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NHKで『ファウストの悲劇』
先月通ったばかりの『ファウストの悲劇』が、NHKの「芸術劇場」で放送されるそうです。そういえば、自分が観に行った日、ビデオカメラが入ってたっけ。ちょうど一ヵ月後。忘れずに録画しなくちゃ。

NHK教育テレビ『芸術劇場』
9月10日(金)23:00~25:15

案内役:礒野 佑子アナウンサー

第1部 情報コーナー「現代に甦る古典演劇『ファウストの悲劇』の魅力」
第2部 劇場中継 「クリストファー・マーロウ『ファウストの悲劇』」

<作> クリストファー・マーロウ
<翻訳> 河合 祥一郎
<演出> 蜷川 幸雄
<出演> 野村 萬斎 勝村 政信 長塚 圭史 木場 勝己 白井 晃 たかお 鷹 
横田 栄司 斎藤 洋介 大門 伍朗 マメ 山田 市川 夏江 大林 素子 ほか
<収録> 7月17日 Bunkamura シアターコクーン
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by kiki_002 | 2010-08-10 00:40 | 映像 | Trackback | Comments(0)
『ファウストの悲劇』初日感想
平成22年7月4日(日)19:00~、Bunkamuraシアターコクーンにて。

作/クリストファー・マーロウ
訳/河合祥一郎
演出/蜷川幸雄

出演/野村萬斎、勝村政信 長塚圭史 木場勝己 白井晃
たかお鷹 横田栄司 斎藤洋介 大門伍朗 マメ山田
日野利彦 大川ヒロキ 二反田雅澄 清家栄一 星智也
市川夏江 大林素子 時田光洋 中野富吉 大橋一輝
手打隆盛 鈴木彰紀 川崎誠司 浦野真介 堀源起

『ファウストの悲劇』は、W.シェイクスピアと同時代のエリザベス朝時代に活躍したイギリスの劇作家クリストファー・マーロウによって1592年に書かれた作品で、ドイツに実在した錬金術師ファウストの伝説をもとにしたと言われています。現在でも幾度となくイギリスで上演され続けている16世紀の古典演劇の名作に、河合祥一郎の生きた新訳により新しい命を吹き込みます。
注目の出演者は、蜷川組常連の俳優から、様々なジャンルで活躍する今回初登場のキャストなど、作品を盛り上げる話題の面々が多数顔を揃え『ファウストの悲劇』の劇世界を縦横無尽に駆け巡ります!!
作品と演出家と俳優のエネルギーがぶつかり合って生まれる壮大な舞台、どうぞご期待ください!
(劇場HPより)

いったい誰が、この戯曲をやろうといいだしたんだろう?……初日の舞台を観ながら、ふとそんなことを思った。

悪魔が飛び交い、天使がささやく、一大スペクタクル。主人公は世界各国をまたにかけ、魔法で過去の英雄や美女を登場させて喝采を浴びたり、いたずらをして人を怒らせたり。荘厳で滑稽、神聖で猥雑、そういう奇妙な物語を。

パンフレットを読むと、どうやら蜷川氏が言い出した訳ではないらしい。いったい誰が、どんな悪魔のささやきによって、あるいはどんな天使の導きによって、この物語を蜷川幸雄演出・野村萬斎主演で上演しようなどという暴挙を思いついたのだろう?

演出するにも、演じる方にも、難しい面も多かったことと思う。しかし、不可思議な化学変化を経て、なんだか凄いものができてしまった、という気がする。

開演前、舞台を覆うのは緞帳ではなく歌舞伎で使う定式幕。客席には赤い提灯が下げられている。この物語の外枠として、『ファウストの悲劇』を上演しようとする歌舞伎一座という設定が加えられているのだ。

冒頭の口上や、音楽、ときおり混ざるちょんまげ姿の登場人物など、その設定をうっすらと感じさせながら、あまりストーリーにまでは関わってこないため、あまり意味を感じなかったのだけれど、パンフレットを読むと、役者さんたちはそれぞれ、ファウストの中の役と、それを演じる歌舞伎一座の役者の二重構造を意識しながら演じていたようだ。

ステージの下のスペースで着替えているところが見えたり、背後のセットがハーフミラーになっていて、鏡になったり、ガラスになってその奥の楽屋?めいたものを見せたりしていたのも面白かった。

これまで観てきた蜷川氏の舞台の数々を思い出させる断片的なモチーフ。歌舞伎一座が演じるファウストということで、見世物めいた作り物らしさがいい感じだったり。そういったさまざまな仕掛けが、1度だけではつかみきれないくらい散りばめられている。

その結果、世にも不可思議で煌びやかな、ひどく可笑しくてどこか切ない、そういう世界がステージ上に立ち現れることになったのだ。

……どうも抽象的な形容詞の多い文章になってしまう。なにしろまだ初日を迎えたばかりの舞台だ。あまりネタバレしてはなるまいと思うと、つい。

これは、また観に行く予定なので、そのときに改めてもう少しわかりやすい感想を書きたいと思う。
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by kiki_002 | 2010-07-08 23:52 | 舞台 | Trackback(1) | Comments(1)
『ファウストの悲劇』
シアターコクーンで、蜷川幸雄さん演出『ファウストの悲劇』初日を拝見した。

ひと言で言えば、壮麗で滑稽な、ごった煮的舞台。

多彩で個性的なキャストが揃っているけれど、主人公ファウスト博士を演じた野村萬斎さんと彼を誘惑するメフィストフェレス役の勝村政信さんの印象が圧倒的だったように思う。

それにしても、公演時間が長くなりがちな蜷川さんの舞台をソワレで観るのは、地方在住の身にはなかなか大変でした。今回は3時間弱。とりあえず、電車があるうちに帰れました。

でも、それだけの甲斐がある、いい初日でした。
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by kiki_002 | 2010-07-05 00:58 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
萬斎さん主演で『のぼうの城』映画化!!
来年公開の映画『のぼうの城』で、萬斎さんにとって『陰陽師Ⅱ』以来7年ぶりとなる映画主演を務めるらしい。

和田竜氏による同タイトルのベストセラー小説が原作。戦国末期、わずか500の領民で、石田三成率いる2万の大群に立ち向かった浮き城の城代 成田長親を萬斎さんが演じる。

この主人公は、「のぼう様(でくのぼうの意)」と呼ばれながらも底知れない人望で領民から慕われたという人物。原作も面白そうだけれど、映画を観るまでは読まないでおこうと思う。

共演は佐藤浩市さん、山口智充さん、成宮寛貴さん他。犬童一心監督、樋口真嗣監督のお二人が共同監督を務める。公開は、2011年を予定。クランクインは今年8月。

……となると、この夏から秋にかけては、能舞台に立つ萬斎さんを観る機会はグッと減るってことだよね。少し気をつけて、チェックしてみなくちゃ。

映画『のぼうの城』について、くわしくはこちら→http://pia-eigaseikatsu.jp/news/154526/40220/
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by kiki_002 | 2010-06-23 22:33 | 映像 | Trackback | Comments(0)
『マクベス』
平成22年年3月20日(土)14:00~、世田谷パブリックシアターにて。

作/W・シェイクスピア
訳/河合祥一郎訳 『マクベス』より
構成・演出/野村萬斎

出演/野村萬斎、秋山菜津子、高田恵篤、福士惠二、小林桂太

シェイクスピアを原作として新たな劇世界を切り拓いた『まちがいの狂言』(「間違いの喜劇」)、『国盗人』(「リチャード三世」)に続き、野村萬斎が『マクベス』に挑みます。2008年10月のリーディング形式による上演(シアタートラム)から、テキストを再構成し、大胆な演出をほどこします。
たった5人で演じるシンプルかつパワフルな『マクベス』に、どうぞご期待ください。
(劇場HPより)

順序が逆になってしまったけれど、先週末観てきた『マクベス』についての感想を。

たった5人、たった1時間半で描かれる、無駄を削ぎ落とされたタイトなマクベス。『国盗人』は『リチャード三世』の翻案だったが、これはそのまま『マクベス』として演じられるということで、予想では原作に忠実なモノとなるのだろうかと思っていた。

しかし。

冒頭、ステージは白い半円状の…いや半球状のモノで覆われている。そこに月が昇り、独特の世界観を感じさせる不思議な言葉が語られる。そして、白い半球越しに、男が刀を振るうシルエット……。

抽象的で印象的なプロローグが終わると、3人の魔女が蠢き始める。演じる高田恵篤さん、福士惠二さん、小林桂太さんの卓越した身体性。この方々の魔女を観られただけでも、この『マクベス』が演じられた価値があったという気がする。

そして、魔女たちとマクベスの出会いの場面。気がつけば、魔女のひとりはいつのまにかバンクォーとなってマクベスと共に歩いている。

その栄光に満ち、同時に不吉な予言。予言の一部がすぐに真実となったことで、マクベスの野心に火がつくのだが……。

すぐに迷い、思い悩むマクベスの人間味と、叱咤するマクベス夫人の気丈さ。そして、マクベスと夫人のキスシーンの美しかったこと。

マクベスの悩みや迷う部分をたっぷりと描きながら物語は進んで行く。

惨劇の後、再び魔女たちの予言。それは、「女から生まれた者にマクベスは倒せぬ」と「バーナムの森が向かってくるまではマクベスが滅びぬ」という、あまりも有名な2つの予言。その場面の魔女たちの、のたうち、うごめく異形の姿。

しかし、しだいにマクベスは追い詰められていく。それに伴って、狂気が彼を支配していくように見えて。夫人の死の辺りから終盤にかけて、舞台に降り注ぎ始める真っ赤な葉。

魔女たちの仕掛けた罠にマクベスが気づく瞬間の凍りつくような表情。それでも、諦めることなく刀を振り上げるマクベス。そのまますぐに見えなくなって再び現れたのは、すでに人の形をとどめないマクベスの残骸だった……。

その無残なパーツを魔女たちが持ち上げると、白い花が一輪。その瞬間の静謐さは、しみじみと心に沁みてくるように感じられた。

権力争いや歴史的な背景、多くの人々の関係性などをスッパリと切り取って、マクベスというひとりの男とその妻が、魔女に魅入られて滅んでいく過程を描いたシンプルな『マクベス』。冒頭の広大な世界観と白い花が一輪だけ咲いていた静かなラストが、マクベス夫妻の滅亡をひとつの神話のように感じさせていたようにも思えた。
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by kiki_002 | 2010-03-29 00:06 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
で、「マクベス」
今日は、その(どの?)萬斎さんのマクベスを観に世田谷パブリックシアターへ。

これはねぇ、リーディング公演のときにチケットを取りそびれて、とても悔しかったんだよね。なにしろ、「リチャード三世」を翻案した「国盗人」がとてもインパクトあったし、またシェイクスピア、それも「マクベス」を萬斎さんが取りあげてどう料理したのか、気になって気になって。

だから、今回の公演が決まったときにはもうホントにドキドキした。

「マクベス」と言ってまず思い出すのが、数年前に観た りゅーとぴあ能楽堂シェイクスピア・シリーズ「マクベス」。

装置も大道具もない能舞台で演じられた、言葉の美しさと観客の想像力を生かしたシェイクスピア。特に、マクベス夫人を演じた市川笑也さんの美しさと、エンディングでのマクベスと夫人の道行きが印象的だった。

それから、去年の3月に観た脇組の戦国シェイクスピア第一弾「BASARA~謀略の城」。マクベスを戦国時代の武将 松平弾正久秀に置き換えた、戦国シェイクスピア。

舞台狭しと繰り広げられる殺陣やダンス、大人数でのアクションがとても贅沢な舞台で、その中でマクベス夫人にあたるお艶が流産し、狂っていく様子が壮絶だった。

そして今回。これまで観てきたものとはまただいぶ違う独特の世界観を持った「マクベス」だった。

詳しい感想は、改めて近日中に。
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by kiki_002 | 2010-03-20 23:54 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
萬斎さんでファウスト!!
相変わらず、いろんなことに挑戦しちゃう方だ。いままさにマクベスをやってて、つい先日はリチャード三世の翻案である『国盗人』を再演してたし、かつてはハムレットもやったし、ギリシャ悲劇もやった。清水邦夫氏の脚本で老人役を演じたりもした。

で、今度はこれ。

野村萬斎さん主演『ファウストの悲劇』7月上演!!

蜷川幸雄氏演出で萬斎さんというと、『オイディプス王』や『わが魂は輝く水なり』がすぐに思い出される。特に一昨年の『わが魂……』は、何度か観に行って、ここにも感想を書いたけれど、本当に美しい舞台だった。

萬斎さんが演じた老境の武将と、菊之助さんが演じたその息子、それぞれの意地と尊厳と憧れと。

そのときと同じBunkamuraシアターコクーンで、今度はいったいどんな顔を見せてくれるのか。それを思うと、いまからもうドキドキしてしまう。

でもその前にまず、久しぶりに本気のチケット取りをしなくちゃならないだろうなぁ……。

『ファウストの悲劇』

作/クリストファー・マーロウ
演出/蜷川幸雄
翻訳/河合祥一郎
出演/野村萬斎 他

公演期間/2010年7月4日(日)~25日(日)
会場/Bunkamuraシアターコクーン
チケット発売/5月15日(土)
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by kiki_002 | 2010-03-18 01:01 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
「能楽現在形 劇場版@世田谷」
平成22年1月16日(土)13:00~、世田谷パブリックシアターにて。

半能「高砂 八段之舞」
  シテ(住吉明神):片山清司
  笛:一噌隆之 小鼓:成田達志
  大鼓:亀井広忠 太鼓:観世元伯 ほか
能「邯鄲」
  シテ(盧生):観世銕之丞 ワキ(勅使):宝生欣哉
  アイ(宿の女主人):野村萬斎
  笛:杉信太朗 小鼓:幸正昭
  大鼓:亀井広忠 太鼓:大川典良 ほか

能楽のあらゆる可能性を求めて活動する「能楽現在形」。600年の歴史を誇る能楽がもつ“演劇”としての魅力を改めて見出し、舞台芸術としてのさらなる可能性を切り拓くことを試みます。

今回は気鋭の観世流シテ方をゲストに迎え、年明けにふさわしい祝言性豊かな半能『高砂』と、幻想的かつ演劇的な要素が凝縮された能『邯鄲』をおおくりいたします。
世田谷パブリックシアターならではの、劇場空間から発信する能楽の“現在形”にご期待ください。
(劇場HPより)


……遅ればせながら、週末観てきた舞台の感想を。

世田谷パブリックシアターでの『能楽現在形』を観るのは、2度目。前回は、幻想的な半能「融」と一大スペクタクルとなっていた能「舎利」とで、能楽堂とはまた違う能の面白さを堪能した。

さて、今回。左右と正面奥に向かう3本の橋掛かりを持つ、この劇場独特の能舞台。

まずは半能「高砂」。曲はよく耳にするけれど、観るのは初めて。

能舞台の外側、上手に地謡、下手に囃子方が座る。まずは地謡。上手にワキの宝生欣哉さんが、下手にアイの萬斎さんが、紋付袴姿で登場し、そして、正面のスクリーンが上がり、シテの片山清司さんがご登場。

特に最後の舞は、仕舞のお稽古で習ったこともあり、興味深く拝見した。

舞い終わると、シテは正面の橋掛かりを奥へと素早く立ち去って、すぐにスクリーンが降りてくる。


「邯鄲」では、一畳台が床から競り上がり、上からは灯りが下がってきた。

宿屋女将役の萬斎さんは、長い髪の鬘。ふだん狂言で見る美男鬘とはちょっと違うような気がした。

その女将が、とおりがかったシテに声をかけ、手にしていた枕を渡す。その枕で一眠りするうちに、使いのものが現れて皇帝として招かれる。

さきほど横になった一畳台がより高くせり上がり、全面に階段が現れ、その上でシテが舞う。しだいにまた台が下がってきて、そこからシテが飛び降りて、またひとしきり舞い、最後に一畳台に飛び込むと、宿屋の女将が起こしにくる。

長い人生を過ごしてきたはずが、粟の炊ける短い間に見た夢だったのだ……。

まあ、「邯鄲」は有名な話だけれど、こうして観ると意外にドラマチックに感じられる。特に、夢の最後の部分の舞から、台に飛び乗り、すぐにまた元の宿屋で目覚める部分は、知っているはずのオチなのに、なんとなくハッとさせられた。

三間四方の能舞台の外側に地謡や囃子方を置いたり、傾斜のついた橋掛かりや照明などを活用したり、能楽堂で観る能とはずいぶん雰囲気の違うものになっていた。
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by kiki_002 | 2010-01-21 23:56 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
三軒茶屋~表参道~下北沢
さて今日は、今年初のマチソワ ♪

まず向かうのは、三軒茶屋。世田谷パブリックシアターで『能楽現在形 劇場版@世田谷』を観るため。 今回は、半能「高砂 八段之舞」と能「邯鄲(かんたん)」を気鋭の観世流シテ方を迎えて、劇場ならではの演出で。

……なんだけど、前の晩の夜更かしがたたって、 ところどころ意識が飛んだりして(汗)。改めて、お能に寝不足は禁物です。

それから、下北沢へ移動……の前に、友人と表参道でちょっと買い物。 目的地は、表参道H.P.FRANCEの“水金地火木土天冥海”。こちらは微妙な和テイストのセレクトショップで、行くたびについつい衝動買いしてしまう、危険なお店だ。

それから、下北沢へ。受付開始時間の少し前に小劇場『楽園』に到着し、世田谷シルクの『美しいヒポリタ』を観る。

シェイクスピアの「夏の夜の夢」をモチーフに、現代のオフィスの様子とモバイルゲームなどを絡めて、そこにダンスなども加わったコラージュ演劇。ここでは、切れのいい場面転換とリズムのよさを堪能した。

帰宅すると、今月28日からのしゅうくりー夢「異説 卒塔婆丸綺談」のチケットが届いていた。友人を誘ったりしているので、枚数と内容を確認。うん、大丈夫。こちらも楽しみ。

今日観てきた舞台の詳しい感想は、近いうちに……といいつつ、今回はたぶん月曜日以降になってしまう予定。
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by kiki_002 | 2010-01-16 23:57 | 舞台 | Trackback | Comments(0)
『国盗人』―W.シェイクスピア「リチャード三世」より―
平成21年12月6日19:00~、世田谷パブリックシアターにて。

作/河合祥一郎
演出/野村萬斎
作調/田中傳左衛門
美術/松井るみ
衣裳/コシノジュンコ

出演/
野村萬斎、白石加代子
石田幸雄、大森博史、小田豊、山野史人
月崎晴夫、じゅんじゅん、すがぽん、泉陽二、若松力、中村美貴
時田光洋、坂根泰士、平原テツ、入月謙一
大竹えり、黒川深雪、髙島玲


2007年の初演を観て、すっかりハマってしまったこの作品。シェイクスピアの「リチャード三世」を元に、狂言やその他さまざまな要素を大胆に組み入れて、印象的な舞台を作り上げていた。

2年半ほど経って再演された作品を観て、改めて強い印象を受けた。

「悪党になるしかない」と、悪三郎=リチャード三世が冒頭で独白する。戦いが終わって訪れた平和に、喜びを見出せないのは、自分が醜く人に愛されないからだと。

自ら手にかけた男の妻を娶り、兄を陥れ、幼子を手にかけ、共に陰謀を重ねてきた臣下を殺め、次々と悪事を重ねていく。

初演時にあったいくつかのお遊びがなくなり、全体にシンプルになっただろうか。その分、悪三郎の悪党ぶりが強調されているのかもしれない。

そんな陰惨なストーリーなのだけれど、なぜか、悪三郎を憎むことはできない。

特に終盤。実の母から戦場での死を予告され、手にかけたものたちの亡霊にうなされる様子を観るとせつなくなってしまう。

宿敵 理知門との対決前夜、舞台手前に横たわる悪三郎。現れる亡霊たち。呪いの言葉を浴びて、苦しそうに片手を胸に、もう一方の手で舞台のふちをつかむ。その孤独で不安な魂が哀れで、胸が痛む。

一夜明けて、戦いの日。最初のうちは獅子奮迅の戦いぶりを見せる悪三郎なのだけれど、戦場で馬を失ってしまうと、不自由な足では戦いも覚束ない。「馬をよこせば、国をくれてやる!」血を吐くような叫び。

悪三郎が亡霊たちに動きを止められたとき、理知門の刃が彼の上に。ゆっくりと弓なりに倒れていく悪三郎。

そして、勝利と正義に酔う理知門の後ろに、悪三郎とともにあった影がそっと寄り添う……。

戦火を浴びて焼け落ちたような能舞台。最初と最後に現れる日傘の女。死の象徴となる面。お囃子の生演奏。舞台の奥の舞台。

影役のじゅんじゅんさんの巧みさや理知門を演じる若松力さんの凛々しい声、主要な女性4人を演じる白石加代子さんの鬼気迫る演技。そして何より、舞台中を悪三郎として駆け抜ける萬斎さんの存在感がこの舞台の独特の世界観を成立させているような気がした。

和でもなく、洋でもない。古典でもあり、モダンでもある。薄闇の中の独特の雰囲気が心地よく、陰惨なはずの物語がどこかせつなく哀しいものとなった、そういう舞台。

ただひとつ、初演との違いで言えば、王位を得た悪三郎がハンドマイクで歌う場面がなくなったのが、個人的には淋しい。作品としてみたら、それで完成度が高まるのかもしれないけれど、型破りなこの舞台の象徴のような場面だと思っていたので。
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by kiki_002 | 2009-12-10 23:58 | 舞台 | Trackback | Comments(2)
  
だって、好きなんだもん!
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