陸を統一しつつあるのだ。1人のAV女優が人々を魅了し、その下に集まった人々が彼女の作品をリリースし続けることで、国を治めていこうとしている。このヒロインを演じる深谷由梨香さん。綺麗で、貪欲で、留まることを知らない勢いがある、そんな役を体当たりで演じていた。体当たりで、なんていう使い古されたフレーズが、これほどピッタリに感じられたのは初めてだ。

それにしても、ソフト秦デマンドの始皇帝って、さぁ……。ま、いいけど。歴史的な枠組みがありそうに見せて、実は、時事ネタ、下ネタ、パロディの嵐で、これまで観た柿喰う客の作品の中で、一番くだらない。もちろんこの劇団にとって、くだらないというのは褒め言葉だが(?)。

終盤の玉置さんと佐野さんのアクションは見応えがある。動きに切れとスピードがあって、見ていてとてもキレイだった。

やはりその後に歌。前作では、皆さん上手な方が歌っていたが、今回はそうではなかった。これも狙いなのかもしれない。出演者の表にお名前のなかった主宰で作・演出の中屋敷さんが、なんとなくうれしそうにマイク係をしていたのが面白かった。

さすがに慣れてきたので、登場人物たちの目指す方向性と後半のもっともらしいメッセージ(今回で言えば女性性について)がこの芝居の中心だとかメッセージだなんて思わない。けっこうこの作者は、油断のならない人物だという気がする。

そして、ラストでのオープニングへの回帰。これが何を意味するのか、本編とどう関係しているのか、そんな深読みする必要も感じない。そこに意味があるとしても、それを考えることは、この芝居にとって重要ではないように思えるから。ただ、それぞれの役者の動きと声と関係性と、それらが積み上げられて立ち上がってくる構造が、カッコよく見えればそれでいい、そういう潔い芝居に感じられる。

言葉で語るメッセージなどただのアイテムに過ぎない。ただ、目の前で走り続ける生身の役者から伝わる熱だけが、ここで大切なものなのだという気がした。
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by kiki_002 | 2008-08-30 23:56 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
  
だって、好きなんだもん!
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