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ドキドキさせてよ

だって、好きなんだもん!


by kiki

「耽美なわしら」1・2

著者:森奈津子
出版社:早川書房(ハヤカワ文庫)
発売日:2009/2/25、3/25

なんの予備知識もなく、ただその背表紙に書かれたタイトルを見て衝動買い。

だってさぁ。『わしら』っていう一人称と『耽美』っていう単語のギャップが、とりあえずツボだったんだもの。そのギャップゆえにどうしたってコミカルなタイトルに似合わず、表紙はスタイリッシュなイラストで数人の男女が描かれていて、帯には「伝説の異色ラブコメディ」と書かれている。

だからまあ、とりあえずラブコメなんだろう。でも、ハヤカワ文庫でラブコメ?訝しく思いつつ読み始めてみた。

読みながらなんとなく、大原まり子さんの「処女少女マンガ家の念力」を思い出す。登場人物の破壊力とか、登場人物の職業がマンガ家や作家や編集者などだったりすることとか、その辺からの連想だろうか。

主人公は、ターミネーターそっくりな外観とナイーヴな感受性を持つ大学生作家。彼や彼の周囲の売れっ子マンガ家や売れない小説家など、登場人物のほとんどがセクシャルマイノリティ。しかも、彼らの描く小説やマンガもまた、そういう恋愛をテーマにしたものだから、全編ほとんど恋愛がらみのドタバタや妄想や勘違いや、まあそういったものについて語られている。かといって色っぽいことがある訳じゃなく、妙に明るく能天気な登場人物たちの日常生活が中心の短編連作。

これといったストーリーがあるわけでもないのに、ついつい読んでしまうのは、登場人物に勢いがあるからだろう。なにしろ、出てくるヤツがどいつもこいつも変人なんだから。それは何も、彼らの性癖が大多数の人と違うからではなく、それ以前に彼らの性格が、常識とズレているからのような気がする。

でも、そんな変なヤツらなんだけど、読み進むうちに気分がよくなってきちゃうんだよね。う~~ん、それってもしかしたら、みんな前向きだから……かもしれない。

とりあえず、1冊目を買って帰って、結局次の日には2冊目を買いに行ってしまったんだから、私はこの本が気に入ってるんだろう、たぶん。
by kiki_002 | 2009-05-04 23:55 |